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〈アコ〉がこけた

 十分涼めたし、〈アコ〉とはこれ以上何も出来ないので、川から上がろう。

 〈アコ〉は、川に入ったばかりだからか、もう少し涼むようだ。


 それに、川底を覗き込んで、まだ紅水晶を探している。

 熱さが紛れて元気が出てきたんだろう。でも、水越しでは難しいと思う。


 河原の石に腰かけて、〈アコ〉が一生懸命探しているのを、僕はボーッと眺めていた。

 〈アコ〉が、川底の大きな石を持ち上げようとしているようだ。

 ハハハッ、苦戦しているな。

 もう少しだ、頑張れ。僕は心の中で応援してた。


 「キャー」


 〈アコ〉が、川の中で尻もちをついて、悲鳴をあげている。

 僕は濡れるのも構わず、〈アコ〉の元へ、川の水をバシャバシャと蹴って走った。


 「〈アコ〉、大丈夫か。怪我はないか」


 僕は、〈アコ〉の手を引っ張り上げながら、聞いた。


 「〈タロ〉さまー。助けに来てくれたのですね。すみません。私、こけちゃいました。

 でも、怪我はないですわ」


 「そうか。怪我が無くて、良かった。そら、手を引いてあげるから、河原まで行こう」


 河原に戻ったが、僕は太ももから下が、〈アコ〉は腰から下が、ずぶ濡れだ。

 僕はズボンを脱いで、大きな石の上で乾かすことにした。

 夏の太陽なら帰るまでには乾くだろう。


 「あれ、〈アコ〉は乾かさないの」


 「うーん、でも。ここで脱ぐのは」


 「濡れたままじゃ身体に毒だよ。僕の服を貸してあげるよ」


 僕はシャツを脱いで、〈アコ〉に渡した。

 上も下も、下着一枚ではなんとも締まらないな。他人には見せられないよ。


 「〈タロ〉様、ありがとうございます。後ろを向いててくださいね」


 やっぱり、そうきたか。僕の下着姿はバッチリ見ているのに、ズルいよ。


 「あぁ、ブラウスも、スリップまで濡れちゃっているわ。これも脱がないと」


 〈アコ〉が、小声でブツブツ言いながら、服を脱いでいる音がする。

 自制心、克己心、忍耐力を試されているな。

 殆どないので苦しいぞ。苦行だ。脂汗が出る。

 違う液体も出そうだ。


 「〈タロ〉様。着替えましたけど。こちらをあまり見ないでくださいね」


 〈アコ〉は、脱いだスカートとブラウスとスリップを、僕が干した石の隣に並べたようだ。

 ショーツは干していないな。

 当然濡れているはずだけど、何も言うまい。

 ドボドボに濡れているショーツは、気持ち悪いはずだが。


 どうしても脱げなかったのだろう。危険だと感じたんだろう。

 僕のことが。

 襲われるとでも思ったのか。

 正解だ。自分でも危険だと思う。


 〈アコ〉の本体の方を見ると、もう目が離せなくなった。

 〈アコ〉は、濡れたショーツ一枚だけの上に、僕のシャツを着ているだけだ。


 夏物の薄い白のシャツでは、身体が透けるのを防げない。

 〈アコ〉は、両手で胸を隠しているが、おっぱいが大きすぎて、真ん中以外は見えている。

 シャツの胸の部分は、〈アコ〉のおっぱいで、大きく盛り上がった状態だ。

 〈アコ〉のおっぱいが、丸みを帯びて、すごく優美な形なのが分かってしまった。


 下半身に目が行くと、長さが足りていない。

 僕のシャツだから、〈アコ〉には大きいと言っても、やはり短すぎる。


 マイクロミニスカート状態だ。

 太ももを、全部晒している感じだ。

 付け根まで、後わずかだ。


 少し動いたら、確実に見えるだろう。

 おまけに、濡れたショーツが白いシャツに張り付いて、今日はピンク色だと良く分かった。


 「わ、わかった」


 僕はゴクリと唾を飲み込んで、辛うじて返事が出来た。頭がクラクラするぞ。


 「もう〈タロ〉様。分かった、と仰いましたが、ずっと私を見ていますわ」


 「ご、ごめん。目が言うことを聞いてくれないんだ」


 僕は、頭を両手で押さえて、グギギと無理やり、〈アコ〉から視線を外した。


 「〈タロ〉様、大丈夫ですか。今、首のあたりから変な音がしましたわ」


 「た、たぶん、大丈夫だ。立ってても疲れるだけだから、乾くまで座っていよう」


 僕は、〈アコ〉を見ないように、顔を押さえたまま、石に座った。


 〈アコ〉は、僕の斜め後ろで、少し前傾の体育座りをしている。

 石に座るとショーツが、丸見えになってしまうからだろう。


 太ももを、貝のようにピッタリ閉じて、おっぱいも手で隠したままだ。

 可哀そうに、疲れそうな体勢だな。


 「〈タロ〉様、早く乾くといいですね」


 「そうだな」


 本当はそうではない。〈アコ〉が、このままの姿でいて欲しいと願っている。

 いっそのこと、スカートとシャツとスリップを、川に放り投げてしまおうか。


 徐々に、〈アコ〉の、今の煽情的な姿を見たい気持ちが勝ってきた。

 すごい力で、僕の頭が〈アコ〉の方を見ようと動き出した。

 グギギと首のあたりで、また嫌な音がなった。


 〈アコ〉を見たい気持ちと、これ以上〈アコ〉を困らせたくない気持ちが、僕の中で戦っている音なんだろう。

 このままでは、僕の中で何かが、引き裂かれるかも知れない。


 「ふぅー。〈タロ〉様、そんなに見たいなら。私を見ても良いですわ。

 〈タロ〉様の首が、もげそうで怖くなってきましたわ。でも、近づいちゃダメですよ」


 「本当。やった」


 僕の頭はすごい勢いでクルンと、〈アコ〉の方を向いた。

 風が起こって、〈アコ〉のフアフアの髪を揺らしたほどだ。

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