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ウオィリ教師

 翌朝、〈アコ〉が帰るのを皆で見送った。


 「〈タロ〉様、〈クルス〉さん、〈サトミ〉ちゃん、お見送り有難うございます。大変楽しい時を過ごさせて頂きました。お別れするのが寂しいです」


 「〈アコ〉ちゃん、さようなら。〈サトミ〉も楽しかったよ。また直ぐに会えるよね」


 「〈アコ〉さん、道中お気をつけてお帰り下さい。また会えるのを楽しみにしております」


 「〈アコ〉、本当に楽しかったよ。しばらく会えないのが寂しいな」


 「〈タロ〉様、一つお願いがあるのですが、私は皆さんと違って普段会えないので、お手紙を頂けないでしょうか。短いもので構いませんので、厚かましい願いですがどうかお願いします」


 「うーん、手紙か。頻繁には書けないけど良いかな」


 「書いて頂けるのですね。有難うございます。それと、〈クルス〉さんと〈サトミ〉ちゃんの手紙も、一緒に送って頂けないでしょうか」


 何だ、そういうことか。〈クルス〉と〈サトミ〉と手紙のやり取りをしたいのか。

 平民では、手紙の送り賃は負担が大きいからな。


 「〈アコ〉、分かったよ。〈クルス〉と〈サトミ〉の手紙は必ず同封するよ。でも、僕の手紙は短くても怒らないでよ」


 「もちろん、怒ったりしませんわ。〈タロ〉様、重ね重ね有難うございます」


 「〈アコ〉ちゃん、〈サトミ〉いっぱいお手紙書くよ」


 「私も書きますよ。〈アコ〉さんのお手紙もお持ちしています」


 お別れを済ませて、〈アコ〉は帰っていった。

 いつの間にか、許嫁達が随分と仲良しになっているな。何があったんだろう。



 僕の日課は、許嫁達との楽しい日々の他は、勉強と鍛錬が占めている。


 貴族の嗜みとして、ある程度の教養と武芸を修める必要があるらしい。

 そのため、午前中は教養を高める勉強を、午後からは武芸の鍛錬を強制されている。

 約一年後には、王都の学校へ入学する予定となっており、そのための勉強と鍛錬も兼ねているようだ。


 教養の勉強は、教会の教師が教えてくれている。


 教師の名前は〈ウオィリ〉といい、五十歳は超えている男性で、《ラング》の町に、教会団本部から派遣されている人だ。


 勉強の内容は、文書の綴り方や地理や歴史が中心である。

 他には、礼儀作法とか、一般常識など良家の子弟が覚えておくべき事柄全般も、勉強の対象となっている。

 教会の関係者のため、当然、この国の主神である《アルプクカスト》神の教えは、最重要科目だ。

 勉強を始める前には、神への祈りが必須となっているほどだ。


 この世界の宗教は四信教というもので、この四神の子孫が、四種類の人類を構成しているということになっている。

 

 四つの国は、おおよそ東西南北に別れており、その国境は大きな山や川だ。

 また、人種構成は単一ではなく、程度の差はあるが少しだけ混住している状態にある。


 〇 北 《インラ》という、エルフっぽい人達が住んでいる国、

 〇 西 《トロヘ》という、獣っぽい人達が住んでいる国、

 〇 南 《オブア》という、爬虫類っぽい人達が住んでいる国、

 〇 東 僕が今暮らしている《アルプ》という国。


 カレンダーは、一年が六月に分かれている。

 ただ、各月が、先月と後月に分かれていて、実質十二月とあまり変わらない。


 曜日の概念は無く、概ね10日ごとに、休養日が定められている。

 十日に一日しか休みが無い、労働者にとって厳しい世界だと思う。


 身分制度は【王様を筆頭に、王家、貴族、平民、奴隷】と大きく5種類に分かれている。

 文明の程度が中世の段階を超えていないので、貴族と奴隷制がまだ残っているようだ。


 正確な数字ではないが、王国民のうち、貴族=10%、平民=80%、奴隷=10%の人口構成と言われている。

 「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・騎士爵」と定められている貴族制度の中で、子爵は四番目のため、爵位の中間の位置といえる。

 このような身分社会で、子爵家に転生出来たのは僥倖だと思う。


 それと、この世界は異世界なんだけど、残念ながら人間は魔法を使えない。

 魔法を使えるのは魔法生物だけで、魔獣や神獣と呼ばれ、恐れられたり敬われたりしている。


 ただ、人間はスキルを持っていて、これは一人に一つだけ生まれつき備わっているもので、神の恩寵とも言われているようだ。

 このスキルは有用なものから、殆ど役に立たないものまで様々で、どれが備わるかは、運不運の要素が強い。

 ただ、当たりと言われるスキルであっても、効果は微妙なものが多く、それだけで俺最強となるものでは無い。


 また、大きな試練を乗り越えたり、物凄い経験をすると、スキルの位階が上がって、効果が大きくなるとされている。

 二段階で三倍、三段階ではさらに上乗せされて、相当な効果になるそうだ。

 ただ、二段階でも上がる人は、滅多にいないらしい。


 因みに、〈タロ〉君のスキルは『敏皮』と言う殺気を察知出来るもので、殺気を向けられると方向が分かるという、戦闘においては、まあまあのスキルである。


 それと僕には、一定の距離を瞬間移動出来るというスキルも発現している。

 知られているスキルではなく、チートスキルのようにも思えるけど、五cmしか移動出来ないとなると微妙としか言いようがない。


 ただ、一人で二つもスキルを持つ人は過去に存在しておらず、バレルと色々面倒くさそうなので、二つ目のスキルは隠しておこうと思っている。


 存在が確認されているスキルの一覧。


 ・遠見=少し遠くの物が見える

 ・遠聞=少し遠くの音が聞こえる

 ・遠嗅=少し遠くの匂いを嗅げる

 ・強手=少し手の力が強い

 ・強胴=少し持久力が高い

 ・強足=少し足の力が強い

 ・敏覚=少し感情を感じ取れやすくなる  

 ・敏皮=少し殺気を感じやすくなる

 ・敏舌=少し舌の感覚が鋭くなる

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