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第1話:世界を“外から”見るという考え方

「なんでこんな行動するの?」「こいつ、馬鹿すぎるだろ」


 アニメや小説を見ていて、そんな感想を持ったことはないだろうか? 物語を見ていると、登場人物の行動にイライラしたり、理解不能な選択にため息をついたりすることがある。それは当たり前だ。人間は、自分の価値観や常識、経験を通じて物事を判断する。その基準から外れた行動を見ると、違和感を覚えるのは自然なことだ。


 だが、ここで一歩立ち止まってほしい。


 その「違和感」や「苛立ち」こそが、実は思考を深めるチャンスなのだ。


 登場人物が“なぜそんな選択をしたのか”、その行動の裏にはどんな考えや状況があったのか。 これを考えようとすることが、メタ認知の第一歩となる。



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 メタ認知とは何か?


 メタ認知とは、「自分自身の思考や感情を客観的に捉え、コントロールする力」である。 簡単に言えば、**「自分を外から見る視点」**だ。


 たとえば、怒っているときに「自分はいま怒っている」と冷静に気づけること。悲しみに沈んでいるときに、「この感情は状況から来ているものだ」と理解できること。これがメタ認知だ。


 そして、この力は、アニメや小説を読むことでも鍛えることができる。



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 物語を“外から”見るという視点


 物語の中で、登場人物たちは多くの選択を迫られる。 例えば、次のような状況を想像してほしい。


 > ある青年が、敵を討つために自らの命を賭ける決断をする。




 読者の中には「そんなことをしても意味がない」「無駄死にだ」と思う人もいるだろう。 だが、物語の中では、それが彼にとって“正しい”とされている。


 このとき、読者としてどう考えるかが分かれ道だ。


「こいつは馬鹿だ」と切り捨てる


「なぜ彼はこの決断をしたのか」と考える



 後者の視点を持つと、彼の背景や信念、価値観、そして置かれた状況が見えてくる。 「家族を殺された」「愛する人を守るためだった」「彼の中では正義だった」


 こうした視点を持つことで、物語はただの展開から、人間の内面を深く探る素材へと変わっていく。



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 自分の感情を疑うという行為


 物語を見ているときに出てくる「ムカつく」「共感できない」「感動した」 これらの感情も、実は自分の思考のフィルターを反映している。


 あるキャラクターを好きになった理由。 ある展開に納得できなかった理由。


 それらを振り返ることで、「自分はどういう価値観を持っているか」「どんな場面で感情を揺さぶられるか」が見えてくる。


 たとえば、自己犠牲をするキャラに感動したのなら、「自分は他人のために尽くすことに価値を感じている」と言えるかもしれない。 逆に、主人公が他人を見捨てて生き延びる展開に共感したなら、「合理性や自己保存を重視する傾向がある」とも言える。


 つまり、物語を見ながら自分を観察することで、自分自身の輪郭が浮かび上がってくる。



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 小さな違和感を見逃さない


 特に重要なのが、「なんとなくモヤモヤする」場面である。


 論理的に間違っているわけではない。でも、なぜか納得がいかない。 キャラの選択が正しいように描かれているのに、心がついていかない。


 こうしたとき、「なぜ自分はそう感じたのか?」を考える癖をつけると、 メタ認知力は確実に伸びていく。


 これは、感情に流されずに「その感情の正体」を観察するトレーニングだ。



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 最初の一歩としての意識づけ


 この第1話では、メタ認知の基本的な考え方と、物語を使った入り口を提示した。


 難しいことをする必要はない。 アニメや小説を見たとき、「なぜ自分はこう感じたのか?」「このキャラの選択はなぜ正しく(または間違って)見えるのか?」と問いを立ててみる。


 その一歩が、思考の深さを一気に変えてくれる。


 物語はただ楽しむだけのものではない。 自分を知り、他人を理解するための、優れた思考装置なのだ。



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