驚愕の事実
恐らく、我々は今、湖に映し出された景色の中にいるのだろう。
その証拠に、湖面に映し出された景色には周囲に広がりが存在している。が。目の前には闇に包まれた風景と湖から照らされる月光だけで周囲には何もない。
皆が戸惑う中でひときわ違和感、いや、嫌悪感を覚えたのが夜使いだ。ここに存在する闇には…。
「ここの闇には…」
「ここの闇は、吸血鬼の意思が強く含まれていますね」
遮るつもりは無かったのだと信じたい。でも、それでも今。俺が言おうとしていたことを言っちゃうのはどうなのかな?
自分ではそれなりに夜と闇には詳しいつもりだった。いや、それどころかこの中では一番の専門家と言っても過言じゃない。その専門家(自分調べ)を差しおいて的確なコメントをするのはどうだろう?
これから先、彼を好きになるのは難しいかもしれない。
だが、しかし!
ここで引き下がったら彼の一人舞台になってしまう。ここは平静を装って。
「気が付きましたか?そうなんですこの、一見普通に見える闇が実はここの吸血鬼に侵食された…」
ふと我に返れば、身振りを交えて熱く解説しようとする自分の言葉に耳を書か向けている者がいない事に気が付いた夜使いは上がっていた声のボリュームを一気に下げ、城へと向かっていく彼らの最後尾へと違和感なく追いついた。
やがて辿り着いた城の通用門を婆やが叩く。
そして彼らはこの後、驚愕の真実を知ることとなる。




