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地下神殿(1)

 小説なんて挫折してばかりで書けてません。

 TRPGのシナリオはずっと作っていたので、そこだけが頼りです。

 完結できるかも分かりませんが、どうかほんの少しお付き合いを…。

 太陽の光さえ届かない地下道の奥底、本当の暗闇の中で、人は長く正気を保つことは出来ないと、私のお師様はいいます。

 私の持つ光水の瓶とお師様の周りをふらふら漂う光を放つ精霊の心許ない明りだけが、私やお師様の正気を支える唯一の道標のようです。

 私たちは樹海エウロ地方、エ・フェルの倒壊塔から北東へ2日の場所にある中世期時代の地下神殿跡を探索しています。地下神殿への通路は荒くノミで削られただけのトンネルで、防衛のためなのか、複雑に分岐や合流を繰り返し、時には用途不明な横坑や縦坑などがあり、侵入者を拒んでいます。

 今いる場所を説明したいのですが、私の方向感覚はすでにぐちゃぐちゃで、お師様が言うには『南に122歩、東に71歩、入口の高さから下へ40歩』位の場所だそうです。

 今まで、変わり映えのない坑道をひたすら歩いてきたのですが、ここに来てようやく地下神殿という言葉通りの、2階建ての建物よりも高く岩盤をくり抜いて作ったと思われる神殿前庭、人二人が手をまわしてようやく足りるくらいの太い石柱のアーチが、奥にそびえる神殿本殿へと続いています。

 お師様と私はその石柱のそばに膝をつき、建築様式や柱に彫られた紋様などから、どの時代のどの国の建築物か調べることにしました。

「事前の情報収集通り、この地下神殿はルニ・カン王朝の物のようね」

 手元に光を近づけているため、下から光のあたる顔の陰影で、少しおどろおどろしい表情に見えるお師様は、そのまま舌舐めずりでもしそうな勢いで私の方を覗きこみ、「その根拠は?」と私に問いかけてきます。

 私はお師様の講義を思い出すように、石柱の下の方に描かれた浮彫の紋様を指でなぞりながら、

「え、と。土台にあるコブが3つあり中央が最も膨らんでいることと、柱全体が中央で最も細くなっています。これは典型的なレガル様式なのでルニ・カン王朝の物であると思います…」

 そこで私の言葉は切れ、必死に石柱の様子を観察するのですが、それ以上の事が分からず言葉が詰まってしまいます。

「…っ!?そう、この蔓草の紋様から中期黄金時代の神殿遺跡ではないでしょうか?」

 何とか答えてお師様の顔を振り返って見たものの、正直あまり自信はありませんでした。

「ん~。70点くらいかな?」

 頬に指を当てて小首をかしげるお師様は、そう言って私に周囲を見るようにと光の精霊を飛ばします。

「本殿向かって左手に枯れてるけど《泉》があるでしょ?逆に右手には《石塔》が組まれてるでしょ?」

「…《泉》と《石塔》はそれぞれ海と大地を表し、これは大地の神オゼを象徴するもの」

「そう、オゼはルニ・カン王朝後期、狂帝の時代のみに祀られた樹海の神」

 お師様はゆっくりと背負っていた背嚢を石柱のそばに置き、外套も脱ぐと手早く畳んで背嚢の上に置きました。私もあわててそれにならい、身軽になります。

「貴方が見つけた蔓草模様は確かに中期の物だから、間違えやすいけど、こう言う様式も無いわけじゃないの。問題は…」

 両膝を突いて座ると、鎧の結び目や留め金を点検し、腰回りや胸に吊り下げているポケットの中身を取り出しやすいように入れ替え、今まで杖代わりにしていた短い槍を手に取り、槍先に掛けていた革の鞘を外してそちらを見もせずに、荷物の方に投げ捨てます。

「問題はルニ・カン王朝暗黒時代、狂帝の造りし地下神殿。しかも未盗掘となると」

 立ち上がって槍の具合を確かめるように握りしめたお師様の目は、普段とはかけ離れた冷たさを帯びてきていました。

 国宝である羽根無し竜の槍(ケルドラン・スピア)を手に、技物の岩斬剣(ロックカッター)を腰に下げ、のしかかって来る様な石柱の参道の中央に歩み寄り、光の届かない本殿の、さらに奥へと視線を向けると、先ほどまでの雰囲気とは異なり、張り詰めた空気が辺りに満ちてきました。

「狂帝は予想外だったわ。もっと安全な場所かと思って、貴方を連れてきたのだけれど」

 槍を肩に掛け、長く綺麗な赤い髪を、くすんだ色のハンカチで縛っていても、漲る様な集中力で前の方を睨みつけるお師様。

 本殿の奥から足音も立てず、獅子と山羊と蝙蝠と蛇を無理やり繋げたような怪物が現れました。

 まっすぐ、そしてゆっくりとお師様に近づいて、あと10歩という距離を開けて対峙します。

「少し、隠れていなさい」

 髪を結び終えた手はそのままに、腰を落として構えたお師様は、私に逃げるように言いました。

 怪物も姿勢を低くし、今にも飛びかかろうと牙と爪を剥き出しにしています。

「必ずお家へ連れて行ってあげるから、ノエア」

 その言葉と同時に、お師様と怪物は一気にお互いに飛びかかり、私は一目散に坑道へ駈け出しました。


 私が居てはお師様の邪魔になるから。


 私は怖くてお師様のそばに居る事が出来ないから…。


 あらすじでは風呂敷を広げてみましたが、どうなることやら…。

 早くも文体を一人称で書いたことを後悔しているので、原形をとどめぬほどの修正がかかると思います。

 また、話の大筋は決めているものの、登場人物の名前とか、固有名詞はテキトーなので変更するかもしれません。クローチェって名字で誤魔化してます…。

 あと、投稿ペースは遅いと思います。

 もし読んでくれた方がいましたら、元気を分けてください(苦笑)


 それでは

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