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(やり直し)パーティーは、波乱の展開⁉︎・3

 マレオ様は後の伯爵様。その隣にいらっしゃるナバン様は侯爵家嫡男のお方。皇室から降嫁された女性を祖母に持たれているので皇帝陛下とはご親戚にあたられるそうです。確かに色合いは似ていらっしゃいますね。

 ナバン様のお隣には双子の殿方で、まぁそっくりです! と驚きながらリオン様のご紹介を聞かせて頂きますと、先に生まれたのが伯爵位を継がれるスーリヤ様。で、数時間差で後からお生まれになられたテーリヤ様は、お家が持っている子爵位を継がれるそうです。とは言っても、その子爵家、伯爵家の隣に領地がある上に、領地の広さに差はあっても繁栄具合は変わらないとかで、爵位が違うからと言って互いに差が出ることは無いのだとか。


 そんな説明を伺いましたが、スーリヤ様とテーリヤ様の爵位が伯爵と子爵だとしても、ノーディー王国から見たら侯爵家と伯爵家みたいなものですけども!


 そんなことを思いつつ、皆さまの所に行きまして、エリジア様、レミーナ様、クリスティー様、ソフィー様をご紹介致しました。互いを紹介し合いますと、個別ではなく皆で会話を楽しむことに。リオン様と私、それと婚約者がいらっしゃる子爵家のロアン様とワリスト様は婚約者がお見えになられると先にダンスする事にしました。エリジア様達はパートナーを交換しながらマレオ様達とダンスするそうです。ですから何曲か踊るわけですよね。続けて踊るのは大変ですから休憩を挟みつつ、とのこと。


 そうですよね。ダンスって、体力を使いますもの。全身を使いますし、相手の呼吸に合わせる必要も有りますから気を遣いますし、意外と大変ですものね。ダンスの相性って結婚相手の相性にも通じるんじゃないでしょうか。


 互いの呼吸に合わせる、気遣いをする、相手の癖を見抜く、互いに身を委ねられる部分が有りつつ、互いを支え合う部分も必要で、自分がきちんと立てないと相手に寄りかかるだけになってしまって共倒れになりかねないですもの。


 ……あら? こう考えると、本当に結婚相手を探すことにも通じてますね。まぁそれだけでは決められないでしょうが、判断の一つにはなりそうですわ。後は考え方とか価値観とか感情面で共感出来る部分やら、話し合いでお互いが納得出来る部分を探り合えるかとか、波長とかもあるでしょうけれども……。ダンスって意外にも結婚相手探しの重要ポイントなのかもしれませんね。

 ……そう考えると、恋愛結婚が主流のオキュワ帝国は、ダンスパートナーで相手を探しているのかもしれません。ただの想像ですけど。


 そんなことを考えながらリオン様とのダンスを終えたところで、ポルグウィウス殿下とクインティー様のダンスも拝見しました。いえ、ポルグウィウス殿下がクインティー様を離さないで立て続けに二曲目に入っていらっしゃるので。

 リオン様は私を気遣ってまた後で踊ろう、と仰って下さったので休憩しているのですけども。あまりエミリオ様とダンスを立て続けに踊っていなかった私は、体力が無いのです。


 そんなわけで休憩しながらお二方のダンスを拝見してますが。クインティー様はお上手ですが、ポルグウィウス殿下、ちょっと力が強い気がするのですが、気のせいでしょうか。クインティー様を振り回しているような気がするのは、身長差のせいですか?


 あ、違いますわ。ビアンシェ様が笑顔を消してますもの。あれ、笑顔を失くす程、お怒りなのではないでしょうか。

 ……あら、ポルグウィウス殿下はお気付きになられたのか、少し落ち着いたようなダンスに変わりましたね。あと、曲が終わりましたからポルグウィウス殿下が身体を縮めてクインティー様を皇族の休憩場所にエスコートしてますね。


 ビアンシェ様がお国にご帰国されたなら、私は全力でクインティー様をお支えしますわ!


 ビアンシェ様の冷たい視線から逃れるように皇族方の休憩場所に向かったポルグウィウス殿下とクインティー様を見送りましたら、ザッと見ても二十人以上は居そうな令嬢方の集団も同じ所に向かわれました。あれですかね、ポルグウィウス殿下の側妃候補の方々。キリルの話では、クインティー様が正妃として結婚して子どもが産まれてからなら、側妃になっても構わないと仰ったとか……。正妃でもないのに関わらず、既にご令嬢方を牽制し統率し掌握してしまったクインティー様は、さすが大国の王女殿下ですわ。きっと今夜もあのご令嬢方を上手く捌くのでしょうが……。


 でもやっぱり十五歳です。

 私とそんなに歳が変わらない方なんです。

 心配です。

 お側に居てあげたいな、と思ってしまう。

 どうしましょうか……


 そんなことを考えつつ、隣のリオン様をチラリと見上げ、ダンスをしている皆さまを確認します。エリジア様のお相手はどうやらマレオ様のようです。レミーナ様がナバン様。クリスティー様がスーリヤ様、かしら? ソフィー様がテーリヤ様? 双子の方ですからどちらがどちらか分かりませんわね。


「クリスティー嬢はテーリヤと踊っていて、ソフィー嬢がスーリヤと踊っているみたいだね」


 コソッとリオン様の麗しいお声で耳打ちされましたが……耳元でそのお声は反則ですわ! 絶対、絶対、私の耳は真っ赤でしてよ! だって熱いのですもの!

 そんなことを思いながら、私の視線に気付いていたらしいリオン様の説明に、どうやらクリスティー様とソフィー様のお相手は、私が判断したお二人とは逆だったようですね。


 皆さま楽しそうに踊っていますから、私も体力が回復しましたし、リオン様とまた踊りたいとは思います。


 でも。


「クインティー殿下が気になる?」


 またも耳元で不意打ちです!

 リオン様をジッと見れば、クスクスと笑われてしまいました。……わざとやっていらっしゃるのね!

 恥ずかしいやら悔しいやらで、ちょっと涙が出てきました。


「あー……泣かせるつもりはなかった。ごめんね、ルイーザ。君が可愛いから」


 ポケットから然りげ無くハンカチを取り出して私の涙をそっと拭いてくれたリオン様は、謝って下さったので許して差し上げます!

 でも、あまり意地悪だと怒りますわよ!


「ルイーザ」


 ちょっと不貞腐れていた私の背後からお父様の声がかかりました。お母様とお兄様とディールです。


「どうかしました?」


「すっかり仲良しでいいんだけどね。可愛い妹との距離が近過ぎると思うんだよ、リオン殿」


 私が家族に尋ねれば、お兄様が笑顔を浮かべながら声を刺々しくさせて物を仰っています。器用ですね、お兄様。


「これは失礼しました。ですが、ルイーザはとても可愛くて可愛くて。早く婚姻したいなと思ってますよ義兄殿」


 リオン様はお兄様の笑顔に物怖じせずに爽やかに仰っていますが、可愛いとか早く婚姻したいとか、恥ずかしいんですけど⁉︎


 恥ずかし過ぎてリオン様から離れようとしたのに……だって、お父様とお母様の微笑ましいとでも言いたそうな笑みも恥ずかしいですのに……全然、リオン様は私を離してくれません。エスコートのためにそっと腕から添わせていた手を離そうとした途端に、ガシッと手を掴まれてしまっているんです!


 恥ずかしいから、離して下さい〜!


「ある程度で夜会から下がろうと声をかけに来たのよ」


 お母様がベッタリして来るリオン様を微笑ましそうに見ながらそう仰る。私は、少し考えてから首を振った。


「何となく、ですが。このパーティーは最後まで居た方がいいような気がしています。ですから私はリオン様と一緒に居ます」


 お父様が柔和な顔から一瞬だけ表情を消して私を見ました。その細められた目が鋭く私を観察しています。


「ルイーザが言うなら、そうなのかもしれん、な」


 私は昔から勘が鋭いのか、偶にですが、そうしなくてはならない、と思って行動することが有ります。……まぁ何年かに一度ですし、大抵は大した事ないのですけど。それでも。そうしなくてはならない、と思ったことに従って行動した結果。


 ある時は馬車にどうしても乗りたくなくて歩くことを選んだら、その馬車の部品が古くなって腐りかけていたことがあった、とか。(急に歩いて出かけた私の勘に従ってお父様が徹底的に点検させた結果、分かったことです)

 ある時はお母様がお茶会に行くのをどうしても止めさせたくて必死に引き留めたら、その日は天候が急変して開催先での庭園お披露目を兼ねたお茶会が雨でそれどころでは無くなってしまった、とか。

 まぁ大きな出来事だとそんな感じで有りました。

 他は些細なことですが。

 例えば何となく右足から歩かないといけない、と思って右足から歩こうとしたら、どうやら直前まで走り回って遊んで転んだ時、気付かないまま傷を作っていたようで少し痛んだ、とか。そういった類なのですけどね。尚、擦り傷にもならないちょっと膝の皮が擦り剥けた程度なのですけど、子どもでしたので遊ぶことに夢中で痛むことにも気付かなかったみたいでして。我に返って意識して歩き出したら痛んだのですけども。

 そんな感じなので、大したことないとは思いますが、何となく最後までこのパーティーに出席していた方がいい気がしたんですよね。


「ルイーザが言うなら皆で残った方がいいのかな」


 お兄様が仰るので、多分大丈夫、とお応えしました。何となく、私が、残っていた方がいいような気がしただけなんです。リオン様は、さすがに私の勘については知らないので目を丸くしていらっしゃいますが、分からなくても。


「ルイーザはきちんと送り届けますよ」


 とお父様に約束して下さってます。お父様は軽く頷いて私が残ることを許可してくれました。お兄様とディールとそれぞれ一曲ずつ踊った後、少し家族で話をして。それからお父様達は先に会場を後にしました。

 私は、リオン様に「何となく」 の事について話をしておきます。最後までいるのであれば、話題も必要ですものね。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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