行動と言語の不一致
お風呂から上がって、ソファーで寛いでいると、〈サトミ〉が僕の前に立ってこう宣言した。
「〈ターさま〉は、〈サトミ〉にお風呂で変態行為を働いたので、今日はもう無理です」
「えっ、透けているじゃん」
〈サトミ〉は「無理です」と言った割に、スケスケで桃色の下着をつけているだけだ。
パジャマは着ていないぞ。
薄桃色で苺模様の短いスリップに、小さな苺が愛らしい透けたショーツだ。
おまけに異常なハイレグ仕様で、どこかに食い込みつつある。
先ちょはもちろん、下も濃い茶色が見えているぞ。
行動と言語の不一致が極まっている。
僕はフラフラと〈サトミ〉に近づきキスをしようとすると、〈サトミ〉は「きゃー」と言いながら、僕を見ながら後ずさりをする。
〈サトミ〉は一応逃げているのか。
今度はもう少し素早く動いて、〈サトミ〉を捕まえると、〈サトミ〉は「あぁ、捕まっちゃった」と僕を上目遣いで見て来た。
かなり興奮した僕は、〈サトミ〉にブチュっとキスをぶちかまして、舌もズリズリと差し入れる。
「はぁん、〈ターさま〉、すごく身体が熱いよ。〈ターさま〉と追いかけっこをしようと思っていたんだけど、〈サトミ〉はもう無理みたいなの」
追いかけっこて何だろう。
意味が分からん。
「無理は良くないよ」
僕も良く分からないことを口走って、〈サトミ〉の首筋へ舌を這わせていく。
〈サトミ〉は「はぅ」と熱い息を吐き、刺激から逃れるように、僕の唇を求めさらに舌を差し入れてく る。
「くちゅ」「くちゅ」と湿った音を出し続けている僕達を、キャットウォークの上から〈トラ〉と〈ドラ〉が、「こいつ等は、年中発情期だな」と呆れたように見ているぞ。
僕は差し出された〈サトミ〉の舌を「ジュル」っと吸いながら、はははっ、羨ましいだろうと思う。
ただ見られていたすのもアレだから、〈サトミ〉のお尻を両手で抱え寝室へ向かった。
〈サトミ〉の小振りなお尻を、鷲掴みにしてグッと左右に開けば、僕の股間部分に〈サトミ〉のとても熱い部分が押し付けられる。
歩く度にこすれて、〈サトミ〉が「あっ」「いゃっ」と切ない声を出す。
ベッドへ倒れ込み、透けたスリップをたくし上げ、おっぱいをモミモミすれば、〈サトミ〉が出す声は砂糖菓子のような極甘へ変化していった。
「はぅー、〈ターさま〉がお風呂で〈サトミ〉にあんなことをするから、〈サトミ〉に火がついちゃったんだ。もう無理なんだもん。責任をとってください」
「無理は良くないな」
僕は、また良く分からないことを口走って、責任を取るべく頑張ったんだ。
でも途中から、〈サトミ〉が僕の胴体にヒシっと抱き着いてくるし、両足を拘束するように僕の腰へ絡ませてくるんだよ。
僕は下からのホールド状態だ。
「〈サトミ〉、足で挟まないでくれよ。動けないんだ」
「ううん、こうしないと、もう死んじゃうもん。はぁん、〈サトミ〉はもう無理」
したがないので、僕は短いストロークを多用することにした。
〈サトミ〉はもっと強く締め付けてくるし、刺激から逃れるように僕の唇も求めてくる。
「くちゅ」「くちゅ」と湿った音を出し続けている僕達を、〈トラ〉と〈ドラ〉はまた呆れているんだろうな。
これが人間のオスとメスの愛し方だと、偉そうに僕は言おう。
今は最高に興奮しているから、恥ずかしくはないんだよ。
ことが終わって、透けたスリップをはだけさして、〈サトミ〉は大開脚状態になっている。
しばらくは動けない〈サトミ〉のおっぱいを、腕枕をしながら揉むと、〈サトミ〉がまだ荒い息を吐きながら言ってきた。
「はぁ、はぁ、〈ターさま〉は、まだ〈サトミ〉の胸を揉むんだね。良いよ。いつまでも〈サトミ〉の胸を揉んだら良いよ」
「おぉ、そうか。それじゃ遠慮なく揉ませて貰うよ」
〈サトミ〉は僕におっぱいを揉まれながら、「すう」「すう」と可愛い寝息を立て始めた。
僕ももう眠いな。
朝起きて、また〈サトミ〉のおっぱいを揉もうとしたら、〈サトミ〉に怒られてしまった。
「〈ターさま〉はもぉー。〈サトミ〉はこれから、ぐちゃぐちゃでドロドロになったシーツを、洗わなくっちゃいけないの。邪魔をしないでよ」
えぇー、いつでも揉んで良いって言ったよな。
嘘つきじゃん。
〈トラ〉と〈ドラ〉が、バカを見るように、大きな欠伸をしやがった。
キャットウォークを蹴り倒してやろうか。
「〈ターさま〉、〈サトミ〉は妊娠したみたい」
えぇー、いきなりで突然の重大な報告だ。
あれだけの回数を、濃いのをドバドバと放出していたんだ。
〈サトミ〉のお腹の奥に、見事大当たりしたのは、何も不思議じゃない。
僕のは奥まで届いていた、純然たる証拠になるぞ。
むしろ一年以上出来なかったのが、不思議なことかも知れない。
「おぉ、〈サトミ〉、出来したな」
子供の誕生は跡継ぎが出来て、《ラング領》の安定に即繋がるから、手放しで喜ぶことである。
僕に嫁が三人もいるのは、スケベが原因じゃなくて、このためでもあるんだ。
ただ〈サトミ〉には申し訳ないけど、僕には全く子供が出来る実感が涌かない。
父親になるって、どういうことなんだろう。
〈サトミ〉を何十回も抱いたけど、子供を作ろうと抱いた訳じゃないんだ。
僕の中では行為と結果が、結びついていないんだよ。




