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第1章 建国編 8話

第8話 リアナ

拠点に戻り、

まだ意識を戻さない少女をベッドに寝かし食事の準備始めた。

見たところ何日も食料にありつけなかったのだろう。

目を覚ましたらとりあえず水分を補給させて食事を取らせようと思う。

先程のデスウルフを影収納から取り出し焼いていく、

そんなことをしてる内に目を覚ましたのか

寝床からおどおどした様子で少女がこちらの様子を伺っていた。


『起きたのか、体は大丈夫か?って言葉通じてんのかな?』


普通に話しかけてみたが異世界だし日本語が通じる訳がない。


『あっ…はい言葉分かります…』


一瞬ビクッとなり変わらず怯えた様子で少女は答えた。

どうやら言葉は何故か通じるようだ、後でイヴに確認してみよう。


『そうか、一応回復魔法をかけたが痛いところはないか?』


『大丈夫みたいです…あの…あなたはなぜあたしなんかを助けてくれたのでしょうか?』


『ん?目の前で女の子が死にかけてたら普通助けるだろ?』


『普通はこんな場所で自分以外の人は助けないと思います…』


『でも本当にありがとうございました…ですが…』


『どうした?やっぱまだどこか痛むか?』


『違います!あの…せっかく助けていただいたのですが私には返せるものが何もなくて…』


『君はいったい何を言ってるんだ??何も返す必要なんてないんだよ』


『俺が助けたくて勝手に助けただけだから君は何かする必要はないんだよ』


『ですが…』


この子の種族がどんな目にあってきたのかは知っているが、

それでも少女がまず最初に気にした事が返せるものがないことだった。

何かをもらったら何かで返す。

常にそういう環境で育ってきたのだろうか…

空腹は限界だろうに目の前の肉には目もくれず、

得体の知れない男に怯えながらも感謝と謝罪を続ける。


『本当に気にしなくていいから』


しかし困った。

この調子だとこの子は差し出された水も食事も受け取らないだろう。

それどころか死にかけたばかりなのに迷惑をかけないようにすぐ出ていこうとするかもしれない。

どうしたものか…


『そうだ、なら君を助けた対価を貰おう』


『いまから俺が君にある命令をする、必ずその命令に答えろ』


『……は…はい』


何を要求されるのか

さらに少女の恐怖が募っていくのが目で見てわかった。

しまったな…急ぐあまり言葉を間違えた…

これじゃあ誤解されても仕方ない。


『俺は見ての通りここに1人でいる』


『話し相手が欲しいと思っていたんだ』


『だから君には君の体が完全に良くなるまでここで安静にしながら話し相手になってほしい』


『1人での食事も苦手でな、一緒に食事もしてほしい』


『これが君が俺に支払う対価だ、命令に従ってもらうぞ』


そう言って俺は不安を少しでも消せるようニコッと笑って見せた。


『…へ?』


怯えていた少女の震えは止まり、

キョトンとした顔でこちらをみている。


『あの…ごめんなさい意味が理解出来ませんでした』


聞き逃した訳ではなく、

予想と違いすぎる命令に混乱している様子だった。


『聞こえてただろ?そのままの意味だ』


『君は体が良くなるまでここで安静に過ごせばいい』


『寂しがりな俺の為に一緒に食事して話し相手になってくれればいい』


『これが君を助けたことへの君が返す対価だよ』


『いや、それでは対価になっていません…』


『命令だ、よしこの話はもう終わりだ』


『俺はコハク、君は?』


『あっ私はリアナといいます』


『リアナそれじゃあさっそく食事にしよう』


俺はそういうとリアナにデスウルフの肉と水を渡した。


『ありがとうございます…』


ようやく観念したのかおそるおそる水を口に運んだ。


『おいしいです…ほんとにありがとうございます…』


飲んだ水が安全なことにほっとしたのか、

張り詰めた糸が切れたようにリアナはボロボロと涙を零しながら水を飲んだ。


『本当にもう死んじゃうんだって思ってて…』


『何日も水も飲めなくて…』


『こんな場所に1人でいるのも本当に怖くて…』


小さな体で抱えていた孤独や飢え、死の恐怖をポツポツ零しながら静かに泣いていた。


『大変だったな、リアナはよく頑張ったよ』


『もう大丈夫だからゆっくり食べるといい』


差し出した肉もちゃんと食べてくれた。

相変わらず泣いているがひとまず安心だ。


『たくさんあるからお腹いっぱい食べるといい』


泣きながら肉を食べるリアナを見ながら日本にいる妹の幼い頃を思い出し、

何とも言えないあったかい気持ちになった。



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