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第3話 天使族との邂逅

「お前のことは何と呼んだらいい?」

「んー、サフィーラとでも呼んでくれ。人間っぽいだろう?」


オレは飛行魔術での移動中、1つどうでもいい疑問をサフィーラに投げかけることにした。


「お前って、空飛べるのな。」

「それはこっちのセリフだ。空を飛べる人間族なんて見たことがないぞ。飛行魔術なんて聞いたことがない。」

「飛行魔術はオレがオリジナルで作った魔術だ。あったほうが便利だと思って、3年くらい前に開発した。」

「すごいな…。魔術開発には長い年月がかかる。寿命が長い種族が開発することはあるが、長くても100年しか生きられない人間族がやるとはな。」


この世界には11種類の種族がいる。

人間族、獣人族、エルフ族、人魚族、竜人族、精霊族、魔族、妖魔族、天使族、吸血鬼族、神霊族の11種類だ。


それぞれの種族毎に、それぞれのテリトリーを持っていて、複数の種族が入り混じることはほとんどない。

理由として挙げられるのは、価値観が違いすぎるからだ。例えば、寿命が100年しかない人間族にとっての10年と、寿命が10000年はあるエルフ族にとっての10年は大きく変わってくる。他にも、子の育て方、成長の速度等、相容れることができない要素は無限にある。


オレの野望は、すべての国が様々な種族が入り混じる国にすることだ。

まずは、第一段階として、自分ですべての種族が存在する国を作ることにする。


「それにしても、クラウスが持っている野望だが、本当に実現できると思っているのか?」

「さあな。ただ、もし、成し遂げることができたなら、この世界はもっと豊かで実りあるものになるだろう。できなかったとしても、こんな無謀な試みを成そうとした男がいたことを後世に残したいと思う。」

「なら、その役目はわたしがすることにしよう。」

「そうか」


そんな何の生産性のない会話を続ける。


移動を初めて、3時間ほど経つ。

すると、オレたちの頭上から背中に大きな真っ白の羽を持ち、頭に黄色の環がある、年齢は20代前半(これは人間族の年齢の基準)に見える女性が襲い掛かってきた。

その特徴的な容姿から、すぐに天使族だと判断する。


その天使族は左手に持つ、神々しい白の刀身を放ち、先端が二股に分かれた曲剣を振り下ろす。

それを察知したオレは『完全障壁グランシールド』で防ぐ。

この魔術は物理的な干渉だけでなく、魔術的な干渉とスキルの干渉も防ぐ。

一般的な防御魔術は物理的な干渉と魔術的な干渉どちらかしか防げないものはほとんどで、スキルの干渉を防ぐものは存在しない。

オリジナルで作った魔術は別だが。

そして、この『完全障壁グランシールド』はオレが作った。

父親と戦った時は、スキルを使わせる必要があったからこの魔術を使わなかった。


「完璧な不意打ちを防がれた…。いや、驚くべきところはそこじゃない。この剣による攻撃は防いだとしても、『生命力吸収バイタル・ドレイン』は発動するはずだが。」


目の前の天使族は戸惑っている様子だ。


「あなたは何者ですか?このわたしの完璧な不意打ちを難なく防ぐだけでなく、この剣がもつスキルも効かない。」


スキルは人が持つものだけでなく、強力な武具や防具も持っている。

この天使族が言っているスキルは自身が持っているスキルではなく、剣が持っているスキルのことだろう。


「勝手に襲い掛かっといて、質問に答えてもらえると思ってるのか?」

「それもそうですね。」


オレとオレに襲い掛かってきた天使族は睨み合う。


「なあ、そこの天使族。それは、天使族に伝わっている神剣『ズルフィカール』だろう?そんな大層な神器で何故いきなり襲い掛かってきた。」


サフィーラはそんなことを聞く。

『ズルフィカール』という言葉に聞き覚えがある。

昔、屋敷にあった本で読んだことがある。

なんとも、その剣は生命力を吸い取る力を持っているらしい。


「あなたに答える義理はないです。本当はあなたのことも気になりますが、今は彼のほうが最重要です。」


サフィーラと会話していた天使族は再びオレに目を向ける。


「サフィーラ」

「なんだ?」

「お前の力を使いたい。」

「わざわざ許可をとる必要はない。」

「払う犠牲は何でもいいんだったな。」

「そうだ。お前が持っている何かでも、お前と関係のある人物でも。何でもいい。できるだけ自分との関係が強いもののほうが強力な神器ができる。」


本当のことを言えば、目の前の天使族はわざわざ『犠牲サクリファイス』の力を使わなくても倒せる。

ただ、このスキルの要領を掴むために、一度この場で使っておこうと思う。

何を犠牲にしようか。

オレの体の一部か?

いや、これはまだ早いか。

自分に関係のある人物でも良いと言っていたな。

なら、明日にはシーベルト領の当主になっているだろうオレの兄の命にするか。


「なるほど。自分にとってはもう何の関係のない人間。でも、一応は家族関係。」


オレと意識を同化させているサフィーラはオレと考えていることを共有している。

わざわざ、詳しく説明しなくても理解してくれる。


オレは兄の命を犠牲に神器の贋作がんさくを作り出す。


「『ズルフィカール・レプリカ』」


オレと対峙している天使族が左手に持っているものと形がそっくりな剣を顕現させる。

しかし、その剣の刀身は禍々しい雰囲気を放ち、赤黒い色をしている。


「なんですか。その剣は……。『ズルフィカール』と似ているのに雰囲気が全く違う。」

「始めるぞ。終わったら、詳しい話を聞かせてもらう。」


オレは天使族と戦闘を始めた。

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