始まりの予感
物語を語り終えた後、子供たちは微妙な表情で城内へ向かう。
その時、空が欠けた。
いや、空に見えた空間に亀裂が入ったのだ。それはまるで叩きつけられたゆで卵の殻を叩きつけたような亀裂。
一瞬で天空を覆い、その欠片は今にも崩れて世界を覆いつくそうとしているように見えた。
子供たちは?
彼らはただ、呆然と曽田を仰ぎ見ることしかできない。
いや、彼らだけではない、新参の倉庫番。最近になって長屋にやってきた者たちも同じように天をあおいでいる。
ところが、ひび割れた天空の欠片が地上に落下してくる様子がない。
なぜ?
子供の一人が我にかえって魔王を見た。
するとなにやらそれっぽい雰囲気を醸し出している様子。しかも彼だけではない、古参の住人達はみんながそんな感じを振りまいている。
やってる感。
彼らを見るほとんどの者がそう感じた。
それほど圧倒的な雰囲気を振りまいている。しかし、子供たちは気付いてしまった。
「そそsっらがぁー!」
けたたましい、に比例する音量で駆け込んできた護衛に勇者は
「落chi着ke」
と冷静に諭すと指示を出した。
数分後、彼の元に度数の高い神酒が何本も運ばれてくる。
「これより破邪の祈りを行う。これから後は、私が声をかけるか、事態が収まるまで入室を禁止する」
とだけ言い残して扉を閉めた。
一人になった勇者は思う。目が覚めた時、全部終わってたら良いな。
そして
おつまみ言い忘れたな。
と。




