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第二十七話:聖騎士アルトリート・レンツ視点

「見逃すのは今回だけだぞ……亜人ども。時期に他の聖騎士も駆けつけてくる。他の気狂いの聖騎士が生優しいと思うなよ。本物の化物達だ……頭も腕もな」


 これ以上、亜人と狂人集団達といたら頭がおかしくなりそうだ。


 俺は両手の指を兜の隙間に入れて愛馬を呼ぶ。


「はぁ……何やってんだか。まぁこっちから言わなきゃお偉いさんもわかんねぇだろうし。適当に言えや、いいか……」


 頭をポリポリ掻く。


 しばらく走らせてから愛馬に早足から常歩に戻させる。そうして更に半刻、獣道を進んでいると遠くの方から馬車が猛速度で走ってきた。


 面倒だと思いながらも愛馬の腹を強く蹴る。


「どうした‼︎」

「ま、魔獣が!」

「ちっ。そのまま走らせて、とっとと街へ向いな‼︎」


 素早く鞍から一本の矢を取り出して目一杯引いた。

 弓がギチギチうるさく言うが無視をする。


「おらあ!」


 矢は猛速度で飛んでいき四足歩行の魔獣の目に突き刺さった。


「ギャオォォ‼︎」


 魔獣の叫び声に愛馬は怯えることもなくそのまま突っ込んでいく。俺は背中から剣を抜き、愛馬の上から魔獣の体表を切り裂く。


 魔獣は痛みから体が強張った瞬間、俺は愛馬から飛び降りて魔獣の背中に立つ。そして真っ先に魔獣の首根っこ目掛けて剣を突き刺す。

 魔獣は狂ったように暴れ回るが、俺は無視して剣を何度もザクザク突き刺した。


 ようやく力尽きた魔獣が倒れ伏す。


「ふぅ……さっきのせいで森から逃げてきたのか?」


 剣を引き抜き、へばりついた血も気にせずそのまま鞘に収める。


「ぶるるっ」


 愛馬がトコトコやってきて、強く腹を蹴ったことに抗議するように鼻を吹かした。


「へいへい、すまなかったな相棒。近くの教会に行ったら美味しいもん食わせてやるから機嫌を直せ」


 俺の言葉に渋々了承したのか、相馬は俺に大きな尻に向けた。俺は苦笑いしながら尻を叩いて教会へ向かう。


 道中、魔獣を警戒しながら目を光らせたが、すでに他の冒険者が刈り取ったのか現れることもなく肩透かしを食う。


 一応地図を頭の中に入れていたつもりだったが、古い地図のせいもあったのかだいぶ地形も変わっていて迷子になった。

 俺は地図を用意した教会のボンクラどもに悪態をつきながら、近くにあった小さな村へ入る。


 ちょうどよく何かの作業をしていた村人を呼び寄せる。


「おい!」

「へ、へい。どうしやしたか?」


 なぜか村人は体を強張らせてやってきた。


「ここら辺に教会があったはずだが取り壊しにでもあったのか? しかも、地形も変わっているようだが」

「き、教会ですか? でしたらあっちの丘を進んだところに……」


 村人はさも不思議なような顔で返答し続ける。


「ここら辺はあっしが生まれる前からずっと変わってませんよ」

「ちっ。まともに地図も用意できないボンクラどもが。悪いな、助かった」


 村人から言われた方向へ愛馬を行かせようと腹を軽く蹴るが、なぜか首を振って頑なに動こうとしない。


「おい。どうした?」

「ぶるる!」

「もしかして疲れたのか?」

「ぶるる‼︎」

「んー? あっ、それともさっき言ってた美味しいもんのことか?」

「ぶるるっ‼︎」

「こんなとこに美味しいもんなんてないだろ……」

「ぶるるっるる‼︎」

「はぁ……わかったわかった、わかりましたよ」


 愛馬は意固地になって話を聞いてくれず、俺は白旗を上げて降りる。

 作業をしていた村人に再び声をかけた。


「悪い、俺は教会に行かなきゃ行けないんでね。これの世話を少しだけして持ってもいいか?」

「あ、あっしがですか? 馬の世話なんてしたことありませんが……」


 村人は俺を下から上まで見て遠慮気味に断わる。


 俺は疑問に思いつつも、ポケットからチラッと銀貨を見せつけると村人は一瞬で態度を変えて大声をあげる。


「任せてください! この綺麗な白馬様を満足させますぜ!」


 またたく間に俺から銀貨を奪い取り愛馬と去っていった。

 まるで強盗にあったかのような出来事に数秒、愕然としてしまう。


「これでも一応、神聖国の聖騎士なんだけどな……」


 村人の態度からなんとなしに自分の体を見ると全身、土や血で汚れまくっていた。

 確かにこれでは冒険者か騎士崩れにしか見えないだろう。


 ぐぅぅ……

 胃袋が情けない音をあげる。


 俺は村で飯を食うよりは教会でなら多少マシな物が食えるだろうと考え、教会へトボトボと一人歩いていく。

 決してさっきの村人を再度見たらカッとなって殴ってしまうからではない。

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