11話
◇は場面切り替え
学園には噂があった
なんでも図書館には幽霊がいるとか
なんともオカルティックな話だ
「って言う噂があると聞いたんだが、結局本当に幽霊はいるのか?」
「聞いたことはございますが...私生憎幽霊は苦手ですので詳しくは...」
「その手の話はやはりどこでもあるものなんですね(私も幽霊って苦手なんだよね...)」
「姉さんは知っていましたか?」
「は?ルフスはなんで君の姉さんな訳?」
「学園兄弟だからだ!」
「許してない」
「お前が許さなくても姉さんが許した!」
「クソガキ...」
今はお昼時、いつもの3人でランチする筈がディル、ルフス、アンナそして何故か聖女ゆかりと新しい弟のオネストもそこにいた
そしてディルとオネストは仲が良くないようで、ディルが珍しく人の言葉を聞いて口論しているからまぁいいことかもしれない
「図書館で声が聞こえて探すも声の主は見つからずずっと聞こえてくるようで」
「気味が悪いけど近づかなければいいのではないのか?」
顎に手をあててふむふむと答えると後ろから
「と言うわけでここにいるみんなでちょっと調べて見て欲しいのです」
ゆかり様の後ろからユークリッドが現れたのだ
「ユークリッド様!」
「こんにちはゆかり」
何があったかは知らないがすごく打ち解けていた、だが、それよりも
「こんにちはユークリッド先生、で、どう言う事ですか?」
「最近その噂で持ちきりな上、図書館に怖くて行けないからどうにかして欲しいと女子生徒達から言われていたんだけど、私も忙しい身の上なので見知った顔の君たちにお願いしたいと思ってね」
はははと笑って誤魔化している
「...(話すのは初めてなのですが)」
「...(関わりたくない)」
「ゴハンオーシー」
「図書館...(図書館の本を調べれば元の世界に帰る方法が載ったものがあるかもしれない)」
とそれぞれ考えているとスッと立ち上がり震え始め
「任せてください!ユークリッド先生!必ず!俺たちの力で原因を突き止めます!」
脳筋の新しい弟は幽霊にも拳で対応しようとしているように見えたのだが問題はそこではなく、私達も承諾したことになっているのだ
「頼もしいです。では頼みました」
「はい!」
立ち去ろうとしていたが何か言い忘れたのか近づいてきて耳打ちされる
「今回のこの騒ぎ聖女様のお力がどのようなものであるか見てほしいんだしっかり護衛してあげて、ルフスミリア」
5年前から出会ったあの頃から変わり二人だけの時にルフスミリアと呼ぶようになっていた全く恋愛小説に出てくる女タラシとは彼のようなものを言うのだと思う
「では、これで失礼します」
本当に今度は去っていった
みんなで食事を再開していたが何故かゆかりだけはルフスを見ていた...のをディルは見ていた。ディルはゆかりの周りにいる精霊が騒いでいるので注意することにしたのだった。
◇
そして授業が終わった後みんなで図書館に行くことになったが、ディルは研究室でいつも何かしているので今日もそちらへ行っていた
参加メンバーはルフス、アンナ、ゆかり、オネストの4人になった
「アンナ苦手ではなかったか?」
「ルフス様を一人にしておけませんわ!」
「一人じゃないのだけど」
「いざとなれば私がお守りいたします!」
「俺も守るからな!姉さん!!」
(確かに魔法は上手く使えないのだけど...)
と思っていたらゆかりの顔色が悪かった
「ゆかり様?大丈夫ですか?」
「じ、実は私も幽霊が苦手でして...」
震え声で言うので手を左で繋いであげることにしたのだ。
「こうして手を繋いで行けばいざという時お守り出来ますから」
「ありがとうございます...」
「待ってください!ゆかり様だけなんて!私も守っていただきたいです!!」
「そんなこと言ったら俺だって!」
さっきの発言はどこへ言ったのか
「道幅が狭いからオネストとアンナ、私とゆかり様で手をつなげばいいのよ」
「そんな〜!!」
「ずるいですわ〜!」
「あの...私のことはゆかりと呼んでください、それに敬語じゃない方が嬉しいです」
「わかりました」
「ゆかりさん私もアンナで構いませんわ」
「俺もオネストで構わない!」
皆んな打ち解けたムードで図書館に入る
◇
夕暮れ時になっていて図書館はろうそくで明るくされていた
「明るいから進みやすいね」
「本当ですわ」
「声聞こえないな〜」
「本当にいるんでしょうか」
歩いていると
「....も...い....い....」
声が聞こえてくる
「なんの声ですの?」
「オバ...オバケッ!!」
驚く二人に拳を構えるオネストと怖がって寄ってきた二人を抱きしめながら聞き耳を立てると
「も...が...たり...な....」
響くような声だった
「本当に幽霊が...?」
するとオネストが聞き耳を立てていたら
「姉さん!あっちからです!!」
「あっち?」
案内されるがまま怖がる二人を連れて進んでみると
「本棚?」
「確かにここから聞こえてきた」
そう言って本棚の近くに耳を近づけると確証を得たのか
「ここから音がする!」
「音?うーんこれはもしかして隠し扉?とかがあるんじゃないかな?」
推理小説で培った知識で本棚を探ってみると奥の方に何やら一部色の違う木の部分があったので触るとボタンのようになっていた
「これか」
押してみると本棚が動き出して道が出てきた
「すごい、隠し扉とか本当にあるんですね」
「私も初めて見た」
「こんな仕掛けが学園にあるなんて」
「そういえば、元々研究施設の一部を学校にしてしまったと言う話も聞いたことありますがそれが関係あるのでしょうか...?」
扉の奥へ進んでみるとそこも本で囲まれた部屋がありその中央に人影があった
「キャアアア!!!今度こそ本物の....おぉ、おば、おばけですわーーー!!」
「キャーーーーーーッ(ユークリッドさん!助けて)」
「ゆゆゆゆううれい!?」
動く人影が襲ってくる前に動き先制を取り幽霊?を取り押さえるルフスだったが
「ムギャッ!!」
「ん?女の子?」
◇
幽霊だと思った少女に話を聞くことになった
「大丈夫?」
「イタタ...なんなんだ全く誰だ!なんでここに入ってきてるんだ!」
「姉さんにしてもこいつ何ですか?めちゃくちゃ態度でかいな」
「ここにいるってことはまぁ幽霊の正体だと思うけど...(態度のでかさはお前も同じだ)」
「幽霊には見えませんが?」
「にしても小さい子ですね」
ゆかりが頭を撫でようとすると弾かれる
「軽々しく触ってくれるなよ平民!」
「へ、平民ですけど(何この子!)」
「にしても貴方のお名前は」
「私の名前を知らずに押し倒すとは大胆なヤツだまーいい!教えてやろう!」
「態度がでかいぞ!」
フフフと笑いながら椅子の上に立つ
「私の名前をよーく聞いて態度を改めろ平民どもよ!コーデリア・オルドーだ!」
「オルドー家は侯爵位、そしてコーデリアといえば第一王子の婚約者なのに超のつくひきこもりじゃないか!」
「違う!....くないけど!!理由があるが話せない理由で引きこもっているだけだ!」
「よく言う、お茶会にも出席せず兄に心配ばかりかけさせているような奴が」
きゃんきゃんと吠える二人だが事件は解決したが何故ここに居たのか聞き出すことにした
◇
「で、何をしてこんなところに来てしまったのですか?コーデリア様?」
「ががが学校が嫌でも引きこもっていただけだ!」
「なるほどそれで図書館に逃げた、と言うことですの?」
「ここには隠し扉があるのを知っていたから...」
「声が小さくてよく聞こえないぞ!」
「皆さんやりすぎじゃ...」
みななりきって質問していた刑事ものの読みすぎではないだろうか
「ええい!にしてもさっきからなぜ微妙に態度が私より上なのだ!!」
「おふざけが過ぎましたが貴方のお声がこの部屋から漏れてそれが幽霊に聞こえていたようなのですよ」
「んなにぃ!!?」
驚いて声が裏返っている
「にしてもこの部屋の本は一体...」
アンナは本を一冊手にとって読もうとしたら
「や!やめろーー!」
「キャッ!!」
コーデリアがアンナに飛びかかりアンナが手にとっていた本が床に落ちて開いて挿絵が見えみんなで覗き込む
「これは...?」
「BL...?」
「BLってなんだ?」
「みるな!この平民どもーーー!」
「なるほど...まぁその引きこもる場所に丁度良くて好きな本があったのですね...」
「ううううっ!そう言うことだ!!馬鹿にされるから誰にも教えたくないのだ...!わかったらとっとと出て行け!」
「別に馬鹿にしてはおりませんし本くらい何読んだっていいと思いますよ」
「へ...?」
「本は読みたい人間が読めばいいですし、本は読まれるためにあるのですから」
「お前...」
コーデリアは思い出す転生前の自分の友人をそして彼女は転生し悪役令嬢と言われ未来で処刑されるキャラクターの転生であることに気づき怖くなり壁を作っていたら誰も信用できなくなり素直になれなくなったため、引きこもって誰にも合わないように生きようとしていたのだった。
「ですがもう少し声のボリュームを下げた方がいいのではないですか?この部屋から図書館までうっすらでも響いて聞こえてしまいますから」
「ウッ!」
「では、私たちは幽霊の正体を知ったので行きますが一緒に外に出ておススメの本を教えて頂けませんか?コーデリア様?」
「し、仕方ない平民だ...!あと、私をコーデリアと呼ぶことを許してやるぞ...タメ口も」
「はい」
「よかったな引きこもり過ぎて友達もいなかったもんな」
「ううううるさいぞ!貴様よく見れば第二王子のオネストではないか!」
「今頃!?」
「楽しいそうですわね」
「それにしてもよかった幽霊とかじゃなくて本当に...(それにしても私ったらユークリッドさんはここにはいないのにあの時)」
ゆかりは顔が赤くなっていた
そうして一行は事件を解決して、新しい友人を連れて図書館を後にした。
◇
夜またもユークリッドが会いに来た
今度はルフス以外誰もいない時に
「ルフスミリアどうだった?幽霊と聖女様のお力は」
「幽霊は人間でしたし、ゆかりは怖がっていましたよ」
「残念、伝説にある聖女ならば浄化の力を使ってパパッと払ってしまうと思っていたのに相手が人間だとは」
そう言いながら近づいてルフスの髪の毛を触り始める
「いい加減結婚でもして身を固めては如何?そうやってフラフラできるのも今だけです」
「連れないな...昔から何度も言ってるじゃないか、私はルフスと結婚したいのだと」
4年前くらいからだろうか突然婚約しようと言い出してきたが私は拒否してそれ以降ずっとこの調子だった理由は多分あの事件だろう
「いい加減にしてください、ユークリッド様があの時救ってくれただけで十分、私を救った貴方が責任を感じて結婚する必要はない」
「違う、本当に好きで愛しているから」
そうして後ろから抱きしめられたが抵抗もしなければ抱きかえしたり触ったりもせずただ立ち尽くす
「今日はもう帰るといいユークリッド様疲れているようです、それに貴方のその愛は錯覚なのだから...」
言っても伝わらないのがもどかしいが手を離しルフスは歩き出す
その後ろ姿を見ながら立ち尽くし
「本当に私は...」
その言葉は夜の闇の中に溶けていった
聖女の次は悪役令嬢を出したいと思っていたのが上手いことできました
ルフスミリアは中性的な感じで立っていると薔薇の花のようなイメージです。性を感じさせないようなキャラクターですけど上手くいってるのか
ユークリッドはちょっとタラシっぽいような
ゆかりはユークリッドにラブしてます
ディルはルフス以外には口がめちゃくちゃ悪いんですけど興味がないのでルフスに関係する人間にしか口が悪くなりません
ちゃんとルフスに執着する理由があるのですけど上手くまとめたいです