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異世界転生したら許嫁がいたんだ(エッチなことでも怒らないんだ)  作者: 品画 十帆
第11章 【前払いなんて、あんまりだ】
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薄いピンク色に統一

 「ふふ、〈あなた〉が凄いのですよ。水車で農地を飛躍的に広げて見せるし、頑丈な船を鹵獲ろかくして遠洋漁業を可能にされましたわ」


 「それに南国果物の貿易額が、もう主要産業並みです。塩漬け魚の輸出も、これから伸びて行きそうです」


 おっ、一転すごく褒めるじゃないか。

 これはあれか、褒めて良い気分にさせておいて、何かおねだりしようとしているんだろう。

 この前、お高い真珠のネックレスをあげたばかりなんだけどな。


 「今話が出ました南国果物の《タラハ》ですが、ここは国境の町なので王国の直轄領になっていますわ。〈直轄代務局〉が代官を派遣していますね。今の代官は法務貴族の《クロィイサ子爵》で、確か御子息は《黒鷲》で同学年のはずですよ」


 「えっ、そんなヤツいた。一組なんだろうな」


 「ふぅ、私達に聞くのですか。たぶん、対抗戦で〈フラン〉さんと当たった方だと思いますわ」


 「えっ、〈アコ〉は〈フラン〉を知っているの」


 「はぁ、〈あなた〉の親友でしょう、名前くらいは知っていますわ。それにお顔がすごく良いことで《白鶴》でも超有名でしたわ」


 「そうですよ。旦那様に負けないくらいの、学舎町の有名人でしたね。《赤鳩》にも熱狂的な信者がいたのですよ」


 「〈フラン〉って、そんなにモテてたの」


 「えぇ、〈あなた〉には私達がべったりついていましたけど、〈フラン〉さんは婚約者や彼女がいないようでしたので、狙っていた子も多いと思いましたわ」


 「見せつけるために、旦那様にいつも腕を絡めていたのに、狙ってくる子がいたのですよ。何もしがらみのない〈フラン〉さんは、何十もの恋文を貰ったともっぱらのうわさです」


 えぇー、顔が良いだけでこんなに人生が違うのか。

 おまけにアイツは、アソコもでかいんだぞ。

 このことが女子に知れていたら、恋文は百を超えていただろうな。

 パンツ一丁で学舎町を歩けば、女子が鈴なりについて来たかも知れないな。


 「はぁー、顔が良いヤツはいいな」


 「むぅ、〈あなた〉、どういう事ですの。私達では不満なのですか」


 「旦那様は、違う女性が良かったのですか」


 えぇー、《タラハ》の町のことから、どうして僕が責められる展開になったんだ。

 〈顔が良いヤツはいいな〉って、誰もが思っていることだよな。


 「うぅ、不満なんかあるはずがないよ。二人と一緒に居られて、すごく幸せなんだ」


 「それでしたら、なぜ、旦那様は顔にこだわるのですか」


 「満足されていれば、他の人をうらやむ気持ちはないはずですわ」


 げぇー、まだ追及ついきゅうしてくるのか。

 〈タロ〉様、久々の大ピンチ。


 「うぅ、僕の顔がもっと良かったら、二人にもっと愛されると思うんだ」


 「えぇー、これほど愛しているのに、まだ足りないのですか。〈あなた〉は、すごい欲張よくばり屋さんなのですね」


 「はぁ、旦那様への愛情表現は、かなり頑張ったと思っていました。でもまだ満足されていないのですね。これ以上となると、なりふり構っていられませんね」


 〈アコ〉と〈クルス〉は、〈うーん〉と言う感じで、眉間みけんしわを寄せて考え込んでしまった。

 僕が苦しまぎれに言った言葉で、二人を悩ませてしまっているけど、もう放たれた言葉は元には戻せない。

 僕に出来ることは、今まで以上に二人を愛することだけだ。


 夜のお勤めに向け気合を入れるために、僕はほほをパーンと両手で挟むように叩いた。

 そして、その流れで股間の奮起を促すために、両手で挟むように叩いてしまった。


 パーンと乾いた音はせずに、ボゴォと湿った音が鳴って、僕は股間を押さえて床を転がっている。

 馬鹿みたいにアソコが痛くて、じっとしてられないんだ。


 〈アコ〉と〈クルス〉は、転げ回る僕を見て、とても悲しそうな顔をしていたよ。



 船は使わずに馬車で、《ビルべ》の町を目指している。


 隣には正妻である〈アコ〉が、窓から移りゆく景色をアンニュイな感じでながめているようだ。

 馭者と護衛のために兵士を二十人帯同させて、道中の安全は確保出来ていると思う。


 兵士の装備は、駆け落ち夫の実家に発注した、おニューの鎧と兜だ。

 装備の色は、《ラング領》の岩塩にちなんで、すごく薄いピンク色に統一している。

 この色と僕が決めたのだが、兵士や領民の反応はとてもイマイチだ。


 弱そうでダサい色だと思われているらしいが、塩伯爵としてはゆずれないものがある。

 もう一つの候補であった、黒にしておけば良かったと強く後悔しているが、決して顔には、ダサいけどださないぞ。


 馬車の中は暇なので、〈アコ〉の太ももでも触って時間を潰そう。


 「あっ、やっぱり触ってきましたわ。あれほど言ったのに、大人しくしててください」


 僕は手を〈アコ〉にパッシと叩かれて、ブルーな気持ちで外を見るしかない。

 装備の色は青でも良かったな。


 一日だけでは《ビルべ》の町には着かないので、街道の途中にある野営ポイントで一晩泊まる予定だ。

 野営ポイントには、既に三人の商人がテントを立てており、今回の護衛隊長が声をかけている。

 商人は《ラング領》の住民で、《ラング領》のイモを売って《ビルべ領》の羊毛を買っているらしい。

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