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ー最終面 山際家の作業小屋


ー最終面 山際家の作業小屋



事件から3年後。山際厚 山際正義共著でニューグリップタイヤ株式会社社員失踪事件の謎というタイトルで本が出版された。事件の核心に触れる事はできなかったが、丹念に取材された事実によって書かれたこの本は200万部を越えるベストセラーになり、山際家に時ならぬボーナスをもたらした。当初エドガー ミッチェルも著者として入るはずだった。しかし身の安全を保証するために、事件についてコメントしない事をCIAと取引した為に名前を入れる事はできなかった。ただし印税に関してはエドガーの提案で三分の一づつを分け合う事で決着した。

山際は本で使えなかったメモをひとつひとつ読み返していった。

ニューグリップタイヤ株式会社は知名度を生かして、クライムズをリトライできるようにし、プレイしやすいように改良して業界のトップに躍り出た。

能登島は解放後、ゲームクリエイターに復帰するまで2年を要した。監視をごまかして西堀や山際と会話した事がバレた時に暴行を受けていた。その精神的な外傷は深刻なものだった。約束通り椎名美花は事件の翌年クリスマスに能登島美花となりプログの仕事で夫を支え続けた。高宮親子を始めとする周りの支援があった事は言うまでもない。

西堀栄一はニューグリップタイヤを退社しスポンサーをコーディネートする会社を設立した。その会社で大友康洋とレース活動を行っている。

電算機犯罪課2部は活動内容が事件後明るみに出てしまった為廃止され、別の名前で白根を中心に同じ活動を行っている。

高宮親子は7階の部屋をJ部隊に破壊されたが、アメリカ政府によって現状復帰され同じ部屋に住んでいる。

中島勝義もネットカフェ20店舗すべてJ部隊に破壊され、自らも肋骨3本と左足を折られ、一年間入院を余儀なくされたが、同じように店舗すべて現状復帰され、治療費用と生活費をアメリカ政府が支給した。

山際はメモを見ながら正義に問いかけた。

「この事件をどう総括する?。正義。」

正義はしばらく考えていた。手にはゲートの前でこちらを見ている能登島と椎名美花の写真があった。

「…これは戦争だったと思うよ。フェアとフェアが戦う。でもその間から降り注ぐ悲劇に襲われる人々の事を想うなら。…フェアだと言う前にするべき事があるような気がするよ。」

山際も写真の能登島の悲痛な顔が発するメッセージを思った。

「それを…知らしめるのがジャーナリズムの使命だな。」

山際はメモのファイルを一番新しい棚の中に収めた。



ー後書きにつづく





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