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Appendix  作者: G-Ⅲ
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恐るべき未来

 今となってはこの方がよかった。当初、ビュッフェ打ち上げには反対の意見もあったのだが、ヲネストがいなくなった今では気まずい感じが出ないのだから。

 宴が始まると、それなりに過去の話題で盛り上がり、栄華を誇った昔話に花が咲く。昔は良かった。自分にはこんな武勇伝が。など、彼らが輝いていた頃の話で大いに盛り上がるのだ。

「なんでこうなっちゃったんだろう?」

 誰かがそんな一言を言い出すまでは…。

 ため息交じりに思えた言葉は過去の彩を一瞬でセピアに変える。

 もう、望んでも手に入らないのだろうか?契約が切れた自分たちの未来は?やがて深まる夜と共に彼らの気分もゆっくりと沈んでいく。

「まぁ、しょうがないよ。心機一転って感じで、ね!」

 気分を変える。無理やりな感じは否めないが、全員が婆やの言葉に縋るような感じで今後の話を始めだす。

 彼らは皆、それぞれ魔王城を運営し、知名度もそれなりにあった。しかし、時代の流れと共に魔王を必要としない魔物狩り集団が組織を作り、冒険者組合などという組織が勢力を拡大していった。

 やがて時代は冒険者全盛期を迎える。彼らに好まれるのは、この城にも侵入したような中級の魔物達で、魔王のような絶対的強者はいつしか敬遠される存在となってしまった。

 そんな自分たちがこれからどのように生きていくのか?隠居するしかないのだろうか?それとも今後は

 ()()()()の魔物として細々と生きていくべきなのか?

 この城を賃貸にする以上、新たなねぐらも探さねばならない。

 悩みが尽きない彼らに

「行くあてはあるの?」

 婆やが優しく聞く。

 もしよければ…。誰も答えなければ、そんな言葉が続くような気がしたが魔王達にもプライドがある。

 ある者は賢者、またある者は魔法使い。魔王城がなくなった今、過去に激戦を繰り広げ、互いを認め合ったという宿敵たちに連絡をして、少しの間せわになるのだという。

 でもその前に。

 この件に関して、彼らの意見は一致していた。

 侵入した吸血鬼を許してはならない、と。もし侵入者に報復しなければ、彼らはこれから狩られるべき存在として生きていくことになる。

 魔王の真の恐怖を。

 こうして彼らはビンゴゲームに興じるのだった。


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