見せしめ。
見せしめ……
それが何かを確認するために俺らは倉庫へ走っていった。
倉庫にあったものは意外なもの。いや、実際に鏡さんではあったんだけども。
死んでるわけでも、口が無いわけでもなく、普通に座っていた。
だが口が開かないようにもがいていた。
「これはなんだ?」
兄貴が言う。
「これは鏡さんのようね。口が開かないみたいだけどどうしたのかしらねえ」
「そうじゃ! ここにはプリン伯爵からの手紙は無いのか!」
「そうですね。僕も探してみます」
「じゃあ俺も探してみるぜ!」
そういって探してみるとスグにみつかった。
今度のプリン伯爵からの手紙の内容はこのようなものだった。
『わたしはプリン伯爵。
見せしめは見てくれたかな?
彼はわたしの魔法で口が開かなくしてやった。
そして倉庫からでれなくもしてみた。
この魔法を解くにはわたしを見つけなくてはならない。
わたしはどこにいるか、キミタチの中にいるかキミタチ以外にいるかはわからない。
だが、わたしはこの屋敷にいる。
もし見つけられたらプリンを返す。
見つけられなかったら君たち全員から口と場所を奪う』
また、物騒なことを書いているな。
でも殺しはしないのか。
……いや、前言撤回。
口が開かなけりゃ食えない飲めないしゃべれない!
それで生きていけると思うか!
「これは、なんとしてもみつけなくちゃね」
「そうね。鏡さん、一つも台詞なかったけど、どんなしゃべりかただったのかしら」
「たしか鏡は○○であります。○○のはずでござる。だとというなんか変な言葉だったはずです」
そうなのか、小田島さん。
「もう鏡さんのことは忘れよう。とりあえず今日はみんなで屋敷内をまわってプリン伯爵を見つけ出そう」
「そうじゃな。でも鏡さんをわすれてはいかんぞ。」
そりゃそうだ。
この事件は推理可能か、それとも不可能か。
でもこの世に存在する事件に犯人、被害者が居る限り必ず答えはあるのだから可能ではあるだろう。
この時はまだプリン伯爵の恐ろしさを知ってはいなかった。
この事件はもうすぐ解決する。
そのもうすぐ、はそれなりに長くはなるだろうが。
あえていっておく、プリン伯爵は俺達の中に居る。
俺達の中には居るが俺達の中には居ない。
その言葉の意味を考えてほしい。
~第3話 完~
今回から音理の口調は~じゃ。~ですぞ。などのおじいさんぽい言葉使いになりました。
これは個性をつけるためですので気にしないでください。