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(やり直し)パーティーは、波乱の展開⁉︎・2

 クインティー様がまだ十五歳だから……と、憐れみの気持ちを持って勝手に側妃候補を探していたとか何とか……。クインティー様の気持ちをそっちのけだった、と……。その上、クインティー様を見たら一目惚れして、挙げ句には側妃候補を探していたことを忘れていて、その後始末をクインティー様が行ったとか、何とか……。


 考えてみればポルグウィウス殿下って軽率な方なのでは? 


 武力面に於いては有能らしいですが、正妃となられるはずのクインティー様に何の打診もせず、きちんと婚姻も済ませないどころか顔も合わせないうちに側妃候補を探し始め、おまけにクインティー様に一目惚れして側妃候補のことは頭から抜け落ちた。で、当然抜け落ちたから側妃候補の令嬢方のことを放置。そして歓迎パーティーで放置された一人であるアルアーニャ様がやらかした。


 まぁアルアーニャ様のやらかしは、自業自得かつリオン様にかなりの迷惑と負担をかけたので同情する余地無しですが。


 原因は、ポルグウィウス殿下、というわけで。


 そしてクインティー様は歓迎パーティー直後に側妃候補の令嬢方を茶会と称して速攻で集めて牽制し、主導権を握って婚姻前にも関わらず正妃として瞬く間に令嬢方の心を掌握した、とか……。それって要するに騒動の後始末をポルグウィウス殿下ではなく、クインティー様が行ったわけですよね?


 ……あー、ビアンシェ様がお怒りになる理由が改めて分かりましたわ。私もキリルから話を聞いて呆れつつ怒りを持ちましたが。

 今、ポルグウィウス殿下のクインティー様に対する姿を見た上で、一連の騒動の話を思い出すと、ビアンシェ様がお怒りになるのも肯けますわ。


 要するにポルグウィウス殿下、クインティー様に一目惚れってことは外見に惹かれたわけでしょう。十二歳も年下の政略結婚をする相手で、恋も知らないのは可哀想とか何とか勝手に思って側妃候補を選ぼうとしていたわけでしょう。

 クインティー様のお気持ちを聞かないで勝手に側妃候補集めようとしていて、実際に会ったらクインティー様に一目惚れして、側妃候補の令嬢放置で、それでクインティー様にとばっちりが行って、その後始末をクインティー様が付けるって……。


 その諸々を反省して、その上でクインティー様を大切にしようと頑張っているんだとしても、あんな人目も憚らずにデレデレしていたら、そりゃあビアンシェ様じゃなくても殺意が湧きますねぇ。そんなデレデレするなら、側妃候補なんぞ集めようとするなよ、と思いますわねぇ……。

 ビアンシェ様の怒りは、私も理解します!


 そんなことを思いながら取り敢えずパーティーを楽しむことにします。ビアンシェ様は一瞬たりともクインティー様から目を離さないぞ、といった感じで常にクインティー様に寄り添っていらっしゃる。でもキリルの話ではフレーティア王国へ帰国しなくてはならないようですから、どこかで折り合いを付けてポルグウィウス殿下にクインティー様を託されるのでしょう。だってこの婚約は覆ることなど有り得ない絶対的なものですから。


 オキュワ帝国の国史はフレーティア王国と比べれば新しいですが、フレーティア王国と並ぶ大国として名を轟かせています。……いえ、もしかしたらフレーティア王国よりも、です。そんな二国間で決めた婚約は婚姻という形を取り、本人同士が死ぬまで添い遂げる以外の道筋など有り得ないはず。

 属国の伯爵令嬢の私ですらその程度のことを考えられる程度には、この婚約……婚姻は重いものと分かります。重要度? 最重要事項でしょう。二国が婚姻成立を持って対立をしないことのアピールだとは思いますが、多分、それこそオキュワ帝国とフレーティア王国の上層部だけで何か密約でもあるのでしょう。二国が繋がらなくてはならないような、何かが。


 まぁそんな事に首を突っ込むつもりは毛程も有りませんが。私ですらこの婚約というか婚姻の重要度が分かるのに、なんで当の本人であるポルグウィウス殿下は分からなかったんでしょうねぇ……。なんか残念な方です。何にせよ、私はクインティー様の味方をするだけ。きっと、エリジア様達もそのはずです。


「ルイーザ」


「はい、リオン様」


「彼女達のところに行くかい?」


「参りますわ」


 私がエリジア様・レミーナ様・クリスティー様・ソフィー様のことを気にしていることに気づいて下さったようでリオン様が声をかけて下さいました。私は即答してそちらへリオン様と共に参ります。その間にリオン様は、何人かの令息の方から声を掛けられておりますわね。

 ……アルアーニャ様のやらかしをご存知の方達ばかりなのに、それでもお声がけ下さるということは、リオン様ご自身の人格があってこそ、なのでしょう。尚、リオン様はきちんと私のことをノーディー王国の伯爵令嬢で婚約者だと紹介して下さいます。


 婚約者!


 改めて紹介されて実感しますわ。私、リオン様の婚約者なのですね!

 尚、声を掛けて下さった令息方は、リオン様のご学友で気の置けない間柄とか。しかも、アルアーニャ様のことを知っている上で、あれはあれ。リオン様は別、とさっぱりとした考えをお持ちの皆様ばかりで嬉しくなりました。

 お声をかけて下さった令息方は六人。

 リオン様を含め七人でいつも行動をされていたそうで。

 試験勉強でも一緒。

 課題提出のための勉強会でも一緒。

 皆さま跡取りとのことで領地に関する経営について討論するのも一緒……と常にご一緒だったそうです。

 まぁ仲が宜しいのですね!


「あ、ではリオン様。私は皆さまの所に参りますからどうぞご友人方とごゆっくりなさって下さいませ」


 少し話に花を咲かせましたが、エリジア様達のところに行こう、とリオン様にお伝えしましたら「いや、一緒に行くよ」 とご友人方より私と共に居てくれる方を選んで下さいます。こういう時、あまり言いたくないですが……エミリオ様って「あ、じゃあそうさせてもらおうかな。友達と話してるね!」 という人だったので……まぁそれをダメとは言いませんが、三回に一回くらいは気を使って私の方を選んでくれたらいいのに……と思ったものです。婚約者というより幼馴染という感覚を互いに持っていた弊害でしょうかね……。


「ルイーザ嬢、ご友人方というのは先程、ノーディー王国の客人、と皇帝陛下が仰っていたことかな?」


 そう尋ねていらしたのは、マレオ様と仰る元公爵家のご令息様です。この方は公爵家の第二子だそうで、公爵位は継がれないそうですが、マレオ様のお母様のご実家の跡継ぎがいらっしゃらないため、幼い頃にお母様のご実家に養子に行かれているとかで、そちらの跡継ぎだそうです。ご自分でそのようにあっさりとお話されてちょっと驚きましたが、リオン様の婚約者だから……とお話して下さったとか。認めて下さっているということですね!

 尚、お母様のご実家はお母様が一人娘なのに公爵家へ嫁がれたから、お母様がお産みになられた第二子を養子とすることが決まっていらした、と。よくあるお話ですね。その爵位は伯爵位だそうです。つまり後々伯爵様になられるのですね。


「はい。私の親しいお友達ですわ」


「ということは令嬢だよね? オキュワに来ているということは、婚約者はおられない、とみていいのかな?」


 既にノーディー王国で何組かの婚約が破棄されている噂は、オキュワ帝国の貴族の方々の耳にも入っていることは知っています。この方達もそうなのでしょう。だからこそ婚約者が居ないと確認されていらっしゃるのでしょうが、嫌な尋ね方でもないので、私は頷きました。


「では、ご紹介頂けないだろうか。図々しいとは思うが、私は婚約者が居なくてね」


 マレオ様の言葉に目を瞬かせました。養子とはいえ、伯爵位を継がれる跡取りの方に婚約者がいらっしゃらない……? と驚きますが、そういえばオキュワ帝国は政略結婚より恋愛結婚を重視するお国柄です。その上、あれでした。妙齢のご令嬢方は、ポルグウィウス第二皇子殿下の側妃を狙う可能性もあったのでしたっけ……


 そうなりますと、確かに婚約者の居ない跡取りの方がいらしてもおかしくないわけで。


 ああ、だからリオン様からの手紙に、私のように婚約破棄された皆様を帝国へ、という打診があったわけですか。つまり、リオン様も婚約者の居ないご友人方へ、可能であれば令嬢を紹介しよう、と思っていらしたわけですね。

 まぁ、エリジア様・クリスティー様・レミーナ様・ソフィー様も帝国で新たな婚約者を探すことには前向きでしたし。ご紹介することに何ら問題も有りませんね。


「ぜひ、ご紹介させて頂きたいですわ」


 私が頷けばマレオ様を筆頭に、ホッとした表情をした方が他に三人いらっしゃいました。


「実は、マレオと彼らには婚約者が居ないんだ。だから可能ならば令嬢方と会ってみたいって言われたんだよ」


 コソッとリオン様が仰いました。尚、リオン様は私、あと二人の方達は子爵家の跡取り二名様で、同じ爵位の親同士が仲良くて、家族ぐるみで付き合いがあり、子ども同士も当然仲良しになって……思い合う関係になった互いの姉妹を婚約者にされているそうです。まぁ! 幼馴染同士の恋ですわね!

 そして、マレオ様と他の三人の方達は婚約者を探しておられた、ということですか。人数としては合いますが、どうなることか分かりませんわね。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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