9話
急ですが学園生活に入ります
◇は場面切り替え
攫われて数日後ルフスの怪我も大きな怪我もなかったので殴られた所も治ってきていた
助けた時の状況が状況だったため犯されていないかと検査もしたが大丈夫だったようでお爺様も安心している....はずだった
お爺様の顔はあまり良さそうには見えなかったのだ。
「お爺様、何かありましたか?」
「...一応お前には伝えておく必要があると思ってな...聞くか?嫌なら言わない」
「そこまで言われると気になるのでお話しを聞かせてください」
「お前の体なのだが...」
◇
月日は流れて5年後
ルフスは15になっていた
あの事件以来少々ややこしくなっていたがそれはまた後々
ルフスは5年間の全寮制王立学園に通って学園生活を送っていた
「ルフス様!お早うございます」
「お早う朝から元気ねアンナ」
「はい!ルフス様に会えて私は朝から元気がいっぱいなのですわ!」
アリアンナは学園に入ってからも変わらず仲良くしてくれていたのだ
「今日から二年生ですわね!初々しい一年生を見るのが待ちきれませんわ〜!」
「そうね、一年生たちがソワソワしているのをつついてあげるのはとても楽しそう」
「ルフス様は私と出会った時は貴公子のようでしたが今は女王さまのようで、何だか私ドキドキしてしまいますわ...」
もじもじしと頬を手で押さえていた
(アンナは確かに明るくなったけれどそれ以外にも変わってしまった気がする)
アンナはちょっと目覚めてきていた
◇
校舎近くに来ると何やら人だかりが出来ていると何かを囲うようにして騒がしかった
「何でしょう」
「何かしらね、見にいこうか」
「私も行きます!!」
すると
「お前!ぶつかってきたんだ謝れ」
「....あー何...?」
「貴様聞いているのか」
「...?挨拶?コンバンワ」
「なっ...!貴様も...俺が出来損ないだからって舐めているんだな!!」
只ならぬ雰囲気の中心で口論しているのは一年生と二年生、一年生の方は知らない人物だが、その二年生は誰であろう幼馴染のディルだった。
ディルは昔も今もギャーギャー叫んで情緒不安定だが昔より大人しくなり、叫ぶ回数は減ったのだが他人への興味がますます減っているようで知らない人間など壁に等しく話を聞かない問題児になっていた。
そうしているうちに一年生がディルに殴りかかろうとするのが見えた。
ルフスは4年間必至に自分を変えて正義のヒーローばりの優しさを手に入れていた!
誰かが傷つくのは見ていられない!そして幼馴染に怪我はさせられないと体が動く
ルフスは優しさだけでなくあれ以来お爺様の鍛錬と秘密の特訓により凄まじい身体能力を得ていたのだった。
ディルの顔面の目の前に一年生の握りこぶしが止まりルフスが一年生の腕をがっしり掴んでいた。
「あれ?ルフス!」
「一年生慎みなさい。ここは喧嘩をするような所ではない、それに些細なことで手を挙げるものじゃない」
「止めるな!」
腕を掴まれて振り払おうとするがルフスは微動だにしない
「あッ!な...!?」
ルフスの顔を見て驚き一年生は大人しくなってしまう
「ディルもぶつかったのならちゃんと謝らなければいけない、そして人の話を聞く耳を持つんだ」
「ぶつかった...?うーん?わかった!さっきはすいませんでした!」
あっけらかんされ、謝られた感が薄いが
「謝ってくれたらそれでいい」
と言ったのを聞いたルフスは手を離して
「素直な所はとてもいいと思いますから、これからは些事に気を取られないような大物になる事を期待しています。では失礼」
そう言って颯爽と去っていくルフスの姿を見てカッコいいと思う一年生だった
◇
ルフスは魔術科に席を置いている
そして四年前までは魔術が上手く扱えなかったのだが、限られた魔術であれば使えるようになったのも訓練の賜物である
式典が行われる
毎年入学式は手が込んでいるのだ王様が出席し騎士団長や宮廷魔術師などを呼び激励する
一年生たちは王様達の壇上の目の前にならび、二年生や他学年は周りで見ているような図になる
相変わらず眠い式典だと思うルフスはぼーっとしていると騎士団長と目が合いウィンクされたが見て見ぬフリをする
現騎士団長、剣聖の称号を頂く若き剣才ユークリッド・ネイヴィア
今じゃもう遠い存在....の筈なのだが今の地位に就いても全く変わらず会いに来るので国の未来が心配になった
◇
式典会場から3人で歩いていると後ろの方でチョロチョロしているのがいた
「なんだかちっちゃいのがついてきてない?」
「あの方は今朝の一年生ではございませんか?」
「...誰?」
「ディルがぶつかった相手だよ」
「えぇ...?うーん?覚えてない」
「....(ぶつかっておいて最悪な上級生だな)」
「....(ぶつかられた一年生が可哀想です)」
式典も終わり今日は学校も半日で終わる筈だったのだが突然呼び出されることとなった
「ルフス様のお名前が呼ばれて居ませんか?」
「本当、私何もしていないのに」
「僕ついていくよ!」
「はいはい要らない、じゃあ行ってくる」
3人でお茶しに移動していたのだが私は呼び出されたので校長室へ向かった
「失礼いたします。ルフスミリア・ソーリス只今参上いたしました」
「入れ」
すると入って見るとお爺様とユークリッドまでいるが黒々した茶色い髪の女の子もいた
「ルフスミリア、そこに腰をかけなさい」
お爺様は少女の隣に座っており私と反対に座って少女の後ろにはユークリッドが立っていてなんだかソワソワする
「私がここに呼び出された理由をお伺いしてよろしいでしょうか?」
ここは家ではないので例えお爺様であろうと言葉遣いなどはちゃんとしなくてはならない
「ゴホンッ、そう焦らず、先ずは自己紹介をしよう、ルフスミリアにはこちらにいるゆかり・はなむら様」
「こんにちは...」
軽くお辞儀をされたのでお辞儀を返す
「私はルフスミリア・ソーリスです以後お見知り置きをゆかり・はなむら様」
そうして挨拶をし終えて本題を話し始めるヴォルフお爺様
「実はルフスミリアにはゆかり様の護衛をしてもらいたいのだ」
ユークリッド、も眉をちょっと寄らせてはいるが笑顔を絶やさずにいる
校長先生に至ってはなんだか目をそらして手を組んでいたたまれなさそうで
お爺様は悩ましい顔になっている
この辺では見ない顔の造形の女の子の護衛を騎士でもない女にさせるという意味のわからない現状に私は声が出せず
誰も何も言わない状態でシーンと言う音が聞こえてくるようだった
衣装とか詳細考えたいです