第1章 建国編 2話
第2話 初めての“仲間”
しばらく黒い空間をただ流されていた。
そして少し先に小さい光が見えた
その光がどんどんと大きくなっていく。
どうやら光に向かって流されているようだ
光の中に吸い込まれると一瞬何も見えなくなるほど激しく光った。
次に目を開くと遥か下に広大な土地が見えた。
横には雲も見える、そうか落ちて行ってるのか……。
『……ってまじかよー!?!?』
叫びながらもその落下速度は落ちることもなく
むしろ速度は上がっていく。
やばい、やばい、やばい!!
焦りまくっていると、視界に突如ウインドウが現れた。
【英知ギフトによるナビゲートシステムの設定…完了しました。】
【ナビゲートシステムによるサポートモードを開始します。】
【マスターコハクの精神異常を感知 状況を把握…完了しました。】
【現状回復に必要な最適解を模索…発見しました。】
【風魔法初級を使用します。】
ウインドウに流れるように文字が表示されていく
そして【風魔法初級を使用します】を視認すると同時に落下速度がゆっくりになり
地面まで1メートルほどの所で一旦完全に失速し、そこからさらにゆっくりと地面に降り立った。
『はぁ……はぁ……はぁ……』
なにが起こったのかまだ理解できずにいた。
とにかくまずは乱れた呼吸を戻そう…。
ゆっくり息を深く吸い、吐き出す
3回ほど繰り返し呼吸が平常に戻っていく。
『ふぅ……。焦ったー。』
『クソ、なんだってんだ』
今起こった不幸に文句を吐き、辺りを見回す。
『ここが…死の土地…』
そこはただひたすら地平線が広がっているだけの土地だった。
地面は何日も雨が降ってないのかヒビ割れ、草木の一本もなく
あるとすれば岩山のみだった。
『まじかよ…こんな所で何しろってんだ』
そうつぶやくと、先ほどのようにまた目の前にウインドウが現れた。
【何をするかの問いに対しての答えを模索…複数発見しました。】
【優先度の高いものを表示しますか?】
『さっきの……ナビゲートシステム?』
『触れそうな感じもしないし、声に出せばいいのか……?』
『表示してくれ』
そう答えると、さらに文字が追加されていく。
【1・水分の確保 このままではおよそ45時間後に絶命します。】
【水魔法初級により生成可能です 水魔法初級を使用しますか?】
『イエス』
使用すると答えたと同時に右手から水が溢れ出した。
『うわっ!』
いきなり溢れ出た水に驚き尻餅をついた。
おそるおそる口に含むとちょうどよく冷えてて喉が潤っていった。
【先の風魔法初級と水魔法初級を使用したことによりMPを4使用 英知のギフトの経験値を20獲得】
【創造神の祝福により獲得経験値を10倍 経験値を200獲得】
【続けて】
【2・食料の確保 このままではおよそ84時間後に絶命します。】
【闇魔法初級により探知魔法を使用可能です 闇魔法初級を使用しますか?】
『イエス』
すると俺の影が広がっていき分裂して各方位に伸びていった。
数十秒後再びウインドウにナビゲートシステムから反応があった。
【探知魔法により半径30㎞周辺の生命反応 地形情報を獲得】
【闇魔法初級を使用したことによりMPを2使用 英知のギフトの経験値を10獲得】
【創造神の祝福により獲得経験値を10倍 経験値を100獲得】
【南東2㎞に生命反応あり 解析しますか?】
『イエス』
【解析完了 ウルフ種亜種デスウルフ3頭を確認しました】
【生命反応探知と並行して】
【3・安全な拠点の確保 を確認】
【西へ5㎞地点に生命反応の無い洞窟を発見】
【安全度96%現状付近で1番安全な場所です】
デスウルフ……
何とも危なそうなネーミングだな。
食料の確保で探知したってことはこいつを殺して食えってことか?
気が引けるし、そもそも勝てるのか?
『えーっと…ナビゲートシステム』
『デスウルフは俺でも討伐可能なのか…?』
【デスウルフを討伐可能かの問いに対しての答えを模索…発見しました。】
【現時点でのデスウルフ3頭を討伐出来る可能性 20%】
【1頭での討伐出来る可能性 45%】
【デスウルフの弱点である水魔法を中級が使用可能になってからの討伐を強く勧めます。】
【水魔法中級を使用するには 英知のギフトをD級へ進化させる必要があります。】
【英知のギフト進化までの必要EXP4800】
なるほど
現時点ではこっちが死ぬかもってことだな。
今のところ多少の空腹感はあるが84時間余裕があるならまずはレベリングだな。
しかし、このナビゲートシステムって便利過ぎる気が……
『ナビゲートシステムありがとう』
『じゃあ効率良く英知のギフトの経験値を稼ぐにはどうすればいい?』
【英知のギフトの効率の良い経験値取得の問いに対しての答えを模索…ありません。】
【英知のギフトの経験値は魔法を使用する事で獲得可能です。】
【魔法使用にはMPを使用します MPは時間経過により自然回復します。】
【効率の良い稼ぎ方はありませんが 西5㎞地点の洞窟での拠点作成を勧めます。】
【拠点作成完了時点で英知のギフトが進化している可能性 85%】
そうか。
魔法を使えば使うほど経験値を獲得できる
マジックポイントは自然回復とゲームでよく見るアイテムってところか?
ナビゲートシステムは魔法で拠点を作りながら経験値を獲得がある意味最高率か
しかし、ナビゲートシステムか
呼び辛いな…話し相手もナビゲートシステムしかいないし愛称を決めるか
『“イヴ”』
【?】
『君の名前だ』
『この地を俺たち二人で創っていく』
『俺のいた世界は大昔“アダム”と“イヴ”が創ったとされているんだ』
『今のままじゃ呼びにくいからな、俺たちがこの土地の最初の二人だ』
【確認しました。】
【今後固有名詞をイヴとして記憶します…完了しました。】
『ああ!よろしくなイヴ』
こうして、俺はこの世界で初めての仲間を得た。