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お茶会は決起集会になるようですわ・3

今年も引き続き宜しくお願いします。


昨日1/10の更新を忘れてすみません。

 「クリスティー様のお相手は、ガシューク騎士団長ご子息でございましたか」


 私がクリスティー様に尋ねると、そっと溜め息を溢して頷かれた。騎士団。エミリオ様も騎士団員なんですわー。遠い目をしてしまいます。


 「騎士団と言えば……。確か、ドゥール侯爵家のエミリオ様って話が詰まらないって噂だったわね」


 遠い目をしていた私に、レミーナ様から突っ込まれる。ええ。つまらない人でした!


 「確か。騎士団の自慢話と自分の自慢話しかしないって専ら噂でしたわね」


 ソフィー様が追加する。


 「ええ。ええ。そうですの。騎士団の自慢話と自分の自慢話しかされませんでしたわ。でも、騎士団の自慢話はまだマシでございました。段々とご自分の自慢話だけになりましたの。それが虫の話でしたの。ミミズだろうと幼虫だろうと、エミリオ様のご趣味をとやかく言う事はしませんでしたけど。段々と騎士団の話が消えて幼虫とか昆虫とかの好きな食べ物の話とかでして。ご自分で育てられているから、とても可愛いのでございましょう。その自慢話だけになりましたわ」


 「それは……確かに話の詰まらない男ね。まだ騎士団の自慢話の方がマシ」


 レミーナ様が同情の視線を向けて下さってますわ……。ふふふ。あら、私としたことがなんだか変な笑い方になってますわー。


 「でも、もう婚約破棄をしましたので私はエミリオ様の話を聞かなくて済みましたわ」


 ついうっかり、晴れ晴れとした笑みを浮かべてしまいました。淑女として、はしたないですわー。


 「そうね。ルイーザさんは、婚約破棄をされて嬉しいわね。私でも嬉しいと思いますもの」


 そんなふうにクリスティー様からも同情の視線を浴びる。憐れまれてますわ、私。解って頂けて嬉しいですわ!


 「とはいえ、ルイーザ様から婚約破棄を申し出るならともかく、向こうから言い渡されるのは侮辱ですわ」


 ソフィー様! ありがとうございます。というか、伯爵家の令嬢の中では、敬意を表する相手のソフィー様に婚約破棄を申し出るリザット様って馬鹿なの?


 「本当にもう、集団婚約破棄だなんて馬鹿げた事を最初に言い出した殿方を見つけ出してやりたいですわ!」


 ああ、ソフィー様のお怒りよう……。ホント、リザット様は愚かとしか言いようが有りませんわー。


 「そうですわ、ソフィー様。そこが気になっておりましたの。貴族の結婚は殆どが政略結婚。家同士で決まった話ですから、それを簡単に破棄する、と言うご子息が多い事も、それを認めてしまう家が多い事も疑問でしたの」


 私は、ハッとしてソフィー様に疑問をぶつけた。お兄様に言おうとして結局言えなかった疑問です。簡単にどうして破棄が認められてしまうのでしょう?


 「それが、どうやら最初に言い出したのは、私に婚約破棄を言い渡してきた、宰相様の第四子息・ザザール様のご友人で、ディバード第三王子殿下、らしいのですわ」


 レミーナ様の発言に私は唖然としてしまった。私の疑問の答えがそんな大物を引っ張り出してくるなんて思いもしませんでしたわー。仮にも王族である。なんて事を言い出したんだろう、あのバ……いえ、少々脳みそが足りないお方は。


 ディバード殿下と言えば、現国王陛下の側妃のお子で、側妃様から甘やかされて育ったから、王子教育も剣の修行も逃げ回り、ダンスの腕前もまぁご令嬢の足を踏みまくると言えば、分かりそうなもので。おまけに体格がその、でっぷ……いえ、膨よかなものだから乗馬すら出来ないと言われている、どうしようも……いえ、ちょっと困った……いえ、ヤンチャな第三王子の事ですわよね。


 よりにもよって、王族がそんな馬鹿げた提案をした、と。バカだわ。あ、いえ脳みそが足りないですわ。


 「確か、ディバード殿下のお相手は」


 私がおそるおそる3人のお方を等分に見れば、お3方は、コックリと重々しく頷かれました。


 「ええ、我がノーディー王国が誇る二大公爵家の一つで、宰相様のお家でもあり、私の元婚約者であるザザール様のお姉君にあたられる、アブスール公爵家長女・エリジア様ですわ」


 レミーナ様が一段低い声音で告げられました。……ですわよね! 知っておりましたとも! つい確認してしまっただけで!


 「お、恐ろしい……」


 うっかり私、溢してしまいましたわ。だって、あのアブスール公爵家ですのよ? 宰相一家で我が国の財政の半分はアブスール公爵家の領地から賄われていますのよ? しかも、ザザール様は、まぁちょっと残念な方ですが、長男から三男の方達は、お忙しい宰相様に代わり、アブスール公爵領を治めていらしてますわ。ノーディー王国の内政と財政の半分を賄う公爵家を敵に回しているのと同じですわー!


 内乱が起こっても文句など言えません事よ!


 「あの、ディバード殿下は、事の大きさをご存知、なのでしょうか……」


 私が恐ろしさに身を竦ませながら尋ねれば、お3方は揃って視線を背けて溜め息をつかれました。

1/8から新作も公開してます。そちらも宜しくお願いします。

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