ざまぁも流行させましょう・2
久しぶりの更新ですみません……。
先程神への願い〜も更新しました。
あ、そうだ。ついうっかり思いついて新作書いてすみません……。更新……頑張る予定です。
「な、なんで急に」
「最後ですわ。急に、では有りませんの。エミリオ様が婚約破棄をされた以上、私もバントレー家も、エミリオ様とドゥール侯爵家との縁が切れました。幼馴染みである事も関係ないのですわ。家同士の約束を破られたのは、そちらでございますから」
私がゆっくりと言い聞かせるように言葉を紡げば、エミリオ様は顔色を変えた。
「婚約破棄は、流行で」
「そういうお話でございますわね」
「流行だから、乗っかっただけで」
「だけ、では済まない事をエミリオ様は行ったのですわ」
「俺だけが悪い、と?」
「私に落ち度がございまして?」
「止めなかった」
「止めれば、婚約を破棄しなかったとでも仰いますの?」
「それは……」
そもそも、エミリオ様は騎士団の話か、虫の話しかまともに出来ない。でも、それでは貴族としてやっていけないのも分かっていたのだろう。特に騎士団の話なんて、任務に関する事だと極秘事項もある。そうなれば、虫の事だけになってしまうのだ。
いくら令嬢よりは、そのような話に耐性が付いているとはいえ、令息でも虫の話題だけ、とはいかない事をエミリオ様は理解されていた。だからこそ、必死に流行の話題を取り入れようとしている事も、私は知っている。
それ故に今回も、婚約破棄が流行ならば……と乗ってしまったのだろう。
そんな脳ミソまで筋肉……もとい、おバカ……もとい、素直なエミリオ様の事は解っている。解っていても、だからといって、婚約破棄は許される事では無いのですわ。
「幼馴染みなのに、止めてくれなかった」
「幼馴染みなら、婚約者なら、止めるべきだ、と? 逆にお伺いしますわ。流行なら何をしても許されるんですの? 私の気持ちや私の家族の気持ち・立場も考えずに一方的に破棄だ、と仰って、その挙げ句に私に落ち度が有った、と?」
「今までなら、俺が何かすれば止めてくれたじゃないか」
「幼馴染みとして、婚約者として、それは不味いだろう、と思う事はそうさせて頂いておりましたわね」
「でも今回は」
止めなかった……と呟いて、エミリオ様が私を責める。言葉も表情も責め立てる。私は大きく溜め息を吐いた。淑女教育? 放り出しましたわ。この方相手に令嬢の仮面を付けたままでは、話が出来ませんのよ。
「エミリオ様。止める事が出来まして? あなた様が何を言い出すのか分からないままだった私に、婚約破棄を突きつけたのは、あなた様ですわ。口から出した言葉を、私が破棄は認めません! と言えば、取り消せた、とでも?」
「流行だから」
「取り消さなかったでしょうね。でしたら私が止める必要が無いでしょう」
「そんな」
「いつまで、甘えた事を仰るつもりですか。流行だから。それだけで取り返しのつかない事を仕出かしたのは、エミリオ様なのです。それをご自覚なさらないで、私の落ち度にするのは、お門違いと言うものでございましょう? 良く考えずに発言した結果、なのです」
「ルイーザは、俺の事好きだろう?」
は? 何故、そんな飛躍した思考になる。私が少し黙った事に勢いづいたのか、エミリオ様が言い募った。
「俺と結婚出来ないなら嫌だろ? だから今まで通りで」
「いい加減にして下さい!」
エミリオ様の発言をぶった切る。何を、なにを、な・に・を、言っているのだろう、この男は!
「る、ルイーザ」
私の剣幕にエミリオ様が引く。しかし、そんな事に構ってはいられない。
「エミリオ様、何故私があなた様をお好きだと思われましたの?」
低い声で問い詰める。エミリオ様はビクビクとした表情で、しかし決然とした表情に変えて言った。
「だって、小さな頃、エミリオ様好きって言ってたじゃないか!」
「それは子どもの頃の話ですわね」
「だから今も」
「子どもの頃、好きだと言ったから、今でも好きだ、と? そんなわけないじゃないですか! 寧ろ今は、婚約破棄をして下さり、有難いですわ! 喜んで破棄致しますわよ! ですが、私から言うならともかく、あなた様から言われるのは頭に来たのです!」
ええ、これが本音ですわ!
エミリオ様は、私の本音に口を開閉している。パクパクパクパク……。あら、壊れてしまったのかしら。
「る、るいーざ……」
項垂れるエミリオ様。ですが、私は容赦しませんわよ。ざまぁみなさい。という、言葉は少し悪いですが、オホホホホと高笑いをしつつ、片手は腰に手を当て、片手は扇で顔を隠すのが良いらしいですわ!
流行は、男性だけのものでなくってよ!
「エミリオ様。二度と我が伯爵家に来ないで下さいませね! 私の前にも顔を出さないで下さいませ! それと親切心でお教えしますが、あなた様の話はつまらなくってよ! 次の婚約者の方には、是非楽しい話題をご提供下さいませね」
オホホホホ。
あー、スッキリした! という事で、私はエドにエミリオ様を追い出すように目線で促す。なんだか意気消沈したエミリオ様は、エドに促されてバントレー邸から出て行かれました。
スッキリしていた私に、リラがお茶を出してくれながら、ポソリと言います。
「お嬢様。エミリオ様、泣いていませんでしたか?」
「知らないわよ、そんな事。自分で何をしたのか理解しなきゃ、今後困るのはエミリオ様だわ」
「それはそうですが……。なんだかお嬢様がエミリオ様を虐めているようにお見受けしまして」
「あら。いじめたのだもの。当然だわ。エミリオ様は、根が単純で騙されやすい方。こういう思いをして、自分で考える力を付けなくては、そのうちどなたかに食い潰されますわ」
「……確かにそう、ですね」
リラも納得したのか深く頷いて、それ以上は言わなかった。
なんだかんだ言って、ルイーザは幼なじみのエミリオをそれなりに大切にしているので、悪役を演じてでも、エミリオを諭そうとしてます。




