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15話

◇場面切り替え



やはり王立だけあって、優秀な魔術師が多いため、傷はどうにか塞がった。あとは己の身体の修復能力で何とかするしかない、治癒魔術と言っても万能ではないのだ。背中はジンジンと痛むが仕方ない


色々あったが、午後は治療に当てられて休み、寮へと戻った


部屋に入ると明かりがついていない事に驚いて、明かりをつけて周りを見渡すと、隅の方に拾ってきた少女が座り込んで居た


「どうした!?何かあったのか!?」


口を動かしているが声が出ておらず泣いていたのだ


「声が出ないのか?」


泣き続けて私を抱きしめてくるので寂しかったのかもしれないと抱き返した


漸く落ち着いて椅子に座る


「何かあった?」


何か思い出して怖くなってしまったのか単に寂しかったのか理由はわからず聞いても首を横に振り俯いて会話もできなかったが髪を見ると汚れていたので


「わかった、一緒にお風呂に入ろう...昨日も入れてないだろうから私が洗ってあげる」


そう言うと顔を真っ赤にしてジェスチャーし始めた


何やら自分を指差し体を隠すようにし指でバツをした、次は私の目を隠してきた


「体...?隠す...?私の目?閉じる?見られたくない?えっと自分の体を隠し...バツ?私に体を....見られたくないとか??」


当たったのかコクコクと頷いてくれたが女同士なのだから良いとも思ったが

コーデリアと最近読んだ男色系の小説で『私の身体は汚れている...見ないでくれ』と言っていたのを思い出し多分娼婦であろうこの子もそう言うなんらかの理由があるにちがいないという考えに至った


「そうか...じゃあ身体を隠せれば一緒に入ってもいいかな?私の右目は見れないからなるべく左向くようにして見ないから!決定!良し!じゃあ入ろう急いで入らないと!お湯が使えなくなっちゃう!」


手を引いてお風呂の入れる時間が決まっているので顔を赤くしていたが入ることとなった





風呂で背中を洗ってあげたり頭を洗ってあげて綺麗にしたバスタオルを渡して身体を隠す少女だが私は女同士なので隠さない


「気持ちがいいね...」


と一緒にお湯に浸かるが少女は反対を向いて目を合わせず縮こまっていたので引き寄せて同じ方向を向かせて足を伸ばしてあげた


「お風呂は肩まで浸かって足を伸ばすと気持ちがいいんだよ」


そう言って後ろから抱きついてしまった


「(何故だかすごく安心して抱きつきたくなって抱きついてしまった...)」


顔を見てみると真っ赤にしていた


「少しだけこうさせて...」


今日は色々あったためか甘えたくなったのだろうか始めての感覚で少々困惑したが少女を抱っこすると安心できた


「ありがと...?あれ...」


クラクラしていたのでそのまま引き上げてあげたが足取りがオボついていたので一緒に上がって大きなバスタオルでくるんで覆い隠して頭をわしゃわしゃして拭いてあげた


「あとは自分でやれる?」


そうするとの一回頷いたので後ろを向いて自分の体を拭いて二人とも着替え寝る準備をしてベットに潜った





「明日は大事をとって休むからまた明日話そう...おやすみ」


そう言って眠りに落ちる時に思った


「(あ...私この子には私が居ないといけないっていう感覚に安心しているのかな...)」


眠りに落ちていった





時間は戻り魔獣が逃げてルフスが襲われゆかりが光った時


「(あれは...聖女!やっぱりこの学園にいた!!知らせないと...)」


その場から走り去る褐色の少女


「(拾ってくれたあの人が怪我をしてしまった...)」


走りながら少女はここに来た時のことを思い出す





「いいか?この学園で適当な人間に取り入って聖女を探せ、この薬品を魔獣に飲ませれば魔獣たちは暴れ出しなるべく魔力がある人間を襲う習性があるから聖女を炙り出せるはずだからしっかりやれよ」


男がそう言って薬品を渡してくる


「でも、取り入るって...」

「馬鹿か、だから娼館から連れ出してやったんだろうがしっかりやれ!!お前はそれしか出来ないだろ!!お前は今まで男でも女でも咥えて相手して来ただろうが」

「ボクは...でも自由にしてくれるって」


ボクと言っているのはルフスが拾って来た少女、そう少女ではなく男だったのだ


「五月蝿い!これが終わったら自由にしてやる!だが情報を漏らされても困るからなぁ声を出せなくする魔術をかけておく!明日この辺りに昼頃くるからちゃんとやっとけ!そうすれば魔術も解いて自由の身だ!」


そう言って学園に放り込まれたのだが木から降りられずに居るところを猫と勘違いされルフスに拾われたのだった





「(でも...早く自由になりたい!もう娼館には戻りたくない!!ごめんなさい...)」


そう言って放り出されたところへ行くと男がいた


「来たな?いいぞわかったんだな?」


一回頷くと近づいて来て魔術を一度解く


「で?容姿は?」

「黒っぽい茶髪で髪は長め、顔がこの国の人間じゃなかった身長はそんなに高くはなかった小柄な感じ...もういいでしょ?早く...」


そう伝えると急に魔術をかけられる


「!?」

「ご苦労だったなお前の命を取らない代わりにに声だけで勘弁しといてやる、俺もこのままだと立場が危なかったから少しは情報を掴んで持って帰らないとどうなるかわかったもんじゃねぇんだ」


何か叫ぶような動きをする少年に


「よかったじゃねぇかどっかの貴族に取り入ったんだろ?娼館に戻らずに済んだんだ感謝して欲しいくらいだ、まぁあんがとよ必死に貴族に腰振って生きろ」


少年の目から涙が溢れたやっと自由になれると思ったのに騙され利用され


そして拾ってくれたあの人を傷つけてしまった。最後に見たあの人は背中から血を流していた、死んでしまって居るかもしれない


そう思うと怖くなった、もう娼館には戻りたくは無い、そんな思いでいっぱいであったが拾ってくれた彼女の部屋に戻ることにした





部屋の隅で座ってただ時間だけが流れて行く


「(やっぱりあの人は死んじゃったんだ...ボクのせいで...)」


涙が出そうになってると周りが急に明るくなって自分を見つめて心配そうな顔をして居る彼女が現れた


「(よかった...死んじゃったかと思った...!!よかったよかったよおおお」


そうしてわんわんないて色んな質問をされたが知られたく無いので首を振っていると


お風呂に入ろうと言われ驚く


「(待って!!ボクの、身体は、ダメ!男!見ちゃダメ!)」


ジェスチャーするとなんとなく伝わったのか一安心して居ると時間がないと言われて、引っ張られて結局入ることになった


「(わーーーダメだよ!!そんな!あっ...気持ちいい...)」


何気にお風呂を楽しんでいたが、一緒にお湯に浸かることになり引き寄せられ胸が当たる


「(そ、そんな当たってる....)」


そこからはよく覚えておらず二人でお風呂を出て一緒にベットに潜り込み『おやすみ』と言ってくれた彼女に抱きついて眠るのだった





翌朝になり先に起きたルフスは朝食を二人前にしてもらうように頼みに行った


少年も目を覚まして食事も届いたので一緒に食べようとすると


「...どうして膝の上に座ってるの?」


なぜかちゃんと席を用意してご飯も置いてあるにもかかわらず膝の上にのってきた


「(ボクのご主人様になって!!娼館に戻るのは嫌だ!お願い!僕を捨てないで!僕なんでもするよ!ちゃんと媚びも売るよ!だから!)」

「なんでスリスリしてるの...」



そうして離れないため何故かご飯を口まで運んであげることにした


「(わからないけど...良いってことだよね?)」

「次からは自分でご飯食べるようにね...」

「(うん!言うこともきく!!)」


何か心の傷が原因なのだろうと思い気を利かせたが全く関係ない深読みのしすぎであった





食事を済ませた後も離れないのでそのままにしておく


「あ、名前...字とか書ける?」

「(書けない)」


首を横に振る


「どうしようかな...ここに居る間だけでも名前つけよっか...」

「(やった!)」

「うーん、シトリン?とかどうかな、その目の色がシトリンって宝石の色と同じなんだ」

「(女の子みたいな名前だけど、ご主人様がそういうならボクは今日からシトリンになる!」


万歳してルフス抱きしめる


「喜んでくれたみたいでよかった私の名前はルフスミリア・ソーリスよろしくねシトリン」

「(うん!ご主人様!!)」


言葉が通じなくとも二人は心で通じ合えたと思っている二人だがやはり少しズレていた


「あ、ここに居られるようにメイドとして報告しておいたから...明日からコレ着てね」


メイド服を差し出される


「(うーん、ボク男なんだけどなぁ)」






ここは王都の何処か、暗がりを歩く男がいた


「早く聖女の情報を届けて、俺が使えることを証明してやる!!」


シトリンを騙し声を奪った男だった

男が呟きながら歩いていると影の中からフードを被り顔を仮面で覆っている集団が男を囲むように現れた


「お、お前ら!良いところにリーダーに伝えたい事がある!聖女が見つかったんだ!学園にいる!俺は....な....?」


男が喋っていたが一人が男の前に立ち男を剣で貫いた


「カエルム・サングィスにお前は必要ない」

「ぞ...ん“な”.....ぁ....」


上手く喋れなくなった男は倒れこみ冷たくなっていった


「最後は役に立ったようだがな」

「これからどうしますか」

「学園に入り聖女を探す」

「嘘という可能性は」

「他の者からの情報にも、学園に聖女がいることが確認されている。動くぞ」

「承知しました」


彼らの足音は聞こえることなく、まるでそこでは何も無かったように死体も闇に消えていった




本当は男の娘だったんですよ...


でも娼館に何年かいたっていう設定なので身体の肉付きが女の子のようになっているので主人公は全く気付きません



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