僕とは住む世界の違うヒト-1
僕が通い始めた高校では、各学年で毎週決められた曜日に学年集会が行われる。そして、毎月第三月曜日は体育館で学校全体の集会が行われる。そして、今日はその第三月曜日だった。
クラスごとに並べられた生徒たち。学年とクラスごとに集まっていれば並び順に決まりはないようで、僕は最後尾に立っていた。校長、各学年の主任教師が挨拶をしたあと、制服を着た何人かが壇上に上がる。先頭に立っているのは黒髪のポニーテールの女子生徒だった。
「――では、先月決まった今年度の生徒会執行部の役員を紹介します」
僕が休学していた四月に生徒会役員が決まっていたらしい。ということは、今壇上にいる彼らが生徒会執行部の役員ということになるのだろう。
先頭で舞台に上がったポニーテールの女子生徒がマイクの前に立った。
「今年度の生徒会長に就任しました、二年A組の高階紗英です。昨年度は副会長として生徒会執行部に関わって来ましたので、その経験を活かし、今年度も生徒会執行部の一員として頑張りたいと思っています」
ハッキリとした口調。それでいて聞き取りやすく、透明感という言葉が似合う声。細かい表情までは見えないが、端正な顔立ちなのだろうと遠目からも分かる。
僕とは住む世界が違う人間だ。卑屈でも妬みでもなく、率直にそう思った。
高階生徒会長の次に副会長が二名挨拶し、書記、会計へと続く。副会長の一人は僕と同じ一年生らしい。名前も顔も知らない隣のクラスの男子生徒だ。
生徒会役員の紹介が終わると、今度は各委員会の委員長と副委員長の名前が読み上げられた。特に登壇や返事の必要はなく、高階生徒会長が事前に用意されていた紙を読み上げるだけだった。
声が聞き取りやすかったからだろうか。他の生徒会執行部の役員の名前は覚えられなかったのに、高階生徒会長の名前だけは覚えることができた。
その日の昼休み、懲りもせず、長門が僕の元へやって来た。
「ねえねえ、前にうちのクラスにめちゃくちゃ綺麗な子がいるって言ったの覚えてる?」
「……うん」