桁違いの伝説
トレイタの表情に動揺が浮かぶ。
この時、彼の脳裏のはあのころの記憶が鮮明に浮かび上がっていた。
白黒ではなくカラーで。
「勇者などと言っても、たかが知れてるな!」
それは婆やが新城の開城に奔走し、居城を不在していた時の話。
この頃彼、トレイタは強き者だけに城の攻略が認められる。
と、思っていた。
そのせいで城の攻略難易度は日ごとに上昇し、婆や不在の短期間でごく限られた一部の勇者にしか攻略できない難易度となっていた。
結果として城を攻略しようとする勇者は激減してしまうのだが、彼はそれを特別な価値として捉えてしまう。
つまり、この城を攻略することが出来る、それがステータスなのだと。
ある意味職人気質と言えるのかもしれない。
だが、城の運営を行う上で、彼のこだわりは世間に受け入れられなかったようだ。
効果すぐに表れる。来城者は面に見えて激減し、赤字の続く毎日。
それでも彼はこだわりを捨てなかった。
いや、むしろそれに縋っていたのかもしれない。
ところが。
ある日の事。
この城には不似合いなパーティーが現れる。
そんな彼らに門番が言ったのは
「ここは才能があるパーティの来るとこだよ」
門前払いの定型文にパーティの一人が答えた。
「そうかい?それじゃあ、才能に勝る努力を見せてあげようかねえ」
こう言って仲間を見渡す老婆を見た門番が呆れながら扉を開けた。
この日、彼らは当時の最短記録を更新する。




