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西鳥 なのは

 _ここはどこ?

「うっ」

白くて飾り気のない部屋。あるのはベッドの近くの小さなテーブルに置かれたピンクのガーベラが数本入った花瓶だけ。

「なのはっ!?大丈夫っ?今お医者さん呼んであげるから!」

ベッドには病弱そうな黒髪の女の子が母親に泣きつかれてる。点滴のそばには『西鳥なのは』と書かれたネームプレートが揺れていた。十数秒すると、看護師や医師が慌てて駆けつけてきた。そのまま女の子はベッドに乗せられて部屋から出て行った。残ったのはさっきまで女の子が読んでいた本だけだった。タイトルは『可憐令嬢−ソフィア・クレサランド−』。表紙には白バラに囲まれたピンク髪の女の子が描かれていた。

 _ん?ソフィア・クレサランドって。

 

 「ソフィ!」

んー、お父様ったらうるさいなぁ。もう少し寝させてよ。

「ソフィア、もう2日も寝てるんだよ」

「おい、いい加減起きろよ」

だーかーらー

「起きてるってば!」

「うおっ」

飛び起きると同時に記憶が蘇ってきた。

三代公爵家のクレサランド家の娘_ソフィア・クレサランド。亡き母似のピンク髪にクレサランド家の象徴の青瞳。生まれた頃から病弱で、生死を彷徨ったこともしばしば。それが私だ。

「コイツ、頭打っておかしくなったのか?」

このバカにしてくるのは私の兄であり、クレサランド家の次男のセドリック。

「妹に変なのことを言わないの」

で、こっちは長男のルシアン。いつも突っかかってくるセドリックと違ってルシアンはお兄ちゃんって感じがして頼りになる。

「ソフィ、もう大丈夫かい?」

「はいお父様」

クレサランド家の当主_ヘルマン。魔力を主とするクレサランド家で最も膨大な魔力を持っている。

「おかげで元気になりました」

笑いかけたが

「…気づいてあげられなくてすまない」

「?」

「メイドから聞いたんだが、ソフィが重い水の入ったバケツを持って転んだようだな。そんなものメイドに持たせれば良いものを…ああ、ソフィを責めたわけではないからね。ただどうしてバケツなんか持っていたんだい?」

「えっと」

そういえばお父様、いやお兄様たちも私がメイドに虐められていることを知らないんだ。ならみんなの前で大恥をかかせてあげないとね。今の私はあの時の可憐だった令嬢なんかじゃないんだから!

「ヘレナ」

私が名を呼ぶと扉の前で待機していた私の専属メイドのヘレナが出てきた。

「…おはようございます、お嬢様。何か御用ですか?」

ヘレナはちらりとお父様の顔色を伺ってから、面倒くさそうに私を見た。

流石にお父様たちの前では虐める気にはならないらしい。ならこっちから仕掛けてやるわ。

ベッドから飛び降りてヘレナの前に立つ。

「やられたら倍返し!」

掛け声と共に思いっ切りヘレナに向かって拳を振り上げた。


__ぺち。


ん?んん?ちょっと待って、『ぺち』って何?やばい恥ずかしくて死にそう。セドリックなんか今にも吹き出しそうだし。

「あ」

久しぶりに体を動かしたせいでエネルギーが切れた。倒れる。

「お前!」

誰かに抱えられたところで意識が遠のいた。

ずんずんじゃかじゃか☆

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