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文━ふみ━  作者: 渡田佑良
6/11

6月13日


 テレビで感動特集番組を見た。内容はがん宣告で堕胎を迫られた妊婦が、自分の命を捨て出産を望む、闘病ドラマ。私はこの話を見ている時、感動とか悲しいとか何も感じなかった。もちろん涙なんて一粒もない。ただ何故子供選んだのかという疑問で頭がいっぱいだった。子供を諦めて自分の治療に専念して完治したらまた子供作ればいいのに。何故子供優先したの?子供優先して、母親死んだら、残された子供は母親は死んだっていう悲しい過去を背負って孤独に生きていくことになるのに、なんで、そんな辛いこと、自分の子供にすることが出来るの??もちろん夫だって、最愛の人がいなくなったら、子供が残ったとしても辛いだけ。どうしてそんなことするの?

 分からない。全然分からない。これは、母性本能というもので逆らえなくなるやつなのか。

 私は同じ番組を見ていた母に尋ねた。

 「え、そんなのも分からないの!やっぱアンタ人間じゃないね。人の気持ちがわからんのかね。感情も持っとらんし。アホね。当たり前の事なのに」

 衝撃的だった。

 「人間じゃない」「人の気持ち分からない」「感情がない」「当たり前」

 私はこれらのこと、みんなに思っていた。たけど、本当は。私がおかしいの?

 分からない。

 この時、久しぶりに涙した。


 ああ、今の涙は何?

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