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記憶の中の脅威
「そんな奴らは追い返せ」
新参勇者の訪問に腹を立てたトレイタが憤る。
だが、彼ら新参者パーティが目の前に現れると動揺を隠せない自分がいた。
トレイタはそう言って当時の事を振り返った。
この頃の彼は、第二形態やら最終形態、裏世界のラスボスといった当時のトレンドを取り入れていなかったのだ。
どうして彼はそう言った設定をしなかったのか?
原因は城の攻略難易度にあった。当時、彼の城を攻略するための難易度は高く、それに伴って難易度に対する維持費も良いお値段になっていたのだ。
つまり、魔王トレイタの前に現れる勇者はどのパーティも疲弊し、簡単に倒すことができる。
と言うことは、わざわざ経費を使って最終形態やら裏世界なんかを造る必要がなかったのだ。それに、既存の運営に対する出資が大きすぎてそこまで予算が回せないということもあった。
トレイタの脳裏にそれなりの記憶が蘇ったあと、彼の目に新たな衝撃が映し出される。
「なんかもめごと?」
部屋の奥から、あくび混じりの声と共に現れたのは全身が聖製、しかも聖オーダーメイドの装備に身を包んだ元勇者の姿だった。
「あ…」
この時点でトレイタの戦意は完全に失われていた。




