表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/45

お茶会は決起集会になるようですわ・2

今年最後の更新です。

 ソフィー様の案内で通された先には、中庭にテーブルと椅子が出ている。その椅子に座っていらっしゃる方達を見て、息を呑んだ。


 「そそそそそソフィー様」


 吃ってしまうのは仕方ない。お1人は侯爵家のご令嬢であるクリスティー様。爵位が上なのは当然でクリスティー様のお家は勢いのある侯爵家でしてよ! エミリオ様のドゥール侯爵家と違って間違いなく上位貴族“侯爵”家の方。失礼ながらドゥール侯爵家とは爵位が同じでも家格は天地の差が有りますわ……。


「ルイーザ様、こちらはクリスティー様よ」


 私の焦りっぷりに気づいているはずなのに、さらりとご紹介下さいましたわ。ソフィー様、さすがですわ……。こんな身分の高い方とお友達なんて。


 思わず遠い目をしてしまう私は絶対悪くない。更にもう1人。こちらは隣国であり母体である帝国・オキュワの貴族の出身であるお母様をお持ちの侯爵令嬢・レミーナ様ですわぁ……。家格こそクリスティー様のお家に負けますが、背後が帝国ですもの。恐ろしいですわ。


 そして、こんな凄い方達と友人で、更にご相談事を受けられるとか。ソフィー様、凄いにも程がありましてよ? 高位のお方がお2人もいらっしゃるだけで、一緒の席でお茶など粗相をしないか不安で、楽しめる自信が有りませんわー。


 遠い目をしている私に、着々とご紹介下さいますわ……。


 「こちらはレミーナ様ですわ」


 笑顔がっ。眩しい。眩しいけれどソフィー様は今、目が笑っておられない。……怖い。


 「はじめまして。私、ルイーザ・バントレーと申します」


 ソフィー様にご紹介頂いた以上、ご挨拶をしなくてはならない。カーテシーを決めて名乗り上げる。お二方から「面を上げよ」もとい、お声がかりを頂くまで、頭を上げてはいけない。


 「ごきげんよう。ルイーザ様」


 お声がかり頂いて顔を上げれば、クリスティー様が先に名乗って下さり、次にレミーナ様が名乗って下さった。これで私はお二方に認められたの。


 貴族ってめんどくさいのですわ。


 男性も大変でしょうけど、寧ろ男性はお仕事の話が有りますからね。話題は簡単でしょうけど、女性はそういうわけに参りませんのよ。仕来りもありますし、上位の方達と下位の方達では参加されるお茶会や夜会も違いますし、ただ煌びやかに服を飾ってお喋りすれば良いわけじゃないんです。


 それに、男性は些細なことで揚げ足を取る事は無くても、女性は互いを褒め合いながら、相手の粗相を隈なく探しますのよ。笑顔を浮かべながら粗探し。これを怖いと言わず、何を怖いと言えば良いやら。流行に疎いドレスや装飾品を使えば、次のお茶会や夜会では、噂があっという間に拡散しておりますの。だから、常に気を引き締めて、周囲を観察している必要があるのですわ。


 こういったマナーだって、たかが挨拶。されど挨拶。きちんと熟さなければ、私だけでなく家そのものが笑われる。だから、外に出た瞬間から女性の戦いは始まっておりますのよ。それはともかく。


 お二方から合格点を頂けた私は、席に着くことをお許し頂けました。心底ホッとしましたわ。家の恥にならずに済みそうです。そうして、私達はお茶会を始めました。


 「先ずは、ルイーザ様の事を話す事を許してね」


 ソフィー様がそんな事を言って、クリスティー様とレミーナ様を見る。


 「ルイーザ様は先頃、ドゥール侯爵家のエミリオ様から婚約破棄を言い渡されたそうなのです」


 えっ? いきなり? ソフィー様、いきなりソレを暴露されます? いや、良いんですけどね、別に。


 「まぁあ。ルイーザさんまで? 確かソフィーさんも、バーキー侯爵家のリザット様から……」


 レミーナ様が目を丸くして私を見、ソフィー様を見る。ソフィー様が大きく頷いた。


 「そうですの。私もリザット様から婚約を破棄する、と言われましたわ!」


 どうしよう。笑顔のソフィー様が持っていらっしゃる扇がミシミシと鳴ってます。壊れる壊れる。いえ、それだけ憤慨されているって事ですけど。……でも、さすがはソフィー様。私達伯爵位の令嬢の中で淑女と認められている方だけあって、これ程憤慨されていても、微笑みを絶やさない。素晴らしいですわ。


 貴族って表情を読まれてはなりませんものね……。私も見習わなくては。


 「リザット様、エミリオ様。どちらも侯爵位の御子息で有りながら、このような事態を引き起こすとは。同じ侯爵家として恥ずかしいですが。でももっと恥を晒すと、私、クリスティー・ヴィルルクも婚約破棄を告げられましたの。本当に情けない限りですわ」


 微笑みを浮かべながらクリスティー様が燃料を投下してくる。……此処にいらっしゃるから、そうだとは思ってましたが、やっぱりそうなのですねー。どうしよう。コレ、私如きが聞いてしまって良いのかしら……。


 ヴィルルク侯爵家は、ノーディー王国の二大公爵家に次ぐ上位貴族の“侯爵”家ですもの……。我がバントレー伯爵家なんか足元に居るのもおこがましいくらいですわぁ……。

久しぶりの小説家になろう復帰です。ご覧頂いている方がいらっしゃいましたら、ありがとうございます。来年以降もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ