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Appendix  作者: G-Ⅲ
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新たな襲撃者、そして…

 目覚ましにしては大きすぎる。

 昨夜の宴からどのくらい立ったのだろう?目が覚めたのは窓から差し込む爆音だった。

 スッキリしない頭でぼんやりと音源を探すトレイタの耳に言い争う声が聞こえる。

「なんだよもぅ」


「来てやったんだから入れろ!」

 貧相な装備でゴネているのは「むかしはちょっとワルさしてました」系統の面々だ。

 運悪く城門前で鉢合わせした不動産業者が困惑しつつも丁寧に状況を説明するのだが、彼の低姿勢が相手の態度を増長させる。

 そこに騒ぎを聞きつけた婆やが通用門から現れた。業者に丁寧なお詫びをし、城内へと招き入れる。

「オぃ!こラ!ばばぁ!」

 冒険者を無視して通用門を閉めようとした婆やの手が止まった。

 あっ!

 この時、集団の一人が何かに気付いた。ようながしたけれど、その警鐘は仲間たちの雰囲気が彼の正常な本能を狂わせる。総勢四十名、勝てる戦いだ。

「わざわざ来てやったんだ!あけろ!」

 リーダー的な男が声を上げる。

 閉じかけた取っ手に力を込めて婆やが通用口を開いた。

「申し訳ありません、この城は昨日閉城致しました」

 これから野良として生きていかなくてはならない以上、悪評が広まるのは不本意なのだろう。彼女は丁寧に対応する。だが、これが良くなかったようだ。

 相手はたかが二十歳前後の女性一人。しかも平身低頭と言った対応はもはや「図に乗ってください」と言っているようなものだ。しかも彼らはの人数は多く、魔王を集団で嬲ろうと集まった者たちなのだから始末に負えない。

「なめてんのか?誠意みせろよ!誠意!」

 再びリーダー的な彼が憤る。

 この興奮が周囲に広がるのは一瞬だった。熱しやすい年ごろなのかもしれない。

 盛り上がる集団の声は大きさを増し、先に入城した業者が通用口の隙間から不安げな視線を送るっていた。

 この時ようやく騒ぎを聞きつけたアネスティが通用口へと現れた。

「どうかなさいましたか?」

 と言って業者に声をかける。

 返事を聞く間もなく、爆音と共に城門が破壊された。あわててアネスティが通用口から外を覗くと、調子に乗った来訪者の一人が魔法を放ったらしい。

 これをきっかけに盛り上がる集団が婆やを取り囲もうとする。何人かはアネスティの存在に気が付いていたようだが、もはや気にする様子もない。

 けれど騒ぎを目の当たりにしたはずのアネスティは、無言で通用口を閉ざし、しっかりと施錠してしまう。

 この雰囲気で鍵に意味があるとは思えないが、気休めとして一応。

 それほどまでに彼の目に映った婆やの後ろ姿は怖かったのだ。

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