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皆様と帝国へ。そして再会は不穏な空気と共に。・1

 エリジア様は第三王子・ディバード殿下の婚約者様でした。ちなみに、きちんとお会いするのはこれが初めての私は、震える身体を叱咤して、ご挨拶を致します。


「はじめまして、エリジア様。私は」


「ルイーザ様ね。挨拶を遮ってごめんなさい。名乗らせたくないわけじゃないのよ。寧ろ私こそ先に挨拶をしなくてごめんなさい」


 オキュワ帝国に向かうに辺り、一度彼方へ行く皆で顔合わせをしましょう、とソフィー様からご連絡を頂いたために、私は再びソフィー様のお屋敷を訪ねております。そして、レミーナ様とクリスティー様の他にきちんとお会いするのは初めてながら、その美貌といい、凛とした姿といい、遠くからでもお姿を拝見した時と何ら変わりのない……いえ、近くで拝見してその美貌に輝きが有る事を知って目眩を堪えつつ、エリジア様にご挨拶をしようと思っていた所でした。


 途中で挨拶を遮られて気に入られなかったか、と私の背中に冷や汗が流れましたが、続くお言葉を賜るに、違う事に安堵した次第です。


「とんでもない。エリジア様が私のようなものに謝る事など……」


「いいえ。バントレー伯爵家は、此度の一件で私のお父様が懇意にしたい、と仰っていた家ですもの」


 何ですって⁉︎ エリジア様のお父様というのは、宰相であらせられるアブスール公爵様でございますか⁉︎ そ、そそそそれはっ。粗相したら首を切られちゃう案件では有りませんかー⁉︎


「あ、あああああ、あの!」


 ついつい吃ってしまいます。


「そんなに緊張なさらないで、ルイーザさん。お父様はバントレー伯爵・奥様・ご嫡男様がルイーザ様のために、とドゥール侯爵家に対し、誠実な対応を求めた結果、と好評価ですのよ?」


 お父様・お母様・お兄様のやらかしを誠実な対応とは、宰相様は懐が広いお方ですわね。アレは誠実な対応を求めた結果、という一言では済まされない程のやらかしだったと思うのですけれども。


「ありがとうございます、エリジア様」


「うふふ。私、ご家族にとっても愛されているルイーザさんにお会い出来て嬉しくてよ? これからもよろしくね」


「私で良ければ……よろしくお願い致します」


 エリジア様のお耳に入っていても好意的なのであれば、それほど公爵家に怖がる事もないですよね。胸を撫で下ろし、エリジア様、クリスティー様、レミーナ様、ソフィー様と共にテーブルを囲み、お茶とお菓子をお供に改めてオキュワ帝国入りについての話を始める事にしました。

 そもそも、レミーナ様はオキュワ帝国の侯爵家がご実家のお母様がいらっしゃるので、そちらからも今回の件は連絡が行っていると思って良いわけです。その辺、レミーナ様の家ではどのようにお考えなのでしょう。


「あの、失礼ながら、レミーナ様。お母様のご実家である侯爵家ではどのように今回の件はお考えでいらっしゃいますの?」


「それなのですが。実は……オキュワにフレーティアの王女殿下がお輿入れされた事はご存知ですわね?」


 レミーナ様の問いかけに頷きました。


「そのお輿入れに際して、別の侯爵家なのですが……令嬢が何やら王女殿下に礼を失したようですの。その後、その王女殿下主催のお茶会で、その問題を起こしたご令嬢を含め、お母様のご実家の令嬢……わたくしからすると、従姉にあたる方なのですが、名だたる名家の令嬢方が集められまして。どうもそこで側妃についての話が出たようですの」


 フレーティアの第一王女殿下は、お輿入れとはいえ、きちんとした婚礼はまだ先の話。つまりまだポルグウィウス第二皇子殿下の婚約者という身分です。それにも関わらず、側妃の話? 一体、帝国では何が有ったというのですか……。おそらくお父様とお母様はご存知でしょうが、わたくしは聞いていない話です。


「まぁその詳しくはわたくしも分からないのですが、どうやらそうらしい、と従姉の話をお母様は耳にされたようですの。それ故に、その、なんていうか。従姉は婚約者が居ますから側妃は辞退するとは思うのですが、わたくしが婚約破棄を突き付けられた上に、向こうの有責である事は我が国の貴族達の間では有名ですから、お母様のご実家は、皇族との繋がりを求めて、わたくしに第二皇子殿下の側妃の座を狙ってみないか、と遠回しにお母様に打診しているようですの」


 まさかの大事でした……。というか、レミーナ様は相手側の有責とはいえ、婚約破棄されてしまったご令嬢ですので、傷ついていらっしゃると思うのです。わたくしだって一応エミリオ様の婚約破棄には傷つきましたし、ね。そんな傷ついたレミーナ様に側妃になれって……


 いくら貴族の令嬢は家の為に私心を殺して嫁ぐ事も有るとはいえ、ちょっとどうなのでしょうね。


「つまり、レミーナ様は側妃云々はともかくとして、お母様のご実家経由で帝国貴族との縁談は有る、とお思いで宜しいのでしょうか?」


「ええ、その認識で宜しいわ」


 さすがに他家の縁談にわたくしがどうこう言える身では無いので、側妃の話はスルーして、確実な部分だけを確認すると、レミーナ様も頷かれました。


 では、とわたくしはリオン様の事を含めて話を始めました。


「簡単にお話させて頂きますと、リオン様は侯爵家の方でして……」


 私が話し始めた途端に、レミーナ様が「ごめんなさい、話のこしを折ってしまうけれど」 と申し訳なさそうな顔を見せながら切り出されたので、私もどうぞ、と頷きます。


「リオン様って……もしや家名が……バルセアと申しませんこと?」


 と、戸惑ったようにレミーナ様が続けますので頷きます。レミーナ様は眉間に皺を寄せられました。


「あの……?」


「ごめんなさいね。先程の詳しい事は知らない、と言った話ですが。その、やらかしたご令嬢がその家の方らしく……」


「えっ。」


 まさか!


「アルアーニャ様の事、ですか⁉︎」


「え、ええ、そのようなの」


「アルアーニャ様が何故……。ああでも、もしアルアーニャ様が何かをやらかしたのなら、それはきっとアルアーニャ様の勇み足ですわね……」


「勇み足?」


「アルアーニャ様は……その……環境が特殊な方でして。……でもバルセア侯爵家の令嬢、であるのはアルアーニャ様しかおられませんのよ……。ですから、アルアーニャ様なのでしょうが。少々思い込みの激しい方なので」


 他家の方の事を、それも帝国の侯爵家の内情をアレコレとは言えません。もしかしたらこれでも喋り過ぎたかもしれませんが……。オキュワ帝国内でもそれなりの力を持つ(というか、第三夫人様の関係で、どうしてもそうなってしまう)バルセア侯爵家で、唯一困った方がアルアーニャ様なのですよね。


 もしかして、お母様が第三夫人様から伺った一大事とは、アルアーニャ様のやらかし、なのではないでしょうか……。一体、何をなさったのでしょうか……。下手をするとリオン様にも飛び火が……いえ、間違いなく飛び火してる気がしますわ。レミーナ様のこの困ったような口調といい、珍しく曖昧な事しか言わなかったお母様といい、それでもお話をしようとしたお母様を遮ったお父様といい。


 相当なやらかし、ではないでしょうか。


 リオン様、というかバルセア侯爵家そのものが、窮地、とか……?

 えっ。それなのに、そのような状態で私達を帝国に呼びます? いえ、その上、私と婚約などという話になります……?


 どういうこと、なのでしょうか。

 バルセア侯爵家そのものが窮地に陥っている事態に私達を帝国に招く理由が解りませんわ。それとも、私達を招く事で何かお役に立てるのでしょうか?

 いえ、私が此処であれこれ考えていても仕方ないですね。やっぱり帝国へ行ってみるしかなさそうです。


 話を続けましょう。


お読み頂きまして、ありがとうございました。

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