10話
前回と同じです
「ここは食堂」
「ここは図書館」
「ここはトイレ」
「ここは教室」
「ここはー」
と淡々と簡単に案内をするルフスの横にはゆかり・はなむらが立っていた
◇
時間は少し戻り校長室
「何故護衛が必要なのでしょうか、この学園は魔法の才があるもの、剣術を磨くものが集うというのに...」
最もな意見であったがヴォルフお爺様が
「ルフスミリアだから正直に言おう、この件は内密なのだがこの方は異世界から来られた聖女様なのだ」
「はい」
「だから秘密裏に護衛をつけてお守りする必要があるのだ」
「はい」
「わかってくれるか」
と納得したかと聞かれたが
「ヴォルフ騎士教官様、私はこの学園でとても目立ちます、そのような私を護衛にするなど人選を誤っているとしか思えません。なので私はこの話聞かなかったことにしておきますのでこれにて失礼致します」
ド正論だっただが、ヴォルフはあまり無理強いするまいと思っていたため口を閉じていた
それを見たユークリッドが助け船を出す
「この人選に間違いはございませんよルフスミリア嬢、王国騎士団長の私と元魔法剣士団長のヴォルフ様の推薦です。それを誤りと言う人間がいるなら見てみたいですね」
皮肉たっぷりな言葉で拒否しづらい状況を作り出す外道が騎士団の長だなんて悪い冗談でしかないが現実なのだ
答えは決まった
「わかりました私はどのように警護すれば良いのでしょうか?王国騎士団長様?」
「承諾してくれて感謝いたします」
いけしゃあしゃあとよく言うと思ったがこう言う人間だとわかっていたのでため息一つしか出ては来なかった
◇
あのあと護衛の仕方はなるべく側を離れずに居てくれるだけでいいと言うものだったが
確実に私の行動が制限されるのが少し不快だったがこの聖女様は悪くないので何も言えなかった
「あの!私これからどうすればいいですか?」
唐突に聞かれたが何をどうすればいいかルフスにもよくわからなかったので
「?、寮に戻れば良いのではないですか?」
「そうじゃなくて、聖女として...」
不安でいっぱいそうな顔をみてハッとする
(いけない!もしかしたら私の17の人生の終わりの原因の可能性を考えていなかった関係ないから適当に説明して護衛だけしようと思ったけれど聖女の怒りをかって処刑してしまう可能性がある!軽率な行動は危険だ)
思い込みが激しくなっていた
「聖女様、私には聖女様の運命はわかりかねますがここは学園です。慣れない世界でしょうが、私もおりますので少しずつ学んでいけばよろしいかと思います」
一応聖女は偉い立場なため膝をついて話をするのだが
「た、立ってください!変なこと聞いてごめんなさい!」
「いえ、私のことはお気になさらず」
立ち上がり寮へ案内しようとするとそこへ金髪の男がやってくる
「やぁ、ルフス嬢お元気そうですね。聖女様もご機嫌麗しく」
「ユークリッド様」
「王国騎士団長様」
ルフスに先程のことを根に持っているのか名前で呼ばなかったので気まずいユークリッドは聖女に話題を振る
「学園を案内されて如何でしたか?」
「あ、親切に教えていただけました!」
「それは良かったです、彼女は優しい方ですので何かあれば彼女に聞くといいですよ」
要らないことまで言って口がよく動くと感心していたところで王国騎士団長様がいるのだから今は私の護衛など必要ないと気づいた
「聖女様、私は用がございますのでこれよりは王国騎士団長様が案内し寮まで送ってくださいますので途中ですが失礼しいたします」
「そうでしたか!ありがとうございました」
「ルフス嬢!?」
有無を言わさず退散したのであった。
◇
聖女のエスコートなどユークリッドにかかれば朝飯前だから安心だと思いながら退散しアリアンナを探そうとしていると
「待ってくれルフスミリア・ソーリス!」
後ろから名前を呼ばれ振り返ると今朝の一年生がついてきていた
「一年生が迷子かな?」
質問すると
「違う!!!」
強く否定された
「俺の学園兄弟になってほしい!」
「学園兄弟?」
「なっ知らないのか!?」
「にしてもさっきから言葉が乱暴ですよ」
「ウッ...すいません...」
◇説明◇
説明しよう学園兄弟とは学園に在籍する間の兄弟関係を結ぶ行為である。
これは言いかえれば自分だけの先輩や後輩というような特別仲のいい上下の関係を築くシステムで普通は先輩から言われるの
そして本当に仲のいいものは学園を卒業した後も仲の良い関係でいることが多い
やらない人間もそれなりに居るが大抵は兄弟関係を結んでいたりするのだ!
◇説明終了◇
「なるほど、と言うかどこで私の名前を聞いたんです?」
「目立つ赤髪と片目の色が違う女性はこの学園でただ一人ルフスミリア・ソーリスしか居ないとユークリッド様に聞いた」
「ユークリッド様と面識があるのですか?」
「何言ってる俺は第二王子だ面識あるに決まってるだろう!」
「えっ?」
驚いて居るとガーーーンとされ
「し、知らないで今朝俺を止めたのか!?」
「そうなります」
「少しも俺の事とか知らないのか!?」
「...顔も知りませんでしたし」
「俺は知って居るのに!?」
「え、はい...」
「くーーーーっもういい!だが力づくでも学園兄弟になってもらうがな!」
そう言って急に飛びかかり右腕を突き出し攻撃しようとしてきたので避けて右腕を掴み投げ飛ばすと勢いよく飛んで転がってしまう
だか諦めず猛攻が続いたが全て避けたり投げたり色々してお互い疲れてきた
「クッ...強い...!!だが!!俺は貴方に学園で姉になってもらう!!」
「何故こそまで必死なんです...か...」
流石にはぁはぁ息を切らせてしまって居ると話を始めた
「俺は王宮で小さい頃から出来のいい兄と比べられて出来損ないだと白い目で見られていたんだ...」
「...(聞かなきゃダメか...)」
「そうして小さい頃から一人だった俺をユークリッド様が構ってくださって稽古して幼少を過ごすことになり、毎日が充実していた」
「....(脳筋に育てられてる)」
「そしてある日ユークリッド様から剣を持たせれば舞うように戦い片目と言うハンデがあるにもかかわらず捉えて話さない目を持つ女性が居ると言う話を聞いたそれが貴方だった、そして学園で会える事を伝えられてたのしみにしていたんだ!」
「...(話を盛りすぎだ)」
「だから俺はこの戦いに負けられないんだ!!!ウォォォオオオオオ!!」
勢いよく殴りかかろうとするので
「ストップ」
「俺はまだ負けてない!!」
熱血スポ根系の本で見たキャラクターにそっくりだと思いながら
「私は別に嫌とは言っていませんよ」
「何っ!?じゃあ!?」
「仕方ないですから、兄弟になりましょう」
「おぉおおぉぉっ!!やったーーーーー!」
すごく喜ばれたのは良かったがその後
「後で反故にされても困るからこれのサインと血判をしてくれ」
とお手製の契約書を渡され書かされた
「へぇオネスト・トラニアって言うんですね私の新しい弟は」
「今ですか!?(ちょっと嬉しい)」
「なんて呼んだ方がいい?」
「えっオネストでお願いします...ね、姉さん」
めちゃくちゃ照れてるのを見て可愛いと思うルフスのだった
ピュアキャラです