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16話

◇場面切り替え




魔獣騒ぎから色々あった、ゆかりは大々的に聖女と公表され、今じゃ聖女様と言われもてはやされている。


私が護衛していたことは誰にも知られないようにしていたが、最早護衛を隠す必要がないと言う話になり、お爺様も私が怪我したことで護衛を交代することになった。


私の後任となったのはアルヴァス・グラディウス、『私の子供を産んでくれ』と直球で来た男だ。思い出すたび頭が痛くなる。


彼は剣術科なのだが、魔法剣士志望なために魔術科の授業もとっているので、対処でき腕も確かな為だとか。だがやはり護衛がいない時には見守ってあげて欲しいとお爺様に頼まれて護衛(仮)となった。


そんなこんなでゆかりに引っ付いて居なくて良くなった、友人としての距離で居られるだろうと思ったのだが...何故か私によそよそしくなり、あまり私達のところに来なくなった



ちょっと寂しいような気がしたがまぁ彼女も私が護衛になった時から、私の側に来るように心掛けてくれていたのだと思うと、行動制限がなくなったと言う感じなのかもしれない


そう思っていたはずなのに


「私は変わってしまった...これはもう完璧に...今までこんな...人を追いかけるとか心配して見守るとかした事はなかったのに...こんな...事まで...」


ゆかりが心配になり後を付けていた

ストーカーなんて人としてやってはいけないのに私は体が動いていた


「もやもやする...」


ゆかりを遠目から見ていたら、よくわからないがもやもやした


「何がモヤモヤするんです?」


右肩に手を置かれる。ルフスは右側が完全に死角になるため壁側を歩いたりして、心を許したものや、何らかの理由がない限り絶対触られたり人に立たれたくないのだ


「ッ...!?!」

「おっと....酷いな少し手を触れた位で手を挙げるなんて...」


右手を思いっきり後ろに振ったが、簡単に止められてしまった


「わざとだろうが」

「まぁ、チームを組んだ時に右が死角しなると言う事を教えてもらっていましたから、本当に一年生の時の自分の選択は正しかった」


まさかこんな男だったとは、誰が思っただろう、顔がよく剣術科の2年のトップ、将来を有望視されるような人間が、まさか、女性を口説かず直球で子供を産めと吐かす、気持ちの悪い男だと


「気色の悪いコトを言う暇があったら、ゆかりの護衛に勤めろ」

「貴女と違い、私は魔術も出来ますのでちゃんと聖女には紐を付けていますよ」


考え方が最悪だ気分が悪い


「他に言い方があるだろう」

「それよりも私は貴女の体が心配です」

「は...貴様のように気色の悪い男が言うとこうも違うものか...」


気持ちが悪すぎて人に対しては敬意を払って来たルフスであったが、アルヴァスに対しては消え失せ、人に対してここまで悪態をつくのは初めてだった。


アルヴァスは一瞬間をあけた。何か考えていたのかもしれないがどうでもいいことだ


「その身体は貴女だけの身体ではないのですから、私の子供を産むために、もう少々身体に肉をつけた方が良いのでは?」


気色の悪い言葉のオンパレードに、ルフスは理解出来ず笑いがこみ上げて来る。

そして、同時にこの男の望みが叶わないことをルフスだけが知っていて、笑えて笑えて仕方なかった。


ルフスは何時もの笑顔ではなく嘲るような笑い方をした。


「アハハハ!!!貴様本当に気持ちが悪いな、流石に可哀想になって来たから教えてやろう...貴様のその願いは一生叶わない。絶対に絶対にだ。何といったかな海の底の白鳥、お前の為の言葉のようだな」


初めて見せるルフスの表情や言動にアルヴァスはゾクッとした。


「貴女もそんな表情出来るんですね...ですがそれより、私の子供を産まないと言う事ではなさそうですが」

「そうその通り、貴様の子供を『産まない』のではなく貴様の子供を『産めない』のだ私の子宮は機能していないからなぁ...残念だったな?貴様が例え私を犯せた所で意味はない、最後の親切心で教えてやった、だからもう絡んで来るなよ、下衆が」


怒りを感じたのだろうか、恐怖を感じて自分を守るため、悪態をつき嘲るような態度をとってしまったのだろうか、それともこれが自分の本性なのだろうかと心が騒ついた。


ルフスはその場を去っていった

残されたアルヴァスは頭を抱えた


「(そんな、私と彼女の血が混ざれば質のいい子供が出来上がるはずだったのに...全くの計算外だ...私の計画にもう必要ない...必要ないんだ...なのに何だこれは...)」





ゆかりは聖女だと言う事が知れて学園内では有名人だった。

この世界の聖女の役割は居るだけで邪気を祓い、魔を退け、世界に平和と安寧をもたらす存在、だからこそ無事でいて貰う必要があるため、ゆかりを召喚したトラニアの王は、学園に行くと言う聖女の護衛をつけるように命令を下した。


命令を思い返していたユークリッド


「(私はルフスミリアを苦しめただけだったのか...?まさか彼女が自己犠牲の様な選択をするとは思わなかった...)」


自分が頼んだ『ゆかりの護衛』が無かったら彼女が、あぁなる事は無かった。だが、それは自分の意思では無く、王からの命令、騎士団長としての選択であった。


「(自分の立場が初めて恨めしく思う)」


頭を悩ませている所に自分の名を呼ぶ声が聞こえた


「ユークリッド様」

「あぁ、ゆかりこんにちは」


ゆかりが訪ねて来た

最近彼女は良く来るようになった、聖女という事が公表されて、騎士団長も聖女の護衛をせよと、ユークリッドも護衛の一人だった


「ユークリッド様、あのクッキーを作って見たのですがよかったら...これを...」

「わぁ、クッキーだ!すごいなゆかりは、料理が出来るんだね」

「ちょっとだけなんですけどね」


照れながら返事をするゆかり、そして一枚手にとって食べる


「うん!美味しい上手だねゆかり」

「ありがとうございます!」

「そう言えば、よく甘いものが好きっだってわかったね」

「はい...あのルフスミリアさんに聞いた事があって...」


あまりルフスの話をしたくなかったが正直に答えるゆかり


「へぇ...そうだったんだ(私が甘いものが好きなこと覚えててくれたんだ...)」


目を少し細めてクッキーを見つめるユークリッドを見て胸が痛くなるゆかり


「(また...ルフスミリアさんのこと考えてる...私がお菓子をあげたのになんで...)」


急に立ち上がるゆかり


「どうしたのゆかり」

「急用を思い出したので...私行きますね」

「あぁ、そうかそれは残念、またねゆかり」

「(残念なんて思ってないくせに...)」


少し捻くれた考えでその場を離れるゆかり

ユークリッドはお菓子をいただいていると


「まぁ、美味しそうなお菓子ですね、ユークリッド様」

「リリーナ嬢、お久しぶりですね...」

「はい、入学式以来でしょうか...」


ルフスミリアの義理の妹


「今日はご友人型と一緒では無いのですね」

「えぇ...たまには一人で居たいのです」

「左様で」


ユークリッドはリリーナが苦手だった。

初めは可愛らしい子だと思っていたが、会うたびに段々と変わっていった。


悪女、その言葉がしっくりくる女性に成長を遂げていた。

やっとかけた...ルフスの身体が中性的な理由で卵巣機能不全?と言う病名を出そうと思ったのですがあまり詳しく無いので機能していないとだけ書きました。


女性ホルモンの関係で女性みを減らし中性的にしているのですがまぁ薔薇イメージなので性別をあまり感じさせたく無いんですよね


でも恋を題材にしているので身体の性別は女です

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