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〈クルス〉に蜜柑を渡そう

 次は〈クルス〉のところに行こう。


 〈クルス〉の家を訪ねたら、〈クルス〉の家族が出迎えてくれた。〈クルス〉の母親と妹だ。

 〈クルス〉とは、あまり似ていなくて、二人とも女性らしいふっくらとした身体つきをしている。

 女性らしいと言っても、妹は二歳下なので、まだあどけない感じだ。

 でも、しっかりと挨拶もしてくれた。


 肝心の〈クルス〉は体調を崩して、自室で休んでいるようだ。


 「〈クルス〉、〈タロ〉様が来てくださったわ。部屋にお通しするわよ」


 「どうぞ、〈タロ〉様、寝込んでいて申し訳ないですが、ゆっくりしていって下さい」


 〈クルス〉の返事も、ないままに通されてしまった。

 寝ている女の子の部屋に、入って良いんだろうか。

 〈クルス〉は、寝巻にガウンを羽織って、ベットに座っている。

 心なしか前より顔色が、悪く見える。


 「〈クルス〉、具合はどうだ」


 「…… 」


 「〈クルス〉、どうした苦しいのか」


 「〈タロ〉様、どうして家にまでいらしたのですか」


 ひゃー、これは機嫌が悪そうだぞ。身体が、辛いのかも知れないな。


 「蜜柑が手に入ったので、〈クルス〉に食べて貰おうと持ってきたんだよ」


 「これほど、高価なものを私にですか。それも、わざわざ〈タロ〉様自らが」


 好感度を上げようとしているのが、バレバレだな。〈クルス〉は、頭が良いな。


 「〈クルス〉が、喜ぶと思ったんだ。〈クルス〉に、会いたかったのもあるけどね」


 「蜜柑を頂けるのは、嬉しいです。まだ一回しか、食べたことがありません。大変美味しかったと記憶しています。ただ、私に会いたかったのは、どうしてですか。何か、お話があるのですか」


 「特に話は無いんだ。〈クルス〉の綺麗な顔を、見たかっただけだよ」


 「… 。このような病人の顔をですか。髪もボサボサですし、寝巻のままです」


 「ゴメン、寝ているところへ、急に入って悪かった。謝るよ。でも、〈クルス〉は透き通るような肌で、目鼻立ちが整っていて、とても美人だよ。ずーっと、見ていたいぐらいだ」


 「… 。私より〈ハル〉の方が、素直で美人です」


 「〈ハル〉って誰」


 「妹です。下で挨拶していましたが」


 「ゴメン、名前は覚えてないや。妹さんって、まだ子供じゃないか。美人って言うには、まだ早いんじゃないかな。可愛いっていう感じかな。当たり前だけど、〈クルス〉の方が断然美人だよ」


 「当たり前。断然ですか」


 「そりゃそうだよ。それより、蜜柑を食べないか」


 「納得出来ませんが、折角ですから蜜柑は頂きます」


 「立って食べるのも何だし、〈クルス〉の横に座っても良いか」


 「ダ、ダメです。しばらく湯あみも出来てないので、近寄らないで下さい。臭いですから」


 「クンクン、臭くないよ。〈クルス〉の良い匂いがするだけだよ」


 「キャ、嗅いじゃダメです。そこの椅子に、大人しく座ってて下さい」


 〈クルス〉と僕は、それでも二人で蜜柑を食べた。

 今日は沢山蜜柑を食べてるけど、〈クルス〉と一緒に食べる蜜柑は格別だ。


 「〈クルス〉、味はどうだ」


 「味は… 。味は良く分かりません。何だか胸が詰まってしまって… 」


 「それは大変だ。無理をさせちゃったかな。悪いな。もう帰るから、〈クルス〉は横になって休んでくれ」


 〈クルス〉の具合は、良くなさそうだな。持病があるから、色白で痩せているんだな。


 〈クルス〉の母親によると、病気は慢性的なもので、当面命には別条ないそうだ。

 ただ、完治させるのは困難で、特効がある霊薬でも使わないと無理らしい。

 一生病気と付き合っていく必要があるとのことだった。


 病気を何とかしてやりたい。病気は辛いからな。


 病気が治ったら、身体つきもふっくらして、胸も大きく、お尻もプリンとなるんだろうな。

 絶対何とかすべき事案だな。

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