表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/9

第6話

 演習場に入ると、リングのような場所が6箇所ほど点在していた。

 

明らかに決闘用、といった感じなので授業か何かにそういうものがあるのだろうか?



「私が審判をやりますのでー。あ、あとこの試合は他のクラスの皆さんも見るのでそのつもりでー」



そう言ってサラ先生は俺とケイをリングで向かい合うように指示を出す。


へぇ、他のクラスも見るのか……。



「ペイルくん、大丈夫? ウィンドレア様はああいう性格だけど、100年に1度の魔法の天才って言われてるんだよ?」



俺が指示通りにリングに入ろうとすると、ミーアが心配そうに話しかけてきた。



「ありがとう、でも大丈夫」


「大丈夫じゃないよ! ウィンドレア様はもう無詠唱での魔法行使も出来るんだよ? ペイルくんは知らないかもしれないけど、これって本当にすごいことなんだから!」



この口振りだと俺が魔法と魔術の違いを知らなかったことが、もう噂になっているらしい。


まいったなぁ……。


「今からでも謝ってなんとかやめてもらった方が……」


「まぁ見てて。俺もそれなりに自信あるんだ、魔法」



まだ心配するミーアを遮って、笑う。


これで安心してくれると良いんだけど。



「う、うん……。分かった」


「ありがとう、頑張ってくるよ」



まだ言いたいことがありそうだったが、なんとか納得してくれたミーア。


まだ会ったばかりの俺を心配してくれるなんて、とても良い子なんだろう。


心の中でのミーアへの好感度が少し上がる。


ま、それは杞憂な訳だけど。



「おい、いつまで待たせる」



先にリングに入っていたケイから催促される。



「そんなに急かさないでくれ、今入るよ」


「貴様、今更ビビったなんて言うんじゃないだろうな? 辞めたいと言っても許さないぞ」


「大丈夫、そんなこと言わない。むしろケイ、お前こそ大丈夫か?」


「き、貴様! 平民の分際で貴族である僕を呼び捨てにするとは良い度胸だな! 決めた、絶対に許さん!」


「さっきも許さないって言ってたじゃん……」


「うるさい!!」



おーおー、煽り耐性のない奴め。


軽い挑発のつもりだったのだが、ケイは完全にやる気モードになっている。



「じゃあ決闘、始めますねー。旗を振ったら始めの合図ですー。魔法の使用制限は特に決めませんが、相手を大怪我させないように気を付けてくださいー。危なくなったら私が止めに入りますー。準備、大丈夫ですかー?」


「出来ている」


「大丈夫です」



2人の準備が出来ていると判断したサラ先生。


挙げた旗を、「始め!」と言って振り下ろした。



「平民め! 後悔しろ!」



開始の合図と同時に俺に向かって手を突き出し、魔法陣を展開するケイ。


そのまま氷柱(つらら)の弾を撃ち出してくる。



ほう、魔法陣の展開も中々早いし正確だ。


その上無詠唱での発動、どうやら大口を叩くだけのことはあるらしい。



俺は軽くサイドステップを踏んで、その弾を避ける。


すぐさま次の弾が放たれる。


回避。



その後も俺は連続で撃たれる氷柱弾を回避し続けた。



「ハハハッ! どうだ平民! この僕の氷柱の雨は!」


「いやー、すごい。中々やるじゃん」



ここで拍手。


するとやはり(しゃく)(さわ)ったのだろう、氷柱弾の間隔が速くなる。


おぉ、凄いな。まだ速くなるのか。



「その虚勢もいつまで保つかな? 貴様は今、避けるのに精一杯だろ! 大したことのないヤツめ!」



どんどん連射される氷柱弾。


次第に精度も上がってきていて、このまま続けると当てられるかもしれない。



うーん、ケイの実力もなんとなく分かったのでそろそろかな?


さて、どうしようか。


一瞬魔力切れを狙うか、とも思ったが即座に却下する。


アイツは『俺』の名前を出したんだ。


やっぱりここは少し痛い目を見て貰おうか。



俺はステップをやめて立ち止まる。


すると氷柱弾連打がピタリと止んだ。



「どうした平民、もう疲れたか?」


「いやいや、もう避けるのは止めようと思っただけ」


「ほう、遂に観念したのか。潔いな。なら一撃で終わらせてやろう!」



勝利を確信してニヤつくケイ。


気合を入れた一発なのだろう、これまでで最速かつ最高精度の氷柱弾を発射した。


俺はそれを確認した瞬間、火炎弾の魔法陣を発動。


お互いをぶつけ合わせて消滅させた。



「な、なんだと……?」



この光景を見ていたケイは驚愕の表情で呟く。



「う、嘘だ。僕の魔法の発動を見てから迎撃するなんて……。マグレだ! マグレに決まってる!」


「マグレじゃないんだなぁ、それが」



再度氷柱弾を連射してくるケイに対して、火炎弾を連射して迎撃する。



「嘘……。あのウィンドレア様と互角……?」

「違うよミーア。多分、ペイルくんの方が上……。合わせてるんだよ……」



ミーアとマホの驚く声が聞こえる。


ここまで驚かれると、なんだかくすぐったいな。



「ふ、ふざけるな! 僕は天才だ! こんな、お前みたいな、平民如きに! 負けるわけが!」



半狂乱状態のケイ。


俺は迎撃を続けながら、「なぁ、」と呼びかけた。



「な、なんだ!?」


「さっき、『雨』とか言ってたな。でもこんなのは雨じゃない。俺が本当の『雨』を見せてやる」



そう言って、俺は2()()()()()()()()()()()()



「な、なんだと!?」


「嘘、信じられない!!」


「無詠唱だけじゃなくて、並列起動まで出来るの? わ、私夢でも見てるのかな……?」


「先生もー、これは流石にびっくり、かなー?」



2倍になる火炎弾。


勿論ケイが迎撃出来るわけがない。


ケイの周りに何個かの火炎弾が着弾、軽い爆発を起こす。


ケイは軽く吹き飛び、倒れてそのまま動かなくなった。


大したダメージを与えてないはずなので大方戦う気力を無くしてしまったのだろう。



「先生?」


「あ、は、はいー!」



驚きのあまりボーッとしてしまっていた先生に呼びかける。


先生は慌てて立ち上がり、試合終了の宣言をした。



「今回の勝負は、ペイルくんの勝ちですー!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ