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帝国・オキュワ・2

 「でも、今、知った。だから、ルイーザの疑問を教えてごらん?」


 立ち直り早っ!


 「リラが言っておりましたの。何故、こんな馬鹿げた事が流行しているのでしょう、と」


 「ディバード殿下が言い出したから、だろう?」


 「そうでは有りませんわ。お父様。リラはその先を言っておりますの」


 「その先?」


 お父様、その考えは私と一緒でしてよ。その答えなら、私がわざわざあの方に連絡を取ろうとする意味が有りませんわよ。


 「……ああ、成る程ね。リラは、ディバード殿下の馬鹿げた騒動を、何故国王陛下が放置しているのか、疑問なのか。更にはそれを発端とした他の婚約破棄騒動も、それぞれの家の当主が、何故誰も止めないのか、騒ぎを落ち着かせないのか、と」


 さすがお父様。そこに気付いて下さったのですね! 一応バントレー伯爵と言えば、切れ者という評判を得ていますもの。……私に関すると途端に思考回路が壊れるのか、冷静さも切れ者ぶりも消えてしまいますけれど。


 「成る程ね。それでルイーザは、彼に連絡を取りたかったのか」


 お父様は、納得しつつも、やはり苦い表情を見せて溜め息と同時に言葉を吐き出した。


 「そういうことなら、リオン君に連絡を取ろうとするのも仕方ないかもしれないね」


 お父様が、嫌そうに認める。……ですから、リオン様は、お父様のご友人のご子息でしてよ? 何が気に入らないんですの?


 「では?」


 「私からリオン君へ連絡を取るから、ルイーザは彼に手紙を書いておいで」


 「はい」


 それで話が一段落したところで、お父様が「そうそう」と話題を変えてきました。


 「ルイーザ。オキュワ帝国の第二皇子であらせられるポルグウィウス殿下なんだけどね」


 「……? はい」


 ポルグウィウス殿下の名前は知っておりますけれど、私は面識なんてございませんわよ?


 「どうやらフレーティア王国の第一王女・クインティー殿下と婚約するそうだよ? 近いうちに帝国入りされるそうだとか」


 「クインティー殿下? ……まぁ! それでしたら、キリルと会えるという事ですか?」


 「うん。キリル君がクインティー殿下付きを辞めていない限り、きっとご一緒だよ」


 私は、又従兄弟に久々に会えるかもしれない、と気分が高揚してしまいましたわ。確か、侍女を務めるナーシュ様という方と婚約している、と手紙に書かれて有りましたわね。その女性とも会えますかしら。


 そんな事を呑気に考えていた私は知らない。この国の婚約破棄を流行させるに至った、発端の女性……ビアンシェ・アルシュナー様もご一緒だということを。


 ーー親愛なるリオン様


 から始まる手紙は、我がノーディー王国で流行している婚約破棄について、私の知っている範囲の事を書き記しました。これについて、親国であるオキュワ帝国は一連の出来事をご存知なのか。ご存知であるならば、何故このような事態が起こり得たのか教えて欲しい、とも。もちろん、私も婚約破棄をされた事は書き記しましたけれど。


 ただ、私は別に悲しんでいないので、お気になさらず、とも認めて、私は筆を置きました。誤字脱字無い事を確認しまして、お父様へお手紙をお願いします。さて、リオン様はどう返信して下さるかしら。


 とりあえず、私はのんびりとお勉強をしておく事にしました。淑女教育は既に終えておりますけれど、ダンスが心許ないので、定期的に先生をお呼びして、レッスンしておりますのよ。いくら婚約破棄をされたからといって、ダンスを踊らなくていいわけでは有りませんもの。


 また、マナーについても定期的に家庭教師を招いてチェックをお願いしております。ちょっとでも気を緩めますと、癖のある姿勢になってしまう事も有りますから。婚約者が居なくなってしまった以上、新しい婚約者を見つけなくては、私バントレー家のお荷物になってしまいますから。余計に気合いが入りますわ。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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