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ー第17面白根 登 出動


ー第17面 白根 登 出動


白根は司老との無線連絡を終わると拳銃のホルスターを体に装備して上着を着た。デスクの引き出しからゴムバンドで頭に付けるライトを引きずり出した。

「部長?。どこに行くつもりです。」

次長の常盤ときわ 一平いっぺいがモニターから顔を外して大声で叫んだ。

「横山の奥歯に発信機がしかけてある。ヘリで岐阜に飛んで救出に入る。ヘリにそのように言ってくれ。指令代行を頼む。」

「上には何と?」

「腹をこわして、トイレに行っていると言え。」

「わかりました。」

「それから、おまえは俺のものまねが出来るから、俺が指令室に居るように偽装しろ。」

常盤はエッという顔になった。

「なんで知ってるんです?。それを…。」

「常盤いいか?。電犯2部で生き残るには、この程度の情報収集ができんと話にならんぞ。」

白根は常盤の返事を待たずに部屋を飛び出して行った。



西堀と能登島の彼女がゲーム内に居ると、J部隊は場所を特定して襲撃に入る。南3佐にJ部隊から連絡が入れば2人が危ない。クライムズを解析するとPCの場所を特定するのに最短5時間が必要になると出た。そうすると、まだ2時間の余裕がある。ヘリで行って地下施設に侵入するにはギリギリの時間と白根は読んだ。

フロアの廊下を走っていると、前に5人程の集団が歩いて来るのが見えた。

その中心に居る男が白根を見た。

「白根。どうした?。」

たいら 純一警視総監じゅんいち。白根は急停止して敬礼した。

「はっ。自分は下痢でありまして、ただ今トイレに急行中であります。」

平警視総監は敬礼を返した。

「そうか。事件がややこしくなると必ず腹をこわす奴だな、おまえは…。急いで行ってこい。2部の指揮は戻るまで俺が執ってやる。心配なく用を足してこい。」

「はっ。ありがとうございます。安心して行ってこれます。」

「行け。」

白根は平警視総監の横を通り抜けけようとすると、また呼び止められた。

「白根。死ぬなよ。必ず生きて帰ってこい。返事はいい。行け…。」

同じ事を言われたと思いながら、白根はエレベーターに飛び乗った。



ヘリは常盤からの連絡を受けて、給油を終えると警視庁の屋上に降りてきた。

接地する前に白根はドアに走り込んできた。あわてて貨物室のドアをスライドさせると、白根は腹を乗せて上半身を入れた。

「行け。急げ。」

と叫んだ。

貨物室のクルーが白根の体を引き上げてドアを閉じた。

「無線を貸せ。一班と二班を呼び出す。」

パイロットは怪訝な顔をした。

「部長。今指令室から一班と二班は岐阜駅内の鉄道警察連絡所前に集合するようにと…部長の声で指示を聞きましたが?。」

「ならいい。それは常盤のものまねだ。俺が指示した。」

「それ。知ってみえましたか…。」

「おまえが一番うけてたのも知ってるぞ。」

「申し訳ありません。笑い上戸でありまして。」

「それも知っている。岐阜駅前の駐輪場跡地に着陸できる。急げ。」

「了解しました。」


白根は駐輪場跡地に降りるとフェンスをよじ登って岐阜駅に走った。

ホームは二階にあり、下は飲食店や薬局などがある。

その一階に、もとは鉄道公安官の詰め所だった鉄道警察連絡所がKOBANという看板の下にあった。

すでに電犯一班二班10名が集合していた。

「よし聞け。いまから司老 横山両名と重要参考人西堀 栄一 椎名美花 高宮幹雄 高宮愛の身柄確保を行う。」

白根は自分の携帯を取り出して開いた。

「ターゲットの位置は、横山の奥歯に仕掛けた発信機の電波を頼りに接近する。」

緯度 経度 高度が表示されていて、高度はマイナス28meterとなっていた。

「侵入口は?。」

「このKOBANだ。この駅の地下は戦前に掘られた地下施設がある。国交省のスパイ事件捜査で拡張工事の際の地図を入手している。それによれば、岐阜タワーマンション地下からの緊急脱出口がここに有るはずだ。」

白根は鉄道警察連絡所に入っていった。中はさほど広くない。すぐにカウンターがあり、その左うしろにはロッカー、右側はアコーディオンカーテンで隠されていた。

「電犯2部の白根だ。聞いているか?。」

カウンターに向かって書類を書いていた巡査が驚いて立ち上がった。

「はい。平警視総監より指示を受けております。」

「よし。」

白根はアコーディオンカーテンで隠されている右側に入った。

機械室とプレートが貼られた、錆びた鉄製のノブが見えた。

「くそ。開かんぞ。瑞穂みずほ、蝶番と鍵穴を撃て。俺の弾は温存したい。」

全員が退って挑弾に備えた。瑞穂一班班長は4発の銃声で鉄扉を外した。

「瑞穂。弾は補充しておけ。行くぞ。」

白根は茶色く変色した天井と壁を見ながら覚悟をきめた。

靴は滑らない底のブーツを履いている。頭にゴムバンドで固定するライトを付けた。

先頭で水垢にまみれた階段を慎重に降り始めた。

ー間に合うか?ー

後ろから10名の足音がついてくる。

ー間に合わすさー

白根は暗い昭和初期のトンネルの奥に向かって溶け込んでいった。



ー第18面登山許可につづく





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