7話(前編)
前回同様です
気づけばルフスの周りは賑やかになって行き自然な優しさが身についてきた
季節は流れて冬模様
リリーナたっての望みでスケートがしたいと言うのでアデル、ルフス、リリ、そして何故かユークリッドの四人でスケートしに行くことになった。
ユークリッドは家に来ていた時にリリーナ話を聞いてお爺様に「護衛としてついていきますよ!」とかいって強引に許可をもぎ取ってついて来たのだ
そんなこんなで少し遠出して湖が凍る町で4人は一泊することとなった
「寒い」
「お姉様寒いの?私の手袋を貸すので温まってくださいませ!」
言葉遣いが淑女らしくなるリリーナ
「ありがとうリリーナでもそれだと貴方が寒いから大丈夫よ」
「そうでしたか」
「そうだよリリーナ嬢ここは私が手を合わせて温めてあげれば万事解決です!」
そう言って手を握るユークリッド
「いえ、結構です」
「あぁっ!つれないんですから!」
パシっと手を払われてしまう
あれ以来ユークリッドは週1回は必ず家に遊びに来ていたので扱いもこのようになってしまったのである
「あれ?そう言えばお兄様は?どこへ言っちゃったのでしょうか?」
「そう言えば...」
「迷子かもしれませんねー」
「そんな?!お兄様迷子ですか!?大丈夫なのでしょうか!?お兄様ーー!」
と慌てて呼ぶリリーナすると
「迷子にはなっていないから安心しろ」
「お兄様!」
ひょっこり現れるアデル
「どちらへ行かれていたのですか?」
「お前にこれを」
そして手袋を渡して来た
「わざわざ買いに?」
「お前は皮膚が弱いのだからしておいた方がいいだろう」
「優しいお兄様ですね」
「....」
「ありがとうございますアデルお兄様」
もらった手袋をして気持ちまで暖かくなっているとリリーナが少し拗ねていたのである
実は少しずつではあるはやはり成長しているようでルフスは今までは興味がなく見てこなかった部分も見るようになりリリーナの子供ならではの行動なども分かるようになって
(拗ねてしまっておる気がする...前までは全くわからなかったけど今では楽しいとか悲しいとか分かるようになれた気がするこれも今まで読んだ本のチョイスが良かったのかもしれない)
ズレたまま成長していた。
「リリーナそんなに早く行くと危ない」
「お姉様が遅いのです!」
「わかった今行くから」
「元気のいい妹さんですね」
「そうですね...」
後ろで何やら話してる二人を置いてリリーナを追って走り出したが足が滑ってよろめき
「とまってって!?のわっ!」
転倒してしまった
「お姉様!」
「ルフス!」
「ルフス嬢!」
駆け寄って来てくれたが流石にコケただけなのでちょっと恥ずかしかった
「いや大丈夫!だから一人で...ッ?」
足首を捻らせていた
「...お恥ずかしい話ですが足を捻らせてしまいました。ごめんね、リリーナ私は見ているだけになりそう」
「お姉様が....私が先に行っちゃったから...私のせいでコケちゃったよぉぉぉお」
「リリーナそんな大きな声コケたことを言いながら泣かないで...」
コケたことを周りに盛大に聞かれてさっきより恥ずかしくなっているとユークリッドにお姫様抱っこをされてしまった。
「リリーナ嬢泣かなくてよろしいですよ!早くスケートしに行きましょう、私が抱えてスケートいたしますので大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃないです」
「立てませんよね」
「では私のアッシーをよろしくお願いしますがスケートは結構です」
「肝の太いお嬢様ですね」
ルフスはお姫様抱っこされても動じず真顔でアッシーにするのだった
アデルはリリーナの涙を拭って抱き抱えていた。流石にアデル兄力が高くていらっしゃる気配りの出来る男、見習わねばと思った
◇
案外スケートリンクになっている湖には人がおらず独占状態だったのは良かったが
「どうですか?足を挫いてしまったルフス嬢!楽しいですか?!」
「意地の悪い人間でらっしゃる、さっきから怖がる姿が目にはいらないですか?」
「生憎と思い切り抱きつかれていますので全くよく見えませんね」
日頃の扱いへの恨みなのか抱えられたままスケートを滑られて落ちてしまいそうで浮遊感が怖くユークリッドに強く掴まる
「じゃあまぁ怪我人なのでこの辺にしておきますね、楽しかったですね」
「貴方は根性がひん曲がっているようですね」
「では貴方お口がひん曲がってますね」
笑顔と真顔でそんなことを言い合い
憎たらしい奴だと思いながら二人で倒れる木の上の雪をどかして座って喋る
「二人放って置いていいんですか?」
「あぁ、リリはアデルのことが好き?みたいでこのスケートだって本当なら二人で行きたかったんだと思うから、多分このままでいい」
「へぇ、二人で?リリーナ嬢はおませさんなのですね」
「(おませなのか?)この企画はリリーナの誕生日の日にお兄様と一緒にスケートしたいと言い始めて、最初はアデル、父、継母、リリーナで行く予定だったのだけれど」
◇回想◇
リリの誕生日
「リリアデルお兄様とスケートしたい!」
「じゃあ四人でスケートをしに家族で少し遠出しようか!アデルも構わないだろう?」
「ルフスはどうするのですか?」
口にしないで四人で行けばいいものを優しいアデルは私をそこでも気遣ってくれたようで
「本来であれば私でなくルフスが一緒なのが正しいと思いますが」
「あの子は行きたがらないからいいんだ」
「なら私も留守番していますので3人で行ってきてください」
と言ったらしくリリーナが泣き出してしまいその時帰って来ていたお爺様がその鳴き声を聞いて何があったのか話を聞いて
「成る程、では子供達3人だけで行かせてやればいい親元を離れるのもいい思い出になる、それで構わないだろう」
「しかし、」
「わかりましたでは3人で行きます」
「馬車の手配など私がしておくたのしんで来るといい」
という感じに押し切ってできた旅行なので
行くとき父にはすごい顔をされた
◇回想終了◇
「なるほど、リリーナ嬢の小さな初恋は大変ですね」
「アデルも気づいているけど、リリーナはまだ幼いから何も言えないみたい」
「でしょうね」
とフゥーとため息をつきながらリリーナから手を振られアデルから救難の意思を込めた視線が送られてくるがちょっと前の私なら
(アデルと目が合う...どうしたんだろう)
だけで終わっていたが今は分かる
そしてその視線の意図に気づいたユークリッド
「ではそろそろアデル様を助けに行って来ます。その後で休む言い訳のその足を治してあげますから休憩しててくださいね」
と言い残しリリーナの相手をしに行った
「治せるなら早く治さんかい」
感情を露わにしてしまうが自分のその小さな変化に嬉さを覚える
◇
(楽しい〜お兄様が一緒にスケートしてくれてリリはとても幸せ!お友達からカップルで一緒にスケートを楽しむのが流行っていると聞いてよかったー!いつもよりお兄様と楽しい時間が過ごせて最高の誕生日プレゼント!)
「お兄様つぎはくるくる回りましょう」
「あぁ」
(口数は少ないクールなお兄様!お兄様の妹に生まれて良かった!運命だわ!)
「リリーナ嬢、アデル様私も混ぜてくださーい!あまり上手く滑れないのでリリーナ嬢教えてくださいね?」
ドキッ
(カッコいい!お爺様の生徒さんのユークリッド様!お優しくてここに来る途中の車内でも飴をくれた優しいお方!あぁ!私にはお兄様がいると言うのにときめいちゃう!)
ドキドキしながら二人に遊んでもらっていると流石にちょっと疲れてしまっていた
「リリーナ疲れただろう休もう」
「ハイ!お兄様!」
「沢山滑れましたねリリーナ嬢!」
「ハイ!」
するとアデルが固まる
「ルフス...?」
「ルフス嬢ならそこに座って」
先程まで座っていたルフスが居なくなっていたのである
本当はもう一個話挟んでから前編後編のお話にしようと思ったのですがちょっとノロノロ感が出る気がするので飛ばします
次は後編ですがちょっと過激?な描写があるので気をつけてください