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三話 【RMK】

お久しぶりですみなさん。遅れてすみませんが、今回は前回よりは長くなっています。

それではどうぞ!

 

「ハアッ・・・ハアッ・・・!」 


 木々に間をくぐり抜け、迫り来る攻撃から逃れる。

 全力で走り抜けてきたため、息切れを起こし、体中で酸素不足が発生しているが、息を整える余裕はない。

 一瞬でも気を抜けば、ヤツラに殺られる。

 そう、この白鷺高校最強・・・いや、最凶組織【|RMK《リア充、抹殺します、殺します】に。

 【RMK】は、その名の通り、モテない男たちの同盟だ。

 ただ集まるだけ、それなら誰も文句はない。しかしそこは白鷺高校、良くも悪くも行動力が素晴らしかった。

 彼らはいつしか、自分たちの傷を舐めあうだけでは満足できなくなり、組織の外部―――リア充にその敵意を向け始めた。

 だが、リア充はリアルが充実しているだけあって強かった。割と本気なレベルで。

 大体モテる奴は、顔がいいだけじゃなくて運動神経も良かったりするもんな。

 そこで、【RMK】は個人で戦うことをやめ、集団という数の力を日に日に高め、武器を手にし戦うようになった。

 なんか、感動できる話に聞こえるかもしれないが、それは勘違いだ。ただのリア充に対する私怨だ。

 組織の規則にも抜けがけは禁止(つまり、彼女持つこと)などが事細やかに書かれており、違反者には組織員全員による、”リア○鬼ごっこ”が待っている。佐藤じゃないけど。

 ただ、やたらと凶暴な割には礼儀正しく、道で転んで怪我をしている時など、消毒液や絆創膏を渡してきたりするらしい。

 リア充?絆創膏と消毒液の代わりに、エアガンを眉間に突きつけるよ。

 リア充が、そんな都合よく転ぶことなんてないけど。

 そして、今俺が追われている理由は多分、「ラブコメみたいなことをした天誅」だろう。

 あの転校生もワケのわからないこと言いやがって、会ったことすらないだろうが・・・。

 交差点とか言っていたけど、そんなラブコメ的にぶつかってスカートの中に頭を突っ込むなんて、おいしい思いしてねえぞ、俺。

 忘れてるだけということもないだろう。そんな素敵体験があったら、一生脳内メモリーに記録してるだろうし。

 とにかく、あいつらから逃げきるにはチャイムを待てばいい。

 流石に、授業を潰してまであいつらは追ってこない。

 ・・・いや、昔追ったことがあって、白鷺高校名物教師に全員捕まって、翌日まで生徒指導室に監禁されたことがあったから、やめたんだっけ。

 あの時は、本気で怖かった。全員アンデット、って・・・何があったんだよ。


(キュイーンキュイーンキュイーン)


「あ?・・・携帯か?一体こんな時に、誰がメールを・・・森沢?一体何だ・・・?」


『  件名:全力で逃げろ


   本文:一時間目自習になった。

      そのせいで、サバゲー同好会と、エアガン同盟がそっちに追加された。

      急いで、どこかに隠れろ。さもないと―――』


 パシッと、顔の横で何かが当たる音がした。

 恐る恐る見ると、そこにはコンクリに若干めり込んだBB弾が・・・


『こちら、Z部隊。狙撃失敗しました』


「ざけてんじゃねえぞてめえらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


 狙撃、確実に犯人はわかっている。サバゲー同好会とエアガン同盟だ。

 この学校には、さらにおかしなことに、一般人はあまり関わることはおすすめされない部活がある。

 だいたい、全部で確か・・・五個くらいだったか?

 その中でも、悪名高きサバゲー同好会とエアガン同盟・・・まさか、奴らも【RMK】に加入していたとは・・・。


「―――よそ見は、死を呼ぶ」


「なわけねえだろ!」


 突如地面から現れたコンバットナイフを右に飛んで躱す。

 マントのようなものを羽織っているところからして、地面に隠れて待ち伏せしていたんだろう。

 もしかして、あの狙撃もブラフか?もう、学校なんてこなくていいから紛争地帯でも行ってろよ。

 兵士Aの持つ、黒いコンバットナイフが光る。明らかにモノホンだろ。誰だよこんなことに予算出したやつ。


(キュイーンキュイーンキュイーン)


 携帯が、また鳴る。律儀に携帯に出る時間はくれるようで、襲いかかってこないので遠慮せず携帯に出る。


「・・・もしもし?」


『もちろん、その予算を承認したのは私―――!』


 ブツッ!全力で切ってやった。おかしい、心の中の声のはずなのになぜあの馬鹿が知っている。

 いま電話をかけてきたのは、あのうざいテンションからして生徒会長だろう。

 もちろん、働かない。自分の興味のあることなら、全力で取り組むが・・・。

 今日も、副会長は大変だろうな・・・なんで、あんな不良集団の中に、あんないい人が入ってしまったのか今も悔やまれる。


「話は終わったか?」


「・・・ああ、そういえばいたな」


「さっきからな、待ってやったんだから、おとなしく引導を渡されろ」


「ごめん被るな!」


 ダッシュ!俺は逃げ出した!


「・・・・・・逃がしはしない」


 地獄から這い出るその声が、やたらと怖かった。




          *




 走り続けて、やっと校門までたどり着いた。

 一時間目は自習ということだから、五十分間もあいつらから逃げ切らなければいけないという計算になる。流石に俺も無理だ。

 そこで、俺は一旦学校から避難。二時間目の開始とともに教室に飛び込む、そういう計画だ。


「ここまでくれば、あいつらも・・・」


「「「「「残念だったな!!!」」」」」


「わかってたよ畜生ッ!」


 校門五十メートルの地点で、【RMK】の組織員が現れた。

 どうでもいいけど、地面から出てきたやつがどうやって入ったんだ?穴でも掘ったなら後で埋めとけよ。

 多彩な武装や服装をした【RMK】構成員が立ち塞がる。

 数は・・・三十人!?


「おいちょっと待て!なんでそんなにいるんだよ!?」


「ふはははは、貴様が一旦学校から逃げようなどとうにお見通し!おとなしく縄に付け!」


「なんで俺の方が悪役っぽいんだよ・・・」


 どう逃げようかと考えていたら、後ろからも増援が来てしまった。数は二十人。

 くそ・・・時間をかければかけるほど増援が・・・一体どう逃げる。


「これで終わりだ!”遊戯帝”!」


「こんなところで・・・!」


「皆さん、何をしてるんですか?」


 ヒーローのエンドっぽい展開をしていると、【RMK】の後ろから少女の声が聞こえてきた。

 このやたらとロリっぽい声は、まさか・・・。


「・・・アロンなのか?」


「はい、アロン・ウォーです。みなさんおはようございます」


 モーゼの十戒のように割れた【RMK】の間を堂々と歩く、メイド服姿のロリ。

 身長も小学五年生ぐらいしかない、一見かわいらしい少女に見えるかもしれないが、勘違いはしてはいけない。

 この少女は、あの有名な”電脳皇”の部下だ。

 しかも、人間ではない、ロボットだ。

 関節部分も完ぺきに人工皮膚で覆われており、自己進化型知能を搭載しているため、感情も豊か。

 その圧倒的なほどのオーバーテクノロジーばかりの機体は、もちろん各国から狙われまくっている。

 一部有名企業も狙っていることを教えてもらった時は、びっくりした。

 もちろん情報源は”電脳皇”だ。学校には来ないが、携帯のメアドは知っているからな。

 そんなアロンだが、誰かに守ってもらっているということはない。自分の身は自分で守る。それが彼女の中の三原則の一つだ。

 ただ、その三原則には一番重要なものが入ってない。


 それは―――『人を傷つけてはならない』。


 それはもう、刺客に対しては容赦ない攻撃を繰り出す。思わず同情するぐらい。

 全身に搭載された重火器が火を噴き、スプリングや人工筋肉をフル活用した怪力の戦闘術は、人間では勝てない。いや、人間である限り勝てない。

 ”仮面王(ペルソナ)”?ああ、あれはもう人間じゃないよ。多分、魔人とかそういうもの。そう皆納得している。

 そんな戦いに明け暮れた日常をおくっている彼女は、暴力が嫌いだ。

 いじめなんて光景を見たら、暴走しまくって相手を病院送りにしてしまった記録がある。

 そのため、いろんなゴタゴタがあったが、相手も最初はアロンに襲いかかっていたという記録がアロンの中にあったため、訴訟には至らなかった。この見た目の少女に襲いかかるって・・・ロリコンかよ。

 まあ、前置きはこれでいいとして、そんなこんなでアロンは一部生徒からかなり恐れられている。

 ついたあだ名は、”孤独な戦争”。見事に、名前とマッチしている。

 ちなみに、このあだ名は彼女の戦争後には誰も立っていなかったことに、ちなんでいる。

 だから、今のように俺に襲いかかろうとしている光景は彼女にとっていじめのように見えるわけで・・・。


「ところで皆さん・・・なんでリュージさんを囲んでいるのですか?いじめですか?リンチなんですか?


 そうアロンが問いかけると、全員が一斉にあさっての方向を向く。逆効果だろそれ。

 そんな中、一人ドモリながらもアロンの問いに答えを返す。


「い、いえ違いますよアロンちゃん。べ、別に俺らよってたかって”遊戯帝”に危害を加えようとしてたわけじゃねえよ?」


「なんで疑問形なんですか?後、私の顔を見て話してください」


 それは無理だろ。相手の眼球の動きや顔面筋の収縮で嘘を見分ける機能があるのだから。


「い、いやね、今日は雲の形がきれいだなって思って・・・」


「今日は日本晴れですよ。雲なんてありません」


「空の小鳥が、可愛いなって・・・」


「現在上空には、人間の認識範囲内に生命体はありません」


「・・・アロンちゃんの顔が可愛すぎて、直視できないんだよ!」


「昨日、正面から見てたじゃないですか」


 万事休す、どんな言い訳もアロンの前には通じない。そこに待つのは絶望だけだ。


「・・・・・・みなさんが正直に答えてくれないというならば、本人に聞くしかありませんね。リュージさん、どうなんですか?」


「「「「「ちょ、それは、だ―――」」」」」


「寄ってたかって追いかけてきて、殺しにかかってきましたー」


 必死のアイコンタクトを無視し、棒読みで返す。

 嘘はないとわかったのか、アロンはにっこりと【RMK】笑いかける。


「いじめは・・・いけませんよ?」


 白鷺高校校門前、今日も元気な悲鳴が響き渡る。


次は未定。


アロンは、一国を一人で滅ぼせます。

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