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第5話 焼き払われたエルフの森

空の旅を続け、明け方になり、朝日が差し込んできた。

あと、1時間ほどで『リンデ』に到着するだろう。


「クラウスさん。そろそろつかれてきましたぁ…。」

「もうすぐだ。あと1時間くらいでつくだろう。」

「長いです…。」


疲れ切っているリエルからは闘っていた時の覇気は微塵も感じられなかった。


あと少しで目的地に到着するというところでオレは気になるところを見つけた。

それは焼き払われた跡の森だった。

明らかに、自然発火ではなく放火のような跡だった。

そして、その場所には多くの人が立っている。


「寄るのか?」

「ああ、気になるからな。」

「えっ、どこに行くんですか?『リンデ』に行くんじゃないですか?」


オレとサフィーラは意識が同化しているため、なにも説明しなくても通じるが、それ以外の人にはそうはいかない。

全く理解できない様子で、慌ててオレに聴いてくる。


「森が焼き払われた跡はあるだろう。」

「ん~~~。あ、ほんとだ。」

「一度そこに寄る。」


オレたちは森があったであろう土地に着陸する。

すると、そこには多くのエルフ族が暗い顔をしていた。


全員が一斉にオレたちを見て、警戒心をむき出しにした。

それも当然だろう。

エルフ族は11の種族の中で、最も仲間意識が強く、他種族への警戒が高い。


多分、本来なら全員から一斉に攻撃されていただろう。

そうされなかった理由は、オレが考えるに2つ。

1つ目は自分たちの住処が焼き払われ精神的にやられてしまっているから。

2つ目は人間族のオレが天使族を連れているからだろう。


「少し聴きたいことがあるんですが…。」


オレはエルフ族を強く刺激しないように問いかけるが、誰からも返事は帰ってこない。

ただ、全員がオレたちを睨みつけるだけだ。


空気が張り詰めている状態がしばらく続いていると、一番年老いているように見えるエルフ族が口を開いた。


「あなたがたは一体何者ですかな?今は、このように我々が住んでいた森が焼き払われ、ここにいる全員が寝床をなくしているのです。みなが精神的に不安定である、早々にお引き取り願いたいのですが。」

「驚かせて申し訳ありません。空から焼き払われた跡の森を見つけて気になったので。お聞きしたいことがあるのですがよろしいですか。」


オレは老人のエルフ族から早く帰るように言われるが、こちらもそういうわけにいかない。

事情を聞かなければならない。


「はあ…。なんですかな?」

オレが帰る気がないのを感じ取ったのか、老人のエルフはオレの質問に答えることにしたようだ。


「いつからこの状況なのですか?」

「3日前からです。放火の跡が残ってますので、何者かに焼き払われたとわたくしどもは思っております。」


3日前というと、リエルの国が神霊族に襲われた日と一緒だな。

偶然の可能性もなくはないが、偶然と切り捨てるのは愚策か。


「放火犯に心当たりは?」

「全く検討ついておりません。」


なるほど…。

これは神霊族と天使族のことを伝えたほうがよさそうだな。

そのほうがちゃんとした情報を喋ってくれそうだ。


「実は、3日前に天使族の国が神霊族に襲われるという事件があったのです。」

「嘘…をついているようには見えませんな。あなたが連れているそこの天使族はその件と関係があるのですかな。」

「ええ、そうです。天使族と神霊族の争いなど天地がひっくり返るような出来事。しかし、その天地がひっくり返るような出来事が起きてしまった。」


老人のエルフはしばらく考える素振りを見せる。


「これは本来エルフ族ではない人に教えることは許されないのですが、そんなことが起きているならば教えるべきでしょう。」


老人のエルフは何やらとんでもない情報を喋りそうだ。


「エルフ族は森に国を作りますが、普通の森には作りません。では、どのような森に国を作るのか、それは、大昔に存在した『ステュクス川』という川の水で育った森です。この川の水で育った植物は不死身になるのです。不死身になった植物は燃やされるなんてことはあり得ません。」

「エルフ族の間でも、あり得ないはずのことが起こったということですか。」


ここでエルフ族を救っておくと、色々と都合が良いだろう。

オレの野望を成し遂げることにおいて、エルフ族と友好関係を結ぶのは数ある難関の一つだ。

ここで、この国のエルフ族と関係を持っておけば、今後、他の国のエルフ族とも関わりやすくなるだろう。

この機を逃せば、閉鎖社会を築くエルフ族と関係を結ぶのは難しくなるだろう。


「森が焼き払われた件、オレなら救うことができます。」

「何を言っているんだ…。」


そんなことできるわけがないとでも言うように老人のエルフは言う。


「わたしの力を使うんだな?」

「もちろんだ。」


サフィーラからの問いかけに、オレは答える。

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