戦慄、真の姿
「お望みとあらば!」
気合混じりの言葉と共に、その場を去ろうとするブリックにセンデンが
「こら!コラ!」
どこに行くんだよ、と後半少し強めの語気で言い放つが、それを予想していたようにマルチイが
「どこ?愚問ですな。当然、変身でございます。少し時間がかかりますので、ご来場の方々は、しばしご歓談願います」
有無を言わせず、というかなんというか…。
トレイタは学習した。それは過去の戦闘でのはなしで、防衛線がメインだった彼はこの時、自分の常識が崩れたのを感じた。
敵地とはこういう事か?
攻める、とはこんなにも難易度が高いのか?
とりあえず、歓談という事なので率直な疑問を一味に打ち明けてみた。
「お待たせいたしました!」
センデンの言葉が響き渡る。どうやら変身が終わったらしい。
だが、一味の興味は既に吸血鬼から離れ、早く帰って仲間たちの意見を聞こう。という流れになっていた。
そんななか、派手な演出と共に新世代吸血鬼が見慣れた姿で現れる。
…。
「みなさんっ!城主、新世代吸血鬼!ブリックの登場です!拍手でお出迎え下さい!」
声の限りに叫ぶセンデンが多少哀れに思えたのか、一味のっ数人が無表情でまばらな拍手を送る。
「真の姿、ってそれじゃ変わってないんじゃないの?」
合間に野次を飛ばしたセンデンが続けて口を開こうとしたのだが
「仕事とプライベートは、分けるタイプなんです」
こいつ…。
ビジネス吸血鬼か?
一味は顔を見合わせてそう考えていた。




