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みぞおち周りと脇だよ

 〈アコ〉の胸は大きいから、乳房を押し上げるようにしないといけないのが難しいな。

 どうしても、乳房の下の部分を触ってしまうことになる。不可抗力だ。しょうがない。


 「きゃ、服の中に手を入れないで。〈タロ〉様、そこは確実に胸です。触っちゃダメです」


 「胸じゃ無いよ。みぞおち周りと脇だよ。ここがすごく効くんだよ。

 おまけに将来胸が垂れなくなる効果もあるんだよ。

 服の上からだと効果が薄いから仕方がないんだ」


 「〈タロ〉様、本当ですか。垂れなくなるって、誰に聞いたんですか」


 「〈サヤ〉だよ。〈サヤ〉が訓練の時に言ってたよ」


 「ふーん。怪しいですわ。私が自分で胸だと言っているんですよ。

 これ以上確実なことはないでしょう」


 「〈アコ〉の胸のことは、僕の方が良く知っている」


 「そんなわけありませんわ。もう、仕方が無いですね。もう良いです。

 ただし、下と横の胸だけですよ。それ以外は絶対触らないで下さいよ」


 「分かったよ。だけど、胸じゃ無くて、みぞおちの周りと脇だ」


 「はー。〈タロ〉様。まだ言い張るのですね」


 まあ、良かった。一応の了解は得られた。

 このまま、〈アコ〉の下乳と横乳をゆっくり、ねっとりと触り続けよう。

 胸を揉むと言うより、乳房の脂肪の下に隠れている部分を優しく触るという感じだな。

 脂肪の所は、いくら触っても、気持ち良くはならないらしい。

 

 ただ黙々と下乳と横乳を触るだけでは、単に気持ちが悪いヤツだ。何か話そう。


 「〈アコ〉、《白鶴》での生活はもう慣れたかい」


 「そうですね。かなり慣れましたわ。日課も授業も、それなりにこなしていますよ」


 「他の学舎生はどんな感じなの」


 「《黒鷲》も同じだと思いますが。騎士爵の子と、男爵以上の子の間では、随分雰囲気が違いますね。騎士爵の子は、優等生で真面目ですね。男爵以上の子は、勉強はあんまり出来ませんし、あまり真面目とも言えないですね」


 「へぇー。男爵以上の子は、不良なの」


 「不良じゃないですわ。皆さん、良家のお嬢様ですよ。

 ただ、もう将来がほぼ決まっているから、今を楽しみたいっていう感じです。

 騎士爵の子は、就職する子も多いですから、将来は自分次第っていう面が多いのだと思いますわ」


 「〈アコ〉は、男爵以上だから、今を楽しんでいるの」


 「ふふ、だから、今、こうして〈タロ〉様と逢っているんじゃないですか」


 〈アコ〉は振り向いて、僕を見詰めながら、悪戯っぽく微笑んだ。


 「他の学舎生とは上手くやっているの」


 「えっ、〈タロ〉様。また質問ですか。

 えーと、同じ組の人達とは、仲良く出来ていますわ。

 特に〈ロロ〉と〈メイ〉という子とは良いお友達です。いつも寮で笑い転げていますよ。

 たた、前に言ったとおり、一組に嫌な人がいますわ」


 「そうか。そう言ってたな。何か辛いことがあったら直ぐに言ってよ。

 出来ることは何でもするから」


 「ありがとうございます。私は、〈タロ〉様を頼って良いのですね」


 「もちろん良いさ。頼らなかったら怒るよ」


 「〈タロ〉様、私嬉しいです」


 〈アコ〉は振り向いて、僕を見詰めてきた。何かを訴えているようだ。

 少し伏せた目に長いまつ毛が揺れている。


 「授業はどんな感じなの」


 「もお、〈タロ〉様は。質問は、もういいですわ。

 今度は〈タロ〉様に聞きますね。お友達は出来たのですか」


 「そうだな。早朝稽古を一緒にやっている騎士爵の子がいるよ。同じ組で〈ロラマィエ〉って名前なんだ」


 「まあ、早朝稽古をされているのですか。〈タロ〉様は、人知れず努力されているのですね」


 「〈リク〉が、くそ真面目なんだよ」


 「ふふふ、その言い方は〈リク〉さんが、可哀そうですわ。他には友達の方は、おられないのですか」


 「〈アル〉っていう男爵の子がいるな。この子も同じ組だ。本を貸して貰っているよ」


 「どんな本なのですか」


 「「《青燕》と《赤鳩》と《春息吹》」という題名なんだ。

 人生の教訓が一杯詰まっている良い本なんだ。ためになるんだよ」


 「うーん、怪しい本じゃないでしょうね。《黒鷲》と《白鶴》は、出てこないのですね」


 「怪しい本じゃ無いよ。実用書だよ。

 《黒鷲》と《白鶴》は、人数が少なくて、需要が少ないんじゃないかな」


 「需要が少ないのは、そうかも知れませんね。女子の本も少ないですわ。

 違う組の方はどうですか。要注意の人がいるはずですけど」


 「違う組で知っているのは、一人だけだな。ただ、名前はまだ知らないんだ。

 そいつは、すごいヤツで、見てる方が気持ち悪くなるくらいの大量の汗を流しながらも、走りで一番を目指す漢なんだ。

 それに、皆の模範のため、馬鹿みたいに同じ技を何度も繰り返すことも出来るんだ。

 自分が大恥をかいても、他人を優先する見上げた漢なんだよ」


 「そんな立派な人がいるのですね。ただ、話を聞くだけですと、少し変わった人のようですね。

 嫌がらせとかしてくる人はいなのですか」


「そうだな。人の出来ないことをあえてするので、変わっているとも言えるな。

今のところ、嫌がらせは無いよ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 結構面白いのに感想が少ないから書き込んでおこうと思った所存
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