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ー第10面 JR浅草橋駅西口改札



ー第10面 JR浅草橋駅西口改札



山際は正義を連れて、新幹線のぞみのグリーン車の中にいた。名古屋から東京まで約2時間ある。車両最後尾の席で、ノートパソコンを2つ並べてゲームにログインした。ゲーム内の時間は止まらない。8月24日の午後2時まで、あと1時間。

ゲーム内の拠点となる自宅は自由に選ぶ事ができる。首相官邸前に2人は自宅を設置した。ほとんどのプレイヤーは新島への船が出る埠頭の近くに設置していた為、このあたりは自由に選ぶ事ができた。

地下鉄丸の内線で東京駅まで出て、山手線で秋葉原に行き、総武線に乗り換え、ひと駅で浅草橋駅に入った。

山際は現実のこの駅を知っている。

最後尾車両から降りるとすぐに西口の階段がある。石づくりの使い込まれて丸く磨かれている階段を降りるとすぐに改札になる。左にはトイレがある。そのトイレは白いスイングドアになっている。細かい所まで再現してあると山際は思った。改札の正面は券売機で、両側に出られるようになっている。いわゆるガード下のスペースが西口になっている。

山際と正義は改札を出た。時間まで30分程度ある。山際はマイクのスイッチを切った。

「正義。マイクを切れ。」

のぞみの隣りの席に居る正義はそれに従った。

「能登島は監視がついてるはずだ。どうやって話すつもりだ?。」

「能登島さんは管理者なんでバーチャル日本政府と連携してるんだ。マイクの音声入力をバーチャル日本政府が止めて、別の映像をモニターに流すと言ってた。能登島さんはキーボードで会話すると…。」

「こっちもか?。」

「いや…。こっちのモニターは通常とかわらないって。」

「すごいな。自分の打った文字を見ずに会話するのか…。こっちがしゃべった事は、どうやって認識する?。」

「能登島さんの眼鏡に仕掛けがあって、モニター上に暗号化されて表示されている文字を見る事ができるらしいよ。」

「命がけだな。…来たな。」

山際はマイクのスイッチを入れた。山際のモニターの中に、アロハシャツを着たジーンズの男が入ってきた。

「ありがとう正義君。連れてきてくれたんだね。」

ジーンズの男は正義に呼びかけて、山際の方を向いた。

「能登島秀彦です。山際厚さんですね。」

山際は差し出されていた手にクリックして握手した。

「どうも。手短にいきましょう。見張ってる方もみえるようなので。」

「そうしてもらえると有りがたい。」

「まず。何から?。」

「実は、テッドマクシミリアンの遺産の中に、大統領選の不正の証拠があると言うのはご存知ですか?。」

「えぇ。」

「山際さんにお頼みしたいのは、不正が行われた理由です。」

「それは私が一番知りたい事です。」

「実はバーチャル日本政府と3日前に接触したんですが…その時の情報の中にジョン ミッチェルと言うプレイヤーがエントリーしている事が分かりました。」

「ジョンが?。よく知ってますよ。父親とは知り合いなんです。」

「そう。ジョン ミッチェルの父親は、エドガー ミッチェル。共同通信の記者で、この不正について取材中に消息を断っている…ですよね。」

「つまり、プレイヤージョンと接触して欲しいと?。」

「はい。旅費は山際さんのデータに入れておきます。バーチャルアメリカに居るジョンと話してみてください。」

「どうやってゲーム内をアメリカまで?。」

「パラメーターに金額があるので、成田空港に行くだけで飛行機に乗れます。パスポートも所持リストに、すでに入っています。正義君の分も。それから身体能力のパラメーターは2人とも最高にしておきました。ゲーム内で襲われたら反撃して下さい。無敵ですから。山際さんは英語はできますよね?。」

「問題ない。」

「正義君の方には、直訳で翻訳が出るから意味はつかめるでしょう。」

のぞみの山際はメモを取り出した。

「ちなみに、これは仕事なんですが…拉致された経緯を話して頂けますか?。」

「えぇ。構いません。実は文章にしてあるので…それをバーチャル日本政府に頼んで、そちらのEメールの方に入れておきます。長くなるので…。」

「それで構いません。」

「では。そろそろ別れましょう。山際さん、正義君。ありがとうございました。調査の件はよろしく。」

「こちらこそ。」

能登島は改札の中に消えて行った。

山際はいったんゲームを抜けた。正義もそれにならった。

「さて…。スクープだな。Eメールを見てみるか…。」

正義も山際のノートパソコンを覗き込んできた。



ー第11面につづく





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