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文━ふみ━  作者: 渡田佑良
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 僕は森の中である手紙を見つけました。そして、読めない人のために伝えなくてはならないと思いましたので文を書いてみました。内容は僕の記憶違いでなければ、その手紙通り書いたつもりです。

 

 何故そんな手間がかかるようなことをするのか、その手紙を持ってくればよかったじゃないかと思う方もいらっしゃるでしょうが、その訳は、その手紙を持ち出してはいけないものと僕が察したためです。






 僕は深い森の中をゆっくり歩いていました。そのためか卒業証書を入れるような筒が落ちているのを見つけました。いや、落ちているというのは語弊でした。それは、丁寧に木の根元の隙間に立てかけられていました。拾ってほしいという主張がその筒から発しているように僕は感じました。僕には特にやることがないので、その主張を受け入れることにしました。拾い中身を見ました。するとそこには、輪ゴムでまとめられた紙が何枚も重ねられ入っていました。開いてみると字がびっしり書かれたA4のレポート用紙でした。湿気のせいか少し湿っていて、雨が降ったかのようなごわごわした紙になっていました。初め何かの論文だろうかと思い敬遠しました。しかし、見た感じですと誰かの手紙みたいでした。何故分かったのかと言いますと、そのレポート用紙の表紙は「この筒を拾ってくださった方へ」とあり最後には「前田恵理奈」とあったからです。

 ふと、先程とはこの筒に関しての僕の想いが変わっていることに気づきました。レポート用紙に、そして卒業証書の入れ物なんて、まるで高校卒業したての子がここに来たようで、初めはただ立てかけられていた筒と思っていましたが、僕はその演出に憎悪感を抱いていました。

 それでも僕はこの異様な雰囲気を出している何枚ものレポート用紙が気になってしまったので読むことにしました。

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