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異世界転生したら許嫁がいたんだ(エッチなことでも怒らないんだ)  作者: 品画 十帆
第11章 【前払いなんて、あんまりだ】
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キスもおっぱいも合意

 〈アル〉の病室に着くと僕はガバッと扉を開けた。

 気の置けない学舎時代の友達なんだ、お上品にノックなんか必要ないだろう。


 「へっ」


 友達の痴態を見せられた、僕の間抜けな声だ。


 「きゃっ」


 朝から性的なものを見せられた、〈サトミ〉の小さな悲鳴だ。


 「おぉー」


 予想外の光景を見せられた、〈リク〉の言葉にならない感想だ。


 「ぎゃー、〈タロ〉、何だよ」


 「きゃー、見ないで」


 病院のベッドの上で、〈アル〉と〈メイ〉が抱き合っていたんだ。

 僕達が入った途端に離れやがったから、詳しく見えなかったけど、キスしながらおっぱいを揉んでいたような気がする。


 病院のベッドを何と心得ているんだ。

 連れ込み宿代わりにしやがって、不謹慎極ふきんしんきわまりないヤツらだ。


 「何だと言われてもな。見舞いに来たんだよ。もう色々と元気らしいな」


 「はっ、色々って何だよ。〈メイ〉が背中へ、薬を塗ってくれていたんだ」


 〈アル〉はしまったと思っているようで、半分逆切状態なっている。

 〈メイ〉は真っ赤になって、うつむいているだけだ。


 いつも活発でケラケラ笑っているのに、珍しい反応だよ。

 ただ、〈アル〉の傍から離れようとしていないので、キスもおっぱいも合意だったらしい。


 友達が性犯罪者にならなくて、良かったと思う。

 〈海方面旅団〉兵の不祥事は、監督不行き届きで団長も処分対象だからな。


 「あぁ、言い訳はいいよ。それより、お見舞いの果物を持ってきたんだ。二人で仲良く食べてください」


 「はぁ、お見舞いを仲良く食べてくださいって、なんか変だよ」


 「〈アル〉、細かいことは良いじゃないか。これ以上、お邪魔しちゃ悪いから、僕達はこれで退散するよ」


 「胸を触られたところを、見られたのは衝撃だと思いますが、他人は仲が良いくらいにしか思っていないので、気にしちゃダメですよ」


 〈サトミ〉が、言わなくてもいいことを言って、〈メイ〉を慰めているな。

 自分の経験から語っているらしい。

 良いことを聞いたぞ。

 〈サトミ〉が気にしていないのなら、これからは堂々と、人前でおっぱいを触っても良いんだ。


 僕達は早々に、〈アル〉の病室を後にした。

 〈メイ〉が恥ずかしがって、顔を上げないんだよ。

 《ラング》に帰ったら、〈アコ〉に教えてやろうっと。


 〈アル〉はもう少しで、退院出来るようだ。

 あれだけ元気なら、今日退院でも良いくらいだな。


 〈メイ〉は〈アル〉が怪我をしたと聞いて、領地から看病するために駆けつけたらしい。

 そしたら、おっぱいをモミモミされてしまったのか。

 怪我でも、どこでも直ぐ元気になる、最高の看病だと言えるな。

 青春なんだろう。



 「〈タロ〉様、あの二人はお似合いですね」


 〈サトミ〉は微笑ましいエピソードを話している感じだ。


 「そうかな」


 「二人とも、こちらを見る時間より、互いを見る時間の方が、長かったと思います」


 〈リク〉の見立てでも、そうならそうなんだろう。


 もう直ぐ〈海方面旅団〉は第四隊長を失うかも知れないが、何も支障がないのが〈アル〉にとっては悲しいことだな。

 でも、お目出度いことなんだから、何も問題はないと思う。


 おっぱいを揉みさえすれば、立ちどころに問題は解決するんだな。

 ただし病院では、立たせてはいけないのが、今日の教訓である。

 あははっ。




 先日の戦争の功績者発表会が、王宮でにぎにぎしく開催された。

 戦いに参戦した〈西部方面旅団〉所属の領地貴族が、こぞって参列したためだ。


 「ワハハッ、《ラング伯爵》、息災そくさいにしておったか」


 〈西部方面旅団長〉の《ナセ伯爵》は、やけに機嫌が良いな。


 「《ナセ伯爵》様は、活力にあふれていますね」


 「そうであろう。この前の戦では、戦略的に重要な箇所を襲撃した敵を、手ひどく蹂躙じゅうりんしてやったからな。まだ血潮ちしおたぎっておるのだよ」


 はぁ、〈戦略的に重要な箇所を襲撃した敵〉って何だよ。

 文章的にもアレだし、敗残兵がバラバラに小さな村へ逃げて来たのを、圧倒的な戦力差で何とかしたってことが実態だろう。

 戦略的には殆ど意味のない、ただの残党狩りじゃねぇの。

 本心で戦略的に重要と思っているのか、政治的にそう結論づけようとしているのか、どっちにしても怖えぇな。


 功績者の筆頭は、王太子となった。

 功績者第一位は当然ではあるが、次期王だから恩賞はないらしい。

 王太子以上の爵位はなくて、今更勲章でもないみたいだ。

 王様が自分で自分に勲章を与えることと、殆ど差がないのだろう。


 功績者の次点は、〈西部方面旅団〉だ。

 《ナセ伯爵》がニタニタと笑い、〈西部方面旅団〉所属の領地貴族へ話しかけているぞ。

 重要な位置にある村々の危機を救って、王国民の命を守った功績が大だと発表されていた。


 まあ、そう言うものなんだろう。


 《ナセ伯爵》は勲章を授与されて、隠せないほど顔がゆるんでいるな。

 あのまま街道を《ルダ》の町へ進軍していたら、敵と一戦も出来ずに、今日の功績者発表会は欠席していたと思うな。


 僕と《セミセ》公爵は、王様からの「良く勤めてくれた」との言葉だけだった。

 まあ、そんなもんだろう。

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