表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/710

〈クリス〉の病気

 猫の世話にかまけてたら、大変なことが起こってた。


 〈クリス〉の病気が悪化して、ベットから起き上がれなくなってしまった。

 体調を崩していたのに、雨の中外出して、一気に重篤化したようだ。

 このままだと、普通に命も危ないらしい。


 何としてでも、霊薬を手に入れなくてはいけない。


 薬に詳しそうな〈ドリー〉に、霊薬のことを聞いてみることにした。


 「〈ドリー〉、霊薬って知ってる」


 「霊薬ですか。突然ですね」


 「教養の勉強の宿題なんだ」


 「人に聞くのはどうかと思いますが、どの本にも霊薬のことは、書かれてないかもしれませんね。

 存在しないのと同然ですから」


 「それで知ってるの」


 「仕方がないですね。私も詳しくは知りませんが、確か《王鳥草》という赤い花が、主な材料と、母が言っていた覚えがあります。魔獣が住む土地にしか生えていないので、薬を扱う者の「あり得ない物」の例えになっています。軍隊を使っても採取出来ないような、幻の薬草ですね」


 「助かったよ。有難う」


 霊薬の材料が、生えている場所が分かった。巡察で釘を刺された、行ってはいけない場所だ。


 ただ、〈クリス〉をこのままには出来ない。元気になって、笑顔を見せてもらわないと困る。

 病気では、エッチなことが出来ないじゃないか。

 ましてや、〈クリス〉の綺麗な顔さえ、見ることが出来無くなってしまう。


 しばらく考えていたが、考えてばかりじゃしょうがない。行動あるのみだ。

 ホールに飾ってある剣を拝借して、ブーツなどの防具一式を倉庫から持ち出した。

 少しブカブカするが、しょうがない。何か、布切れでも詰めておこう。


 「赤い花」採取作戦は簡単なものだ。

 《紅王鳥》のテリトリーの端まで行き、そーっと見つからないように、《王鳥草》を取ってくるという単純な作戦だ。


 タールを採取している近くに馬を繋いで、後は歩いて行くことにした。

 しばらく歩いても、荒涼とした土地が続くばかりだ。それに、ガスの匂いも漂ってきた。

 向こうに見えるかすみみたいなのは、天然ガスの噴出孔のようだな。


 もう少し進むと荒涼とした景色は終わり、広々とした草原が現れた。


 この荒涼とした土地は、魔獣の領域と人間の領域との、結界の役割を果たしているのかもしれないな。

 考えながら歩いていると、小石に蹴躓つまづいて転んでしまった。

 ちょっと縁起が悪いぞ。

 ブーツも脱げてしまったので、布切れを丸めて、丁寧に隙間すきまを埋め直す。

 その場で跳び上がったり、剣の型を繰り返して、入念に感触を確かめた。


 気を取り直してまた歩くと、草原のあちらこちらに、《王鳥草》としか思えない、深紅の花がポツポツと咲いている。


 なんだ、簡単に見つかったなと、思ったその時。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ