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第十九話

 お馬さんに乗ると移動が楽チンだなぁ。

 最初から馬を用意して散策すればよかった……


 アンネさんに借りたお馬さんの長いたてがみを撫でて楽しみながら野原を進む。

 すでに朝日も落ちていき、太陽が隠れそうになっていた。


 本当なら淵人なんてめんどくさそうなことを無視してダッシュして逃げるつもりだったが、ついついサラダに夢中になって逃げる機会を失ったの俺のせいじゃない。


 け、決してチンピラーズがどんどん集結し、二十人前後の大規模になってビビったからではない。

 決して!


 心の中でため息して馬に揺られる。

 そんな憂鬱な中、横にいたチンピラさんの一人がこっちを見て口を開く。


「エルフって何?」


 まーた言ってるよ、この人。

 どんだけエルフが気になるんだよ。


 どう反応しろうか迷っている俺を見かねたのか、先頭にいたアンネがこちらを見て口を開く。


「ウィンは放っといていいよ。奴らのせいで頭がイカれちまって、同じようなことしか喋れなくなってんだ」

「奴ら……」

「あぁ、世界をぐちゃぐちゃにすることしか考えてない汚物以下のゴミどもだ」


 しかめ面になったアンネが答えた。


 アンネさんはそんな表情より笑顔が似合いますよ!


「エルフって何?」

「おい、ゲオ!」

「どうしやした? アネキ」


 ゲオが馬の尻を叩いてアンネの横に馬を走らせた。


「ウィンに木の実を渡して、いい加減落ち着かせな」


 木の実?


 ゲオは腰に付けている袋から木の実をガサコソ取り出し放り投げる。

 木の実は明後日の方向に飛んでいった。


 投擲能力ゴミかな? 全く違うとこに飛んでいったけど。


 ウィンは器用に木の実を馬上からジャンプしてキャッチするとすぐに馬の上に戻る。


 ウ、ウィンさん器用すぎない?

 曲芸師か何かですか?


「まぐまぐ。木の実は至高だ」


 あ、言葉が変わった。


「ウィンはね。幼い頃、目の前で家族を奴らに生きたまま犯され喰われたんだ。見つけた時はずっと木の実だけを食べて生きた死人みたいなやつだったよ。どうにか少しずつ人間性を取り戻したが、結局言語能力がイカれちまったままだ」


 は、話が重いです。あねさん。


「幼い妹がよくウィンに木の実をあげていたようで、それのおかけがわからないが木の実を与えれば多少は知性が戻るよ。今、ウィンが執着してるのは木の実と奴らぐらいだな」

『今も昔も淵人どもは変わらんな……』


 アンネが後ろを振り向いて叫ぶ。


「アーノルド! あとどれぐらいで目標の砦につく?」

「そうですね。このままだと日が完全に暮れて夜中になります」

「チッ。夜中だと戦闘になった時がめんどうだな。おい、お前たち! ここで一夜過ごし、朝日が起きてから向かうぞ!」


 アンネさんがそう言うとチンピラーズは馬から降りると、素早く各々テントや寝床を組み立てる。


 てっきりただの山賊崩れだと思ったけどすごいテキパキだなぁ。


 俺が感心しているとアンネさんが俺に声をかけた。


「坊やは索敵魔法など使えるかい?」

「はい」

「よぉし。流石に一人だけ何もしないで惚けていると示しがつかないからな。それで周囲を警戒しておいてくれ」

「わかりました」

「頼むよ、坊や」


 アンネは馬から降りチンピラーズと作戦会議を始めた。





 パチパチ、と音を立てる焚き火に木の枝を入れて暇を潰す。

 それを見ていたアンネさんに声をかけられる。


「ハイエルフってのはそんなに野菜が好きなのかい? 酒場でも野菜ばっか食べてたし」

「はい。肉は食べれない事はないのですが、やはり野菜が好物です」

「ふーん。そうかい、まぁいいけど肉も少し食べないと筋力が付かないから気をつけな」

「ありがとうございます」

「いちいち感謝しなくてもいいよ、坊や」

「はい」

「ふふ。本当堅苦しい、坊やだね」


 素敵な笑みがこぼれた!


「とりあえず明日に備えて坊やも眠りな。後は私たちが警戒するから」

「ありが……わかりました。ではお先に失礼します、おやすみなさい」

「あぁ。おやすみ、坊や」


 テントに入りいそいそと寝袋に入る。

 あっという間に睡魔に襲われ俺は眠った。





 おはようございます!

 今日もいい天気ですね、ぼくちんは早く森に帰りたいです。


 テントから出てると太陽が元気いっぱいだった。

 警戒係になったウィンさんが木の実を食べて周りを見ていた。


 ふっ、昔の俺ならいざ知らず。

 会話レベルがあがった俺は挨拶をするぜ!


「おはようございます。ウィンさん」

「まぐまぐ。木の実は至高だ」


 そ、そうですね。


 さっそく会話レベルが下がった俺はウインの対面に座り朝日を眺める。

 少ししてアンネさんがテントから出てきた。


「早いね。おはよう、坊や、ウィン」

「おはようございます」

「まぐまぐ。木の実は至高だ」

「おや? ウィンと打ち解けてるみたいだね。珍しい」

「まぐまぐ。木の実は至高だ」


 う、打ち解けてる?


「そうなんですか?」

「あぁ、ウィンはかなりの他人嫌いで会話すらしないからな」


 か、かいわ?


「坊やも起きたばっかだろ? 顔を洗ってきたり身支度してきな。ウィン、あんたも少し体を休めてきな」

「まぐまぐ。木の実は至高だ」


 か、会話ってなんだ?

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