第9話 ワイバーン殲滅
オレは素朴な疑問をオリヴァーに投げかけた
「森が焼き払われた件で国を出たみたいだが、どうしてこんな洞窟にいるんだ?」
「この洞窟の最奥に生えている植物を採取しようと思いまして。」
「その植物は今は採れないらしいぞ。」
「えっ!?」
「今、この洞窟の最奥にワイバーンの群れが住み着いているらしく、そのワイバーンたちがその植物を食い荒らしているらしい。ちなみに、オレたちはそのワイバーンたちを討伐するところなんだよ。」
「そうなんですか…。」
オリヴァーは分かりやすく落胆する。
最下層に到着すると、ワイバーンが数えきれないほどいた。
ざっと見ただけだが、100体はいるだろう。
「たくさんいますね~。全部で220体もいます。」
リエルが正確な数を教えてくれる。
予想の倍以上いて少し驚くが、100体でも200体でも何体いても変わらない。
やることは変わらないのだから。
オレは『犠牲』のスキルを使うことにした。
左脳に少しの損傷を与えることによって、新たな神器を作り出した。
作り出したのは、『フラガラッハ・レプリカ』。
その剣は、鍔と柄は紫色をしていて、刀身は黒く輝き、太さは均一で細長い。
『フラガラッハ・レプリカ』の持つスキルは『絶対貫通』と『不能治癒』
『絶対貫通』は『フラガラッハ・レプリカ』による斬撃はどんなに硬い装甲や防御魔術でも必ず敵本体に傷をつけることができるというスキル。
『不能治癒』は『フラガラッハ・レプリカ』によってつけた傷は如何なる方法でも治癒することができないというスキル。
『自動回復』のスキルを持ち、硬い鱗を持つワイバーンには、天敵とも言える武器だ。
わざわざ、これほど大層な武器を作る必要はなかったが、今回は『フラガラッハ・レプリカ』を作ることより、左脳に少しの損傷を与えることが目的だった。
どういうことかというと、左脳に少しの損傷があると、サヴァン症候群という病気にかかる可能性がある。
サヴァン症候群は記憶能力、数字、音楽、美術、機械的能力、空間的能力等々…、このような分野において驚異的な能力が発現する。
まあ、平たくいうと天才になるということだ。
「払う犠牲を逆手に取るか。おもしろいな。」
「スキルは使いようだ。」
オレが作り出した剣をみて、オリヴァーは不思議そうに口を開く。
「何もないところから剣が出てきました。スキルですか?」
「そういえば、わたしと闘った時も、何もないところから剣を出していましたね。どんなスキルなんですか?」
そういわれて、オレのスキルについて教えた。
「へ~。難儀なスキルですね~。」
疑問に答えると、オレは早速ワイバーンの駆除に動いた。
オレは飛行魔術を発動し、ワイバーンを切り裂いていく。
「空を飛びました…。凄いですね…。」
「クラウスが空を飛んだ時は、さすがのわたしでも驚いたからな。」
「サフィーラさんはクラウスさんとはどのようなご関係なんですか?」
「あ、それ、わたしも気になってました。教えてください!」
「ただの協力関係だ。」
ワイバーン駆除中に、3人の話し声が聞こえてくる。
そんなどうでもいい会話を聞きながら、ワイバーンを倒していく。
気付くと、残り1匹というところまで来た。
そして、最後の一匹を斬り落とした。
最後の一匹を斬り落とした時、そのワイバーンの中から、紫色の宝玉のようなものが出てきた。
よく分からないものだったが、不思議と目が惹かれるものだった。
なにかに使うかもしれないと思い、何のためバッグにしまっておいた。
「あれだけいたワイバーンがあっという間に…。」
オリヴァーは感嘆の声を漏らす。
もうここに用はない。
すぐに洞窟から出た。
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