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波瀾でした、パーティー。・3

 尚、ダンスを踊っている時に見たように、エリジア様のお相手はマレオ様。レミーナ様がナバン様。クリスティー様がテーリヤ様で、ソフィー様がスーリヤ様との婚約を結ばれたそうです。皆さまより一足先に結婚しますが、皆さまが一年、としてしまうと結婚式ラッシュになりそうですので、私が半年後。ソフィー様とクリスティー様は、双子のお相手ですので合同で私の二ヶ月後頃の結婚になる、かもしれないと仰ってました。レミーナ様が更に二ヶ月後でエリジア様がちょうど一年後で調整を付けるようです。


 皆さまのご家族も一年より早い結婚でも構わないそうで、多分、婚約破棄の一件で私を含めた皆さま方のご家族にも多少なりと傷として残っていたのかもしれません。だから、二度目がないように、早めの結婚にも頷かれたのだと思います。皆さま遠回しにそう仰ってましたからね。そう思うと私もですが、皆さまにも良いお相手が見つかったことは嬉しく思います。

 このことについて、リオン様に手紙でお礼を申し上げますとリオン様から、寧ろ相手が居なかった私達の方が幸運だよ、なんてお返事を頂きまして嬉しいのに恥ずかしい気持ちになってしまいました。


 それにしても結婚まで半年しかないので準備に追われます。ウェディングドレスはオーダーメイドですからお母様が張り切ってドレス店専属のデザイナーさんと生地選びを始めました。サテン生地にしようかシルク生地にしようかそれとも……と凄い勢いです。

 私も一応女性ですのでドレスとかアクセサリーとか気になりますよ? でもお母様の熱気には負けそうです。その上、お兄様の婚約者で大好きなイーシュ様も加わってしまったので、私が口を出す暇がないのです……。


「イーシュ様」


「どうした?」


「本当ならお兄様とイーシュ様の結婚式が先でしたのに、私が先になってしまってごめんなさい……」


 帰国したことを知ったイーシュ様が我が家に遊びに来て下さった流れで、お母様とウェディングドレスの生地選びをして下さっているのですが、とても申し訳なく思うのです。

 本当は。

 本当は、私がエミリオ様に婚約破棄を突き付けられなければ、もうお兄様とイーシュ様は結婚している頃でした。

 ウェディングドレスは、生地どころかデザインも決まり、サイズも測ってあり、仮縫いまで行われているのです。

 同時にアクセサリーだって決めました。私も一緒に選んだのですから。お花も選んでそれでブーケを作ってもらう話も出てました。日取りだって仮で決まっていて、でも殆ど確定だったのです。招待状もそろそろ書こうとしていた……そんな矢先に、エミリオ様の動きが怪しくて。


 婚約破棄される、とは思わなかったものの、お父様やお兄様が調べ始めたので、お兄様がイーシュ様に結婚を待ってもらう、と話したのです。イーシュ様は話を聞いて即座に承諾して下さり。その直後に私が婚約破棄されてしまいました。

 醜聞に巻き込まれた我が家ですから、イーシュ様の家が結婚を待つどころか中止にして婚約も解消することを話し合っていた、と聞いたのは、私がリオン様と婚約してからでした。


 お父様もお母様もお兄様も、私が気にしないように、イーシュ様も私が気に病まないように、この件は私が婚約者を見つけるまで黙っておくことにした、と教えてもらい、改めて私は家族から、そしてイーシュ様から愛されていることを知って泣いてしまいました。


 イーシュ様はご当主であるお父様から婚約解消の話を聞いた途端、家族との縁を切る、と啖呵を切ったそうです。きちんと城の文官から親子の離縁状と書かれた書類をもらって来て、それにサインしてお父様にお渡しされたそうで。さすがにイーシュ様のお父様も縁切りまでは考えていなかったから、一旦縁切りも婚約解消も話を保留にした、とお兄様から聞いた時は、イーシュ様に申し訳なく思ったものです。


 イーシュ様自身は全く気にしてないし、自分の家族よりお兄様を選んだだけ、と仰って下さいましたけど。


「ああ、そんなことか。気にしなくて大丈夫だ。実はリオン殿から連絡をもらってな。合同で結婚式を挙げることになった」


 ………………えっ?


「ええと?」


「おや、ルイーザは聞いてないか? なんでもリオン殿がバルセア家の醜聞を払拭するためにもバントレー家との絆を強固にするためにも、合同で挙式をしようと連絡が来た、とカルディス様から言われて私も了承した」


 なんですと⁉︎

 初耳ですけど⁉︎


「し、知りませんでした……」


「そのようだな。多分、カルディス様は伝え忘れていたのだろう」


 それはそうでしょうね。お兄様はシスコンです。紛うことなきシスコン。

 でも、私への想いとは別に、いえ別でなくては困りますけども、婚約者であるイーシュ様への愛はとても強くて深い。


 何しろ女性にモテるイーシュ様ですが、男性からもそれなりにモテるので牽制が凄まじいです。睨みまくり。女性に対しても憧れ程度は許してもガチ恋になりそうな気配の女性は遮断してます。……お兄様、心が狭い。女性がイーシュ様にガチ恋したからってイーシュ様がお兄様以外の人とどうにかなるわけがないでしょうに。男性だって同じです。イーシュ様がお兄様にベタ惚れなのは側から見ても分かり易いくらいですけど。


 まぁ結局相思相愛のお二人ですからね。そのお二人がようやく結婚出来るわけですから、合同の挙式という大事な話を、伝え忘れたのでしょうね、お兄様は。浮かれまくって。ええ、ええ、いいんですよ別に。大好きなお兄様と大好きなイーシュ様と一緒にリオン様と結婚式を挙げられるなんて嬉しいし、幸せ倍増ですからねっ。私のことなのに知らされていなくていじけてなんてないですわ!


 ……ちょっぴりですわよ、ちょっぴり。


 ちょっとはいじけたってよくないですか⁉︎ 私、お兄様からもリオン様からも他の誰からも聞かされてなかったんですからね⁉︎

 まぁお義姉様になって下さるイーシュ様から聞かされたからそれでヨシと、しますけどね。でもお兄様とは数日は口を利かないことにしますわ。あと、リオン様ともね。それくらいは許されると思います。


 でもまぁ。


「大好きなイーシュ様とお兄様と合同で結婚式が出来るなんて嬉しくて幸せですわ!」


「うん、私もだよ」


 イーシュ様が輝かしく笑ってくれましたが続けて不穏なことを仰いました。


「それに、五月蠅かった家族と縁を切れるし」


「はい⁉︎」


「ルイーザの件で婚約を無かった事にしろ、だの、カルディス様どころかバントレー家との関わりを無くすだの、五月蠅かった両親や兄弟親戚達と縁を切る事にしたのさ」


「えっ⁉︎ そ、それではイーシュ様はどうなさいますの⁉︎」


 身分が平民になってしまわれません⁉︎ お兄様ならば平民だろうとイーシュ様を娶るでしょうし、私達家族も受け入れる気満々ですけども!


「うん。それなんだけどね。私は養女として受け入れてもらう事になった」


「えっどちらの⁉︎」


「アブスール公爵家」


 って、エリジア様のご実家ではありませんか!


「イーシュ様が公爵家のご令嬢に……」


「そう。帝国に行っていた時にカルディス様がソフィー嬢のご実家に話を打診してくれたそうなんだけど。それを聞いていたアブスール公爵が、是非我が家の養女にって。バントレー家と縁付くのが嬉しいらしいよ」


 そういえば……エリジア様が仰ってましたね。我が家のドゥール侯爵家に対するやり過ぎとも言える仕返しの一件について……。本当に、お気に召して頂いたんですね。

 私、遠い目をしながら納得致しましたわ。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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