プロローグ
1/5〜1/7までの試験公開です。
正式公開時には内容が変わっている可能性があります。
ーーー気がつくと、真っ白い空間にポツン突っ立っていた。どこが真ん中なのかも分からないぐらい、その辺白一色の空間。
たしか……俺って、家からすぐそこのコンビニに行っていたような気がするんだけど。
最近のコンビニってこんな作りなの?
まぁ確かにこの前まで店舗改装してたようだけど、こうまで変わるとわかんないもんだね。
商品陳列しない店なんて初めて見たよ。斬新過ぎるだろ……。
1人でブツブツ言ってると目の前に突然人が現れた。
「やあ!日野一馬くん。元気そうでなによりだよ」
スイマセン。どちら様でしょうか……
俺、外人の知り合い居ないんですが……
目の前に現れた”人”?は、真っ白い肌に金髪を生やした美少年っぽい容姿だ。
どんなに記憶を辿ってもそんな人物に心当たりは無かった。
「ハ、ハロー。ナイストミーチュー……」
とりあえず英語で返しておいた。英語なんて中学レベルも出来ないけどね。
「プッ。ハハハハハ!Nice to meet you.だって。プククッ!日本語で良いよ。無理して英語使わなくてもさ」
笑われた。人が一生懸命英語使ったのに笑われた。こんな屈辱を味わうなんて久々だよ。授業中、先生に指名されて答えたら完璧に間違ってた時以来の屈辱だよ。
「まぁまぁそんなに落ち込まないで。ところで日野くん、君って自分が死んだ状況、どこまで知ってる?」
えっ?んん?ごめんなさい。よく聞き取れなかったです。
何か死んだ状況がどうとか言ってませんでした?聞き間違いなら良いんですが……。
「全く聞き間違っちゃいないよ。あっ、もしかして自分が死んでる事知らなかった? あちゃ~……それならサプライズでも仕掛けりゃ良かった」
おいおいおいおいおい!!!待てオラ!!
俺、死んでるの⁉︎死んじゃったの⁉︎
サプライズって何!?サプライズ仕掛けるってどーゆう事!?死人にサプライズ!?どう考えても不謹慎過ぎるだろ!!!!
ただ今、頭ん中パニックでーす。ヘルプミー!!!
……ん?てか、コイツ俺の心読んでないか!?ナニモンだコイツ!!
「あら…ホントに知らなかったのね。まぁ、たくさん疑問があるかも知れないけど、1つずつ答えてあげるよ。
まず一つ目、心を読んでいるかどうか。もちろん読んでるよ?これ無意識だから気にしないで!だって僕、神様だもん。仕方ないよね~。
二つ目、君は死にました。ダンプカーに轢かれてミンチ状!!!あれは後片付けが面倒なやつだよ。ダメだよ日野君、人に迷惑かけちゃ。ま、死んじゃったから今更だけどね~。
三つ目、ここは天国一歩手前の保留地です!真っ白で綺麗でしょ?この空間、僕も気に入ってるんだ!あっ、ここは天国に行くか、地獄へ行くか。はたまた転生して人生をやり直すかを決める所でーす。
まぁ、こんなとこかな。他に質問ある?何でも聞いて良いよ。ね?質問ある?どう?」
マシンガントークばりにペラペラと喋る神様。それをただ聞いているだけの俺。
なんだこの状況は。新手の拷問か何かですか。しっかり息継ぎしてますか?
……あれ?神様って呼吸するのかな? そんなことどうでもいいや!
それにしても神様のおかげで色々と分かった。
どうやらマジで俺、死んだみたい。ミンチになって。ヴッ……オェエエ~。想像しちゃったよ。最悪だ……
こんな死に方ってありなの?可哀想過ぎない?もっと楽な死に方ないの?……いやいや死にたくは無いけどさ!
………あっ俺死んでるのか。
しかしなんか神様、最後のところで妙なことを言ってたな……転生とか何とかって。…………これもしかしたらワンチャンあるかも。
「あの~ちょっと良いですか?最後のところで転生だとか言ってたように感じたんですが……」
「うん。言ったよ!転生。まぁ生まれ変わるって事だね!君が生きてた世界でも、それを取り入れた小説とか流行ってたじゃん。どう、知ってる?」
「大好物です!!転生無双ってある意味男のロマンだよ。ハーレムワンチャン!ヒロインに囲まれた主人公生活は憧れ中の憧れだよね~」
「アハ……アハハハハ。そ、相当好きみたいだね。まぁイメージとしては間違って無いよ。だいたいそんな感じだから」
「そこで、君には選択してもらいます!!その魂を天国へと送るか、新たな世界に生まれ変わるか。さぁ、どっちにする?」
はい、きました。ここに来てのビックチャーンス!!
答えなんて決まってるようなもんだよ。一つしかないじゃん。
「もちろん転生でお願いします。最高なチート期待です!」
「よし。決まりだね!!君たち人間ってチートチートって言うけど、転生後の生き方を楽しようとするのはオススメしないよ?人生山あり谷ありがあるから楽しいんであって…………」
神様の人生論は体感にして2時間ほど続いた。
その間、さっきのようなマシンガントーク。話の腰を折る事なんて出来ませんでした。
うぅ……辛かったです。グスッ…
そしていよいよ、待ちに待った時が……。
「さて、君の転生先の世界を教えてあげるね。転生先の世界は、剣と魔法がバンバン使われている所です!!どう?僕の自信作なんだよ。何かワクワクするでしょ!?」
「はい!すっごくワクワクします!!つ、続きお願いします」
「おぉ!興味示してくれてるじゃん。良いよぉ~、その調子でいこうか。この世界には科学という概念は存在せず、生活の全ては魔法によって成り立っているんだ。この世界には3つの種族が存在している。1に人間、2に亜人、3に魔族で、4に絶えろ。ごめん、冗談だよ。……これらの種族はいくつもの国に別れて独自のコミュニティを形成している。他にも魔獣や普通の動植物が生息しているよ。………と、まぁこんな感じかな?」
「はぇ~……地球よりも賑わっている所なんですね。なんか転生するのが楽しみになってきました!!」
「そうでしょうそうでしょう!!!そう言ってくれると転生させようがあるってもんだね。僕の作った世界だしさ、なんか褒められるのは嬉しいな~。よし、そんなウキウキ気分の君へ特別に!ご希望のスキルをプレゼントしちゃおうかな~」
「本当ですか!?嬉しいな~何にしようかな~……」
心からワクワクしっぱなしの俺は、神様の雰囲気に飲まれてしまっていた。……まさかあんな事になるとは知らずに
「よし。決まった!!えぇ~と、あれとこれとそれと………」
「えっ、そんなに?あのね、プレゼントって言っても1つだけの決まりなんだけど」
「あれ?そうなの??……まぁそこんところは神様、貴方の想像力豊かな頭脳でどうにかお願いします!」
「ん~まったく……面倒をさせるな。こんな転生希望者は初めてだよ。んまぁ、僕が何とかやっておくから。日野くん、用意は良いかい?それじゃあ送るよ?」
「え?もう!?ちょ、早くないですか?もう少し何か……」
「それじゃあ、新しい人生を楽しんでね~!!あ、教会に来たらいつでも会えるからね。バイバーイ!Good Luck. 日本語で言うと、幸運を」
俺がアタフタしている間に、身体が眩い光に覆われた。
そして意識がだんだんと遠のいていく。
遠のく意識とは裏腹に、胸の中にあるワクワクはどんどん増していくばかりだった。
これから俺の新しい人生が始まっていく。
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日野一馬が居なくなり、孤独感が漂う真っ白な空間。そこにはたった1人の声だけが響き渡っていた。
「それにしてもあっさりと受け入れてくれたなぁ……。あんな簡単に自分の死を受け入れた人なんて、そうそう出会わないよ。ホント不思議な子だよね~」
日野一馬を異世界へと転生させた神様は、1人残された真っ白な空間でポツリと呟いた。
「フフッまぁいっか!やっちゃったもんは仕方がない!ま、せいぜい異世界ライフ楽しんでくれよ?日野一馬くん。いや、……セイラちゃん」
そんなことを口にした神様は、不気味な笑みを浮かべながら忽然と姿を消した。
神様の消えた白い空間は、時を置かずに綺麗さっぱり消滅した。さっきまで在った真っ白な空間は、果てしない漆黒の空間へと様変わりする。
ーーーそんな空間に、一枚の白い羽根がふわふわと漂っていた。
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