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夜会が中止になりまして

毎月10日・20日・30日の午前8時に更新します。と宣言しておきながら、更新しておらず、すみません。もし、万が一、本作品ともう1作品を楽しみにして下さった方がいらっしゃったら申し訳ない事、この上無いです。小説家になろうのサイトの使い方が分からないため、読んで下さっている方が居るのかどうかも分かりませんが、お詫びに、小説家になろうのサイトで新作を1作品公開しようと思います。

 顔色が悪いドゥール侯爵と、怒りで血色が良く見える侯爵夫人。その2人が居なくなって、はぁ……と一息ついたところで、ブレング伯爵家の従僕が手紙を持って来た、とリラから渡された。


 「ソフィー様からだわ」


 「その手紙の返事を至急頂きたい、との事でブレング家の使いは待っております」


 まさかの急ぎである。なんだろう? と封を開けて目を走らせた。


 「まぁ」


 「どうなさいました?」


 「夜会が急遽取り止めになったそうなの。それでブレング伯爵家のお庭でお茶会をする事になったそうよ」


 「夜会が? いきなり取り止めでございますか?」


 リラも声を上げる。それはそうだ。夜会を開催する。簡単に行く事では無い。何しろ準備が恐ろしく時間がかかるし、ある程度準備を進めながら、招待客を吟味する。もちろん、招いても欠席の人もいるだろうから、返信は遅くとも1ヶ月前まで。そこから人数に合わせて飲み物の手配やら食事の手配やら行うのだ。


 更に伯爵位以上の貴族を招くのであれば、生演奏でダンスは必然。伯爵位以下の貴族の場合は、ダンスは必ずしも必要では無いが。とはいえ、ブレング伯爵家は、下位貴族も上位貴族も招く実力のある家だから、生演奏の手配もしていたはずだ。我がバントレー伯爵家だって、実力もお金もそれなりにあるけれど、ブレング伯爵家と比べると落ちる。


 別に私はそれを気にした事は無いし、ソフィー様もその辺は気にしていない。1歳違いとはいえ、気のおけない友人だという自負はある。まぁそんなブレング伯爵家が大々的に夜会をやりますよ! と言っていたのが取り止めになりました。なんて、何かあった、と言っているようなものだった。


 まさか。


 私は嫌な予感に襲われた。えー。嘘、違うよ、ねぇ……?


 「お嬢様。とりあえずお返事を」


 やや固まっていた私に、リラがそっと声をかけてくる。ハッとして慌てて返信を書いた。まぁ簡単に言えば、夜会取り止め? 了解です。お茶会行きますからよろしくねー。って言葉をふんだんに装飾しただけである。


 「リラ、お願い」


 「畏まりました」


 直ぐに私の返信を渡しにリラが出て行く。それを見送ってから、自室の1人がけソファーで溜め息をついた。


 「まさか、とは思うけど、まさか、ねぇ……」


 私の脳裏には当然、エミリオ様の言葉が渦巻いていた。


 「婚約破棄が流行の最先端、ね……」


 今のところ、9割嘘だと思っている。残りの1割は本当かな? という様子見だ。でも、このタイミングでの夜会中止は怪し過ぎた。考え込む私の耳に、「姉上」という声が聞こえて来た。私は3兄弟の真ん中で兄と弟がいる。その弟の声がドア越しに聞こえていた。


 「ディール?」


 名を呼びながらドアを開ければ、痛ましいと言わんばかりの視線をぶつけられた。


 「姉上、ドゥール侯爵家のエミリオ様から婚約を破棄された、と我がバントレー伯爵家で噂になっておりますが」


 「あら。使用人達も晴天の霹靂でしたものね。心配かけたわ」


 「では、事実、でございますか?」


 本当に辛そうに笑うディールとは対照的に、私はあっけらかんと笑った。


 「ええ。事実よ。良かったわぁ、私はエミリオ様と結婚したくなかったんですもの」


 私の屈託無い笑みに釣られたのかディールの表情も段々柔らかくなった。


 「姉上が大丈夫なら良かった。姉上が笑っていないのは、僕も辛いです」


 なんて! なんて、いい子! 天使がいるわぁ。もう婚約破棄なんてどうでもいいわ! このディールの可愛さと優しさがあれば!


 「ありがとう、ディール」


 「いいえ。でも姉上、辛かったらいつでも僕にお話して下さいね」


 弟天使! マジ天使! 弟可愛い!


 「ルイーザ!」


 「あ、お兄様」


 いつになく取り乱した表情のお兄様が現れた。我がバントレー伯爵家の後継ぎで、お父様から後継ぎ教育を受け始めているから、あまり会えない方なのに。


 「ルイーザ! こ、ここ婚約破棄をされたというのは本当かっ!」


 「兄上。そんな剣幕で姉上に詰め寄らないで! 姉上、傷付いているんだからもっと姉上に寄り添って!」


 ディール。貴方、本当に紳士ね。でも安心して頂戴。傷ついては居ないのよ。


 「ああっ。俺の可愛い妹が! よりにもよってドゥール侯爵の息子なんかに傷物にされてしまった!」


 あー。お兄様、言い方というものが有りましてよ……。そして、久しぶりにお会いしましたけど、シスコンが治っていらっしゃらないのですわねー……


 「お兄様。私、大丈夫ですわ。お気になさらないで」


 ニコリと微笑めば、お兄様が更に壊れた。……おかしいわね。


 「あああっ! 天使が健気に笑っている! 内心で涙を流し、俺に心配をかけまいと敢えて笑顔っ! ルイーザ! この兄が嫁に迎えてやるからなっ!」


 「いえ、お兄様。昔から言ってますけど、兄弟で結婚は出来ませんわよ」


 それにお兄様には婚約者がおりましょう? 私、イーシュ様がお姉様になる事が、とても楽しみですわよ?


 「法律がなんだ! 可愛いルイーザの前では法律など取るに足らん!」


 「いえ、そこは取るに足りて欲しいですわ」


 お兄様。およそ半年会わなかったせいか、シスコンに磨きがかかっていませんか……? 私もお兄様と弟大好きなブラコンですけど、ここまで酷くないはずです。

ちなみに、本作品【流行の最先端は、婚約破棄です⁉︎】ともう1作品【神への願いは復讐。転生の対価は恋愛感情】の2作品は、エブリスタで公開してます。そちらが火曜日と金曜日の週2日公開なので、こちらのサイトでは月に3日になっています。

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